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海外の電話詐欺と日本に届く「+」から始まる着信

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「+1」「+44」など、見覚えのない「+」から始まる番号の着信に戸惑う人は少なくありません。この記事では、日本で詐欺に使われた電話番号のうち国際番号がどのくらいを占めるか(警察庁の令和7年の確定値)、海外に「架け場」を置いた事件の摘発が2026年に入ってどう続いているか、そして韓国とアメリカで公的機関を名乗る電話詐欺がどれだけ増えているか(2025年の通年の数字)を、各国の公的機関の資料をもとにまとめます。後半では、国をまたいで共通する見分け方と、国際番号から電話が来たときの具体的な手順、よくある疑問を整理しました。

日本に届く詐欺電話の約4分の3は国際番号

警察庁の確定値によると、令和7年(2025年)の特殊詐欺の認知件数は27,832件、被害額は1,423.1億円で、前年より件数は32.3%、被害額は98.0%増えました。被害者に最初に接触した手段は電話が78.8%で、オレオレ型の詐欺と還付金詐欺に限ると電話が9割を超えます。詐欺の入口は、いまも電話が中心です。

その電話に使われた番号の種類を見ると、国際番号の多さが目立ちます。警察庁が都道府県から報告を受けた「特殊詐欺に犯行利用された電話番号数」(未遂・相談事案を含む)は次のとおりです。

番号の種類令和6年令和7年
国際番号47,59692,996
携帯番号5,37514,593
固定番号12,8357,547
050番号11,0336,489
判別不明番号5,7011,513
計82,540123,138

警察庁は、令和7年中に特殊詐欺に利用された電話番号のうち約75.5%が国際電話番号だったとしています。また、令和5年7月以降、国際電話番号を利用した特殊詐欺が急増しているとも書いています。一方で固定番号と050番号は1年で大きく減りました。警察は事業者に、犯行に使われた固定電話番号や050番号の利用停止を求めており、令和8年上半期だけでも固定電話番号52件、050番号512件が止められています。令和6年から令和7年にかけて、国内の固定番号・050番号が減り、国際番号がほぼ倍増したことが表から読み取れます。

国際番号の「+」の後ろは国番号です。国民生活センターは「1=アメリカ・カナダ、44=イギリス、81=日本」と説明したうえで、「心当たりのない国際電話は詐欺の電話である可能性が高い」と注意を呼びかけています。国番号の見方は国際電話番号と国番号の一覧、当サイトで調べられた国際番号の傾向は国際電話の検索ログ分析で紹介しています。

国民生活センターに寄せられた国際電話の相談

同センターが紹介している相談の例は、次のようなものです。

  • 出ると無言の電話が何度も来る(2025年5月受付、60歳代男性)。国際電話の着信を拒否する方法を知りたいという相談。
  • 料金回収業者を名乗り「未納料金30万円を払わなければ提訴する」と言われ、氏名と生年月日を伝えてしまった。後で番号が「+1」から始まっていたと気づいた(2024年12月受付、40歳代女性)。
  • 「電気を止める」という自動音声が流れ、1を押すと大手電力会社を名乗る男性が出た。実際に契約しているのは別の会社だった(2025年7月受付、50歳代女性)。

どれも、相手は日本語で、日本の会社や手続きの話をしています。番号の頭が「+」なのに国内の会社を名乗ること自体が、疑うきっかけになります。

電話をかける拠点が海外にあった事件

警察庁は令和7年に特に目立った手口として、警察官などをかたって「捜査」名目でお金をだまし取る「ニセ警察詐欺」を挙げています。認知件数は11,014件、被害額は1,005.0億円で、特殊詐欺全体の件数の39.6%を占めました。令和8年上半期(暫定値)も認知件数4,466件、被害額507.9億円で、件数は前年同期より6.2%減ったものの、被害額は27.3%増えています。この手口で最初の接触に電話が使われた割合は98.2%です。手口の詳しい流れは警察を名乗る「口座が凍結される」電話で説明しています。

警察庁は、警察官などをかたる特殊詐欺が海外の拠点から実行されているとし、海外の拠点を外国当局が摘発して日本へ移送し検挙した人数を公表しています。

時期検挙した人数主な事件(警察庁の資料から)
令和7年(1年間)54人5月、日本警察の情報をもとにカンボジア当局が拠点を摘発し日本人29人を確保、8月にチャーター機で移送して逮捕。8月、マレーシア当局が拠点を摘発し日本人4人を確保、10月に移送して逮捕
令和8年上半期(暫定値)37人(前年同期より27人増)令和7年11月にカンボジア入管当局が拠点を摘発し日本人13人を確保、令和8年1月に逮捕。令和8年3月にインドネシア入管当局が拠点を摘発し日本人13人を確保、4月に逮捕

