裏文化・懐かし

電話帳とタウンページの歩み:紙の電話帳と104が終わった今

公開日

昔はどの家にもあった分厚い電話帳。個人の名前で引く「ハローページ」は2023年2月に、お店や会社を業種で引く「タウンページ」は2026年3月31日に終わり、名前と住所から番号を教えてくれた「104番」も同じ日に終わりました。この記事では、NTT東日本が公表している資料をもとに、1890年に始まった日本の電話帳の歩み、なぜ紙の電話帳と104が終わったのか、そして電話帳が無くなった今、知らない番号や会社の番号をどう確かめればよいかを整理します。

日本の電話帳は電話の開通と同時に始まった

NTT東日本の資料によると、日本で最初の電話帳は、1890年に電話が開通したのと同時に発行された「電話加入者人名表」です。電話番号順・縦書きで、この年に東京と横浜で電話交換業務が始まったとき、対象の加入者は197でした。

その後、名前と並べ方が何度も変わりました。

年出来事
1890年最初の電話帳「電話加入者人名表」を発行(電話番号順・縦書き)
1897年「電話番号簿」の名称が定められる
1898年並べ方を電話番号順からイロハ順に変更
1925年50音順(アイウエオ順)に変更し、縦書きから横書きへ
1931年電話番号簿に初めて広告を掲載
1951年「職業別電話番号簿」と「人名別電話番号簿」の2種類に分かれる
1959年「人名別」を「50音別電話番号簿」に改名
1971年「電話番号簿」を「電話帳」と改称(職業別電話帳・50音別電話帳)
1974年石油ショック後の用紙節減のため、分冊化と発行周期の延長(1年→1年半)
1983年職業別電話帳を「タウンページ」、50音別電話帳を「ハローページ」とする愛称が決まる

つまり「タウンページ」は1983年に付いた愛称で、業種別の電話帳そのものは1951年からありました。ハローページとタウンページは、同じ電話帳の「名前で引く版」と「業種で引く版」という関係です。

番号を調べるもう一つの柱:104番

電話帳と並んで番号を調べる手段だったのが番号案内です。NTT東日本の資料では、1953年に東京で局番の大きな再編成が行われたとき、市内の番号案内が「104番」になりました。1989年11月1日には全国の電話番号を104番で案内できるようになっています。

104の利用回数は、NTT東日本・西日本の合計で1989年度に12.8億回ありました。1990年12月1日から有料になります。その理由としてNTT東日本は、1988年8月の調査で「毎日ないし週に数回利用する人」が全体の17%程度なのに、その人たちの利用が取り扱い全体の78%を占めていたことを挙げています。

104で案内されるのは、電話帳に登録している人と、事前に番号案内を申し込んだ人の番号だけでした。1994年1月25日には「掲載省略案内サービス」も始まっています。

インターネットへの移行:iタウンページの誕生

電話帳のインターネット化は意外に早く始まっています。NTT東日本の資料によると、1996年に東京23区で「インターネットタウンページ」が始まり、1998年には全国のタウンページ情報を検索できるようになりました。2000年からは「iタウンページ」の名前で提供されています。

その後も、2001年にハローページ個人名編の希望者への配達が始まり、2011年には紙のタウンページをWebで閲覧できる「タウンページライブラリー」が始まりました。2019年からは発行周期を順次18カ月に延ばしています。紙を減らし、ネットに移す流れが20年以上かけて進んできたことが分かります。

ハローページの終了(2023年2月)

NTT東日本とNTT西日本は2020年6月18日、ハローページ(個人名編・企業名編)を2021年10月以降に発行する最終版で終えると発表しました。理由として挙げたのは次の点です。

  • 携帯電話やインターネットなど、固定電話の代わりになる手段の普及
  • 通話アプリやSNSなど、連絡手段の多様化
  • 個人情報保護に関する社会的意識の高まり

こうした変化で「配布数・掲載数が大きく減少している」というのが発表の説明です。最終版は地域ごとの日程で発行され、NTT東日本の資料では、ハローページは2023年2月をもって終了しています。

タウンページと104の終了(2026年3月31日)

2024年7月19日、NTT東日本・西日本は、タウンページと番号案内(104番)、NTTファクス104を2026年3月31日で終えると発表しました。スマートフォンの普及で番号の調べ方が多様化したこと、タウンページの広告掲載数と104の利用数が大きく減ったことが理由です。

終わる直前の数字を見ると、減り方の大きさが分かります。

項目2023年度発行分2024年度発行分
発行版数(東西合計)368版306版
発行部数(東西合計)約2,662万部約2,115万部
本文掲載数(東西合計)約463万件約395万件

104の利用回数(東西合計)は、1989年度12.8億回、2000年度6.5億回、2009年度2.3億回と減り、2024年度は0.1億回でした。

タウンページの最終版(2025年1月〜2026年3月)は、インターネットで見られる「Web版」と、業種を絞った「冊子版」の2種類になり、紙の冊子は希望した人だけに届けられました。NTT東日本のサイトでは、104とNTTファクス104が2026年3月31日で終了したことが告知されています。

