コラム

保険の勧誘電話がしつこいとき:断り方と相談先

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保険の勧誘電話を何度も受けて困っている人に向けて、法令・金融庁の監督指針・公的な統計にもとづき、①保険の電話勧誘のルール(一般の電話勧誘販売との違い)、②断るときに伝えること・記録すること、③相手が本物の保険会社や代理店かの確かめ方、④申し込んでしまったときのクーリング・オフの条件、⑤相談件数と相談窓口の電話番号をまとめます。

保険の電話勧誘には「特定商取引法」とは別のルールがある

健康食品や教材などの電話勧誘販売には、特定商取引法(特商法)が適用されます。特商法第17条は、契約しないと意思表示した人に対して、事業者が勧誘を続けることを禁止しています。一般の営業電話の断り方は営業電話の断り方にまとめています。

ただし、保険会社が行う保険の販売は、この特商法の電話勧誘販売の規定の対象外です。特商法第26条第1項第8号ニと、施行令第11条・別表第二(第37号に保険業法の保険会社が挙がっています)によって、適用除外になっています。保険の勧誘は、保険業法や金融サービス提供法など、保険・金融向けの法律と、それにもとづく金融庁の監督で扱われます。

勧誘する人は最初に「どこの保険会社の、どんな立場か」を明かす

保険業法第294条第3項は、保険募集人(保険会社の営業職員や代理店)が保険募集をしようとするときは、あらかじめ顧客に次のことを明らかにしなければならないと定めています。

  • 所属する保険会社の名前(商号・名称)
  • 自分が保険会社の代理人として契約を結ぶのか、契約の媒介(仲立ち)をするのか

電話の相手に「どこの保険会社の商品ですか」「保険会社の社員ですか、代理店ですか」と聞くのは当然のことです。はっきり答えない相手とは、話を進めない方が安全です。

会社は「勧誘方針」を定めて公表しなければならない

金融サービスの提供及び利用環境の整備等に関する法律(金融サービス提供法)では、保険契約の締結も「金融商品の販売」に含まれます(第3条第1項第4号)。そのうえで第10条は、金融商品の販売を業として勧誘する事業者に、あらかじめ「勧誘方針」を定めることを求めています。勧誘方針には「勧誘の方法及び時間帯に関し勧誘の対象となる者に対し配慮すべき事項」を入れること、定めたら速やかに公表することも決められています。

会社名が分かれば、その会社が公表している勧誘方針で、電話の時間帯や回数が方針に合っているかを確かめられます。

監督指針:「今後の電話はお断り」と言われたら電話しない

金融庁の「保険会社向けの総合的な監督指針」(令和8年10月1日適用版)のⅡ-4-4-2-1(5)は、電話による新規の保険募集について、「非対面で、顧客の予期しないタイミングで行われること等から、特に苦情等が発生しやすい」と書いています。そのうえで、電話募集を繰り返し行う保険会社・保険募集人には、次のような取り組みを求めています。

  • 説明すべき内容を定めたトークスクリプト(台本)を整え、徹底すること
  • 顧客から今後の電話を拒否する意向があった場合、今後の電話を行わないよう徹底すること
  • 通話内容を記録・保存すること
  • 苦情の原因分析と再発防止、募集した人以外による通話内容の確認(契約に至らなかった通話も含む)

この項目は生命保険・損害保険を問わず対象です。「今後の電話はお断りします」とはっきり伝えることには意味があります。

損害保険では「断った人への執拗な電話」も挙がっている

同じ監督指針のⅡ-4-2-2(11)②では、損害保険会社と損害保険募集人について、次のような行為をしていないかを確認する項目があります。

  • 「顧客に対し、威圧的な態度や乱暴な言葉等をもって著しく困惑させること」
  • 「勧誘に対する拒絶の意思を明らかにした顧客に対し、その業務若しくは生活の平穏を害するような時間帯に執拗に訪問し又は電話をかける等の社会的批判を招くような方法により保険募集を行うこと」

これは保険業法施行規則第234条第1項第2号(威迫したり、業務上の地位などを不当に利用したりして申し込みをさせる行為の禁止)の趣旨を踏まえた項目です。どちらの項目でも、「はっきり断った」という事実があるかどうかが、あとで相談するときに大事になります。