令和7年に検挙した国はタイ・カンボジア・フィリピン・マレーシアでした。国内でも令和7年に11か所の架け場などが摘発されています。

こうした拠点では「海外で簡単に稼げる仕事がある」といった口実で人が集められ、渡航した人が犯行に加担させられる例も把握されています。拠点で働いていた人からは「パスポートとスマホを取り上げられ、帰るなら数百万払えと言われた」「詐欺をやりたくないと言うと『臓器を売るぞ』『家族を殺す』と脅された」といった供述が得られています。電話の向こうが自然な日本語で話していても、かけている場所が国内とは限りません。国内全体の最新の状況は2026年上半期の特殊詐欺の統計にまとめています。

韓国:「機関なりすまし」のボイスフィッシングが過去最多

韓国では電話を使った金融詐欺を「ボイスフィッシング(보이스피싱)」と呼びます。韓国警察庁が公共データポータルで公開している2025年末までの統計では、手口を「機関なりすまし型」(検察・警察・金融当局などをかたる)と「融資詐欺型」(低金利の融資を持ちかける)に分けて数えています。

項目2024年2025年
機関なりすまし型の発生件数9,519件13,323件
機関なりすまし型の被害額5,349億ウォン9,884億ウォン
融資詐欺型の発生件数11,320件10,037件
融資詐欺型の被害額3,196億ウォン2,694億ウォン
合計の発生件数20,839件23,360件
合計の被害額8,545億ウォン1兆2,578億ウォン

韓国警察庁は、機関なりすまし型が2016年の3,384件から2025年の13,323件へ約4倍に増え、過去最多を更新したと説明しています。表から計算すると、2025年は件数の約57%、被害額の約79%が機関なりすまし型でした。融資詐欺型は減っており、「お金を貸します」より「あなたが事件に関わっている」と公的機関の名で迫る手口に重心が移っています。

2025年1〜3月の時点でも、韓国警察庁国家捜査本部は機関なりすまし型が全体の51%(2,991件)を占め、2024年の41%から増えたと公表していました。同じ資料で韓国警察は、捜査機関はどんな理由があっても融資の実行や預金の解約、資産の移動・引き出しを求めないとし、思い当たる言葉が出たらすぐ電話を切って112に通報するよう呼びかけています。日本の「ニセ警察詐欺」とほとんど同じ構図です。

アメリカ:国税庁(IRS)や政府機関をかたる電話

アメリカでも、公的機関の名前を使う詐欺が大きな被害を出しています。米連邦取引委員会(FTC)の2026年6月の発表では、2025年に報告された「なりすまし詐欺」の被害額は35億ドルで、そのうち政府機関のなりすましによる被害は約9億2,000万ドル(2024年は7億8,900万ドル)でした。FTCは、こうした詐欺の入口としてテキストメッセージ・電話・メール・SNS・検索結果を挙げています。

国税庁にあたるIRS(内国歳入庁)は、2025年7月の案内(Tax Tip 2025-46)で見分け方をはっきり示しています。

  • IRSが納税者に最初に連絡するのは手紙か通知。電話をかけるのは、その後に面談の予定を確かめる場合などに限られる。
  • IRSはプリペイドカードやギフトカードでの支払いを求めることはない。
  • IRSは急がせたり脅したりする伝言を残さない。詐欺の電話は「折り返さなければ逮捕状が出る」と偽る。

FTCも「FTCがお金を要求したり、脅したり、送金を指示したり、賞品を約束したりすることはない」と書いています。公的機関の名前を出し、「逮捕」をちらつかせて急がせる点は、日本のニセ警察詐欺や韓国の機関なりすまし型と重なります。

国をまたいで共通する見分け方

電話の特徴日本・韓国・アメリカで確認できること
公的機関を名乗る日本のニセ警察詐欺、韓国の機関なりすまし型(2025年に過去最多)、アメリカのIRS・政府機関かたり
急がせる・脅すIRSは「逮捕状が出る」などの脅しを詐欺の特徴として挙げている
お金を動かさせる韓国警察は「捜査機関は預金の解約や資産の移動を求めない」と明言
支払い方法を指定するIRSはギフトカード・プリペイドカードでの支払いを求めないと明言
最初の連絡が電話IRSは最初の連絡を手紙か通知で行うとしている
見覚えのない国際番号日本では詐欺に使われた番号の約75.5%が国際番号(令和7年)