2026年4月以降も続いているもの

  • iタウンページ:NTTタウンページ社が提供するWebの電話帳。NTT東日本は、タウンページと104の終了後はiタウンページなどインターネットで番号を調べるよう案内しています。
  • 点字電話帳:目の不自由な人向けに原則3年ごとに発行。タウンページ終了後も続きます。
  • ふれあい案内:障害のある人向けに、企業や店舗などの番号を名前と住所から無料で案内するサービス(事前登録が必要)。104の終了に合わせて受付番号や時間が見直され、登録済みの人は0120-104-565(午前9時〜午後5時・年中無休)、新規登録の相談は0120-104-174です。
  • ドコモの携帯電話からの104:NTTドコモは2025年9月30日のお知らせで、2026年4月1日から番号案内の事業者をNTT東日本・西日本から自社に替えて104を続けると案内しました。営業時間は9時〜20時になり、案内するのは企業・行政の番号のみで、個人の番号は案内しません。

また、タウンページの情報を地域別・業種別のリストにした「タウンページデータベース」は、カーナビや110番の通信指令台などでも使われてきました。これもiタウンページのデータを使う形で提供が続いています。

電話帳と個人情報:「載せない」は昔から選べた

電話帳は個人の名前・住所・番号が載る本でしたが、載せるかどうかは加入者が選べました。ハローページ終了の発表でも、掲載・非掲載の申し込み先として局番なしの116が案内されていました。

個人情報保護委員会と総務省のガイドライン(電気通信事業における個人情報等の保護に関するガイドライン 第44条)は、電話帳の発行や番号案内をする事業者に対し、掲載や案内をしない選択の機会を加入者に与えることが適切とし、省略を選んだ人の情報は遅滞なく除外しなければならないとしています。また、電話帳に載せるのは氏名・住所・電話番号までで、それ以上の個人情報を載せるのは適当ではないとしています。

ただし、過去に発行された紙の電話帳は回収されるわけではありません。同じガイドラインの解説は、市販の電話帳を「個人情報データベース等」に当たらない例に挙げています。昔の電話帳に載っていた番号が今どう使われうるかは、名簿業者から電話番号が流出する仕組みで詳しく書いています。番号から相手の住所や名前がどこまで分かるかについては、電話番号の逆引きとは?も参考にしてください。

電話帳が無い今、番号をどう調べるか

紙の電話帳とNTT東日本・西日本の104が終わり、ドコモの104も個人の番号は案内しないため、個人の番号を電話帳や番号案内で調べることは基本的にできなくなりました。知りたいのが会社やお店の番号か、かかってきた知らない番号の正体かで、調べ方が変わります。

会社・お店・役所の番号を知りたいとき

  1. 相手の公式サイト、届いた請求書・契約書・カードの裏面など、手元にある正規の書類に載っている番号を使う。
  2. お店や施設なら iタウンページで業種と地域から探す。会社の正式名称や所在地を確かめたいときは、法人番号で照合する方法があります(法人番号から会社情報を調べる方法)。
  3. 銀行やカード会社は、ネット検索の広告や知らないサイトに出た番号ではなく、カード裏面や通帳・公式アプリの番号にかける(銀行・カード会社の正規番号の確かめ方)。

知らない番号から電話が来たとき

電話帳の時代は「名前から番号」を引きましたが、今多いのは「番号から相手」を知りたい場面です。電話帳にあたる公的な逆引き名簿はありません。次の順で確かめるのが現実的です。

  1. すぐに出ない・かけ直さない。用があれば留守番電話に残るのを待つ。
  2. 番号の形(市外局番・携帯・050・0120など)から種類を見る。
  3. 当サイトの番号検索で、口コミや公開情報を確認する。手順は知らない電話番号の調べ方まとめにまとめています。
  4. 検索しても何も出ない番号もあります。出ないこと自体の意味は検索しても出てこない電話番号の意味で解説しています。
  5. 相手が「○○社です」と名乗ったら、一度切って、自分で調べた公式の番号にかけ直して確かめる。

固定電話をいまも使っている家庭へ

電話帳が終わっても、固定電話そのものは使えます。NTTの固定電話のしくみの変化(メタル回線からの移行やひかり電話との違い)は、ひかり電話と加入電話の違いで整理しています。かつて電話帳に番号を載せていた家庭では、その番号に営業や不審な電話が来ることもあるため、知らない番号には出ずに留守番電話で用件を聞く設定にしておくと安心です。

まとめ

  • 日本の電話帳は1890年の「電話加入者人名表」から始まり、1983年に「タウンページ」「ハローページ」の愛称が付いた。
  • ハローページは2023年2月、タウンページと104番(NTT東日本・西日本)は2026年3月31日に終了した。
  • 104の利用は1989年度の12.8億回から2024年度の0.1億回まで減っていた。
  • 今はiタウンページ、公式サイト、手元の正規書類で番号を確かめる。ドコモの104は企業・行政の番号のみ。
  • 知らない番号からの電話は、出ずに・かけ直さずに番号検索で調べ、名乗った相手は自分で調べた公式の番号で確かめる。

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参考

この記事は2026年10月に、以下の公開情報をもとに書きました。

※電話帳の発行版数・部数・掲載数は、NTT東日本の資料に載っているNTT東日本・西日本合計の値で、2023年度・2024年度に発行した電話帳のものです。104の利用回数は東西合計の年度値(億回・端数処理あり)です。ふれあい案内の受付番号・時間とドコモの104の条件は2026年10月時点の各社の案内によるもので、変わることがあります。

この記事に出てくる番号帯

気になる番号は 番号検索 から調べられます。

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