うその説明・会社名を誤解させる言い方は禁止されている

保険業法第300条第1項第1号は、うそを告げることや、契約の判断に影響する重要な事項を告げないことを禁止しています。また保険業法施行規則第234条第1項第5号は、保険の種類や保険会社の名前を、ほかのものと誤解させるおそれのあることを告げる行為を禁止しています。「○○(有名な会社)の関係です」とだけ名乗って中身の説明がない電話には、会社名をもう一度はっきり聞いてください。

電話営業全般の法律上のルールは断った営業電話がまた来たら?特定商取引法の電話勧誘ルールでも取り上げています。

断るときに伝えること・記録しておくこと

  1. 会社名・担当者名と「保険会社か代理店か」を聞いてメモする。どこの会社なのかが分からないと、勧誘方針の確認も相談もできません。
  2. 「契約するつもりはありません。今後の勧誘の電話もお断りします」と、はっきり伝える。「今は忙しい」「また今度」のような答え方では、断る意思がはっきり伝わりません。理由を説明する必要はありません。
  3. 日時・電話番号・話の内容を記録する。何回目の電話か、断った後にまたかかってきたかが分かるようにしておきます。書き方は被害メモの書き方を参考にしてください。
  4. その場で住所・生年月日・家族構成・加入中の保険の内容などを答えない。本当に必要な話なら、自分で調べた会社の公式窓口にかけ直して確かめられます。
  5. 同じ番号から何度もかかるときは着信拒否を使う。番号を変えてかかってくる場合も、記録を続けておけば相談のときに役立ちます。

伝え方の例:「○○保険の代理店の△△さんですね。加入するつもりはありませんので、今後のお電話はお断りします。」と言って切ります。

電話の相手は本物の保険会社・代理店?確かめ方

生命保険協会の「生命保険相談所リポート(令和7年度)」には、「代理店を名乗る会社から保険の勧誘を受けているが、この代理店が実在する会社なのか調べたい」という相談が例として載っています。相手が本物かどうか分からないまま話を続けないことが大切です。

確かめることやり方
所属する保険会社と立場「どこの保険会社の商品か」「代理人か媒介か」を聞く(保険業法第294条第3項で、募集人が先に明らかにすべき事項)
会社が実在するか名乗った会社名と所在地を聞き、法人番号で会社情報を調べる(方法は法人番号から会社情報を調べる方法)
保険会社とその代理店の関係電話で言われた番号ではなく、保険会社の公式サイトに載っている窓口に自分でかけて確かめる
電話番号の評判表示された番号を検索し、ほかの人の口コミを見る(番号の評判だけで本物と判断せず、上の確認と合わせて使う)

申し込んでしまったら:保険のクーリング・オフ

保険契約の申し込みの撤回・解除(クーリング・オフ)は、保険業法第309条で定められています。

  • 撤回・解除は書面または電磁的記録で行います。
  • 期限は、クーリング・オフについて書いた書面を受け取った日と申し込んだ日の遅い方から数えて8日です。
  • 書面の場合は書面を発した時に効力が生じます(第4項)。出した日が分かる方法で送り、控えを残します。
  • 保険会社は、撤回・解除に伴う損害賠償や違約金を請求できません(第5項)。受け取ったお金は速やかに返す決まりです(第6項。契約の解除の場合は、解除までの期間に当たる保険料などの例外があります)。
  • 撤回・解除の時点ですでに保険金の支払事由が生じていると、原則として撤回・解除の効力は生じません(第9項)。

次の場合などはクーリング・オフの対象外です(第309条第1項各号)。

主な対象外のケース根拠
上の8日を過ぎた第1号
営業・事業のための契約第2号
保険期間が1年以下の契約第4号
法令で加入が義務付けられている契約第5号
保険会社などの営業所・事務所で申し込んだ場合など、政令で定める場合第6号

特商法のクーリング・オフとは根拠となる法律も条件も違います。電話勧誘で買った商品一般の手続きはクーリング・オフは電話でできる?正しい通知方法と注意点にまとめています。保険の場合は、契約書類に書かれたクーリング・オフの説明を必ず確認してください。