どの国でも、「公的機関」「急ぎ」「お金の移動」の3つがそろったら詐欺を疑う、という点は共通しています。

国際番号から電話が来たときにすること

  1. 出ない・折り返さない。海外に知り合いや取引先がなく、心当たりがなければ出なくてかまいません。着信履歴からかけ直すのもやめましょう。ワン切りについてはワン切り詐欺の記事もどうぞ。
  2. 出てしまったら、名前・住所・生年月日・口座などを言わずに切る。自動音声が流れたら、最後まで聞かず番号も押さずに切ります。警察や役所を名乗られても、その場で手続きやお金の話に応じる必要はありません。
  3. 確かめるときは、自分で調べた番号にかけ直す。相手が教える番号ではなく、公式サイトや請求書に載っている番号、または最寄りの警察署に自分からかけます。
  4. 固定電話は国際電話を止める。「国際電話不取扱受付センター」(0120-210-364)に申し込むと、固定電話・ひかり電話で国際電話番号からの発着信を無償で休止できます。オペレーター案内は平日午前9時〜午後5時、自動音声案内は土日祝も含め24時間です。最寄りの警察署やインターネットからも申し込めます。
  5. 携帯電話は着信の設定を見直す。警察庁は、番号非通知や電話帳に登録していない番号からの着信拒否、留守番電話の活用、国際電話の着信規制ができるアプリの利用を勧めています。令和8年3月には国際電話や詐欺電話を遮断する機能などの基準を満たした2つのアプリが「警察庁推奨アプリ」に認定され、6月末までに約147.6万件ダウンロードされました。国民生活センターは、ドコモ「あんしんセキュリティ」、KDDI「迷惑電話撃退サービス」、ソフトバンク「ナンバーブロック」なども紹介しています。選び方は迷惑電話対策アプリの選び方を参考にしてください。
  6. 不安なときは相談する。消費者ホットライン「188」、警察相談「#9110」に相談できます。お金を払ってしまった・個人情報を話してしまった場合は、被害の整理メモで日時・番号・言われた内容を書き残してから相談すると話が早く進みます。

よくある疑問

「+81」から始まる番号は海外からの電話ですか?

81は日本の国番号です。国民生活センターの説明どおり、「+」の後ろの数字が国番号なので、「+81」の後ろに続くのは日本国内の番号ということになります。ただし表示される番号は偽ることもできるため、番号の見た目だけで本物かどうかは決められません。

相手が日本語を話していれば国内からの電話ですか?

そうとは限りません。警察庁の資料では、日本人がカンボジアやインドネシア、マレーシアなどの拠点から日本に詐欺の電話をかけていた事件が続けて摘発されています。

海外にいる家族や取引先からの電話まで止まりませんか?

警察庁の資料では、国際電話不取扱受付センターでの休止の対象は国際電話番号からの「発着信」とされています。海外とのやり取りがある人は、固定電話は止めて、連絡は携帯電話やメッセージアプリに寄せるなど、家族で連絡手段を決めておくと安心です。

知らない番号から着信があったら、まず番号検索で、ほかの人がどんな電話を受けたかを確かめてみてください。

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参考

この記事は2026年9月に書き、2026年10月に最新の公開情報で見直しました。

※日本の令和7年の数字は警察庁の確定値(2025年1〜12月)、令和8年上半期の数字は暫定値(2026年1〜6月)です。令和8年から警察庁はSNS型投資・ロマンス詐欺も特殊詐欺に含めて集計しているため、年をまたいだ件数の単純な比較はできません。電話番号の数は、都道府県から警察庁に報告された番号を重複を除いて数えたもので(月をまたいだ同じ番号は各月1件)、未遂・相談事案を含みます。令和7年1月からは、未使用の国番号が使われた場合も国際番号に数えています。韓国の数字は韓国警察庁の集計で、金額は韓国ウォンです。割合(約57%・約79%)は当サイトが表の数字から計算しました。アメリカの数字は消費者からFTCへの報告に基づく値です。

この記事に出てくる番号帯

気になる番号は 番号検索 から調べられます。

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