保険の勧誘についての相談は実際に多い

  • 消費生活センター(生命保険):国民生活センターのまとめ(2026年7月31日更新)では、全国の消費生活センター等に寄せられた生命保険に関する相談(PIO-NETに登録された件数)は2023年度4,573件、2024年度4,236件、2025年度4,232件でした。
  • 生命保険相談所:令和7年度(2025年度)に受け付けた件数は8,812件で、そのうち苦情が3,880件でした。苦情の項目では「不適切な募集行為」が236件(苦情全体の6.1%)で第5位、「不適切な話法」が116件(3.0%)で第10位です。
  • そんぽADRセンター(損害保険):2025年度の受付は28,686件(うち苦情10,648件)でした。保険会社に対応を求める苦情解決手続5,012件のうち、契約の募集の場面についての苦情は429件(8.6%)です。
  • 電話勧誘全般:国民生活センターの「2025年度 全国の消費生活相談の状況」(2026年8月5日発表)では、販売方法・手口別で「電話勧誘販売」に当たる相談が56,663件と第3位でした(2024年度は50,458件で第4位)。保険に限った数字ではありません。

「保険金で住宅修理ができる」という電話にも注意

保険会社ではない業者から「火災保険を使って自己負担なく住宅の修理ができる」と持ちかけられるトラブルもあります。国民生活センターの2021年9月の発表では、「保険金が使える」と勧誘する住宅修理サービスの相談は2019年度2,691件、2020年度5,447件と2倍以上に増えていました(この分類には訪問販売・通信販売・電話勧誘販売による相談が含まれます)。国民生活センターは、すぐに契約しないこと、保険金の請求は申請サポート会社に頼らず加入者自身でできること、不明な点は加入している保険会社や保険代理店に直接相談すること、うその理由で保険金を請求しないことを呼びかけています。点検を口実にした勧誘は屋根・外壁・水道の「点検」の電話でも取り上げています。

相談できる窓口

窓口電話番号受付時間・内容
生命保険協会 生命保険相談所(生命保険相談室)03-3286-26489:00~17:00(土日祝・12/29~1/3を除く)。話し合いで解決しない場合は裁定審査会もある
生命保険協会「不適切な販売・勧誘防止のためのホットライン」03-3286-29679:00~17:00(土日祝など協会の休業日を除く)。営業職員・代理店の説明等に疑問や不適切な点があるとき
日本損害保険協会 そんぽADRセンター03-4332-5241月~金 9:15~17:00(祝日・休日、12/30~1/4を除く)。損害保険の相談・苦情・紛争解決
金融庁 金融サービス利用者相談室0570-016811(IP電話からは03-5251-6811)平日10:00~17:00。他機関の紹介や論点の整理をする窓口で、あっせん・仲介・調停は行わない
消費者ホットライン188最寄りの消費生活センターなどにつながる。相談は無料(通話料はかかる)
警察相談専用電話#9110緊急でない相談。脅すような言動などがあれば相談を。身の危険があるときは110番

生命保険相談所では、相談所が保険会社に解決を依頼してから原則1か月たっても解決しない場合に、中立・公正な立場から裁定を行う「裁定審査会」に申し立てができます。どこに相談すればよいか迷うときは迷惑電話の相談先の使い分けも参考にしてください。

よくある質問

はっきり断ったのに、また同じ会社から電話が来ました。

保険の勧誘に特商法第17条は適用されませんが、監督指針は、今後の電話を拒否されたら電話しないよう徹底することを保険会社・募集人に求めています。断った日時と、その後にかかってきた日時を記録し、その保険会社のお客様窓口(公式サイトで調べた番号)に伝えるか、生命保険なら生命保険相談所・ホットライン、損害保険ならそんぽADRセンターに相談してください。

高齢の親が保険の電話勧誘を受けているようです。

監督指針は高齢者への保険募集について、親族等の同席を求める、検討の時間を取るために複数回の募集機会を設ける、などの取り組みを例に挙げています。電話だけで話を決めず、家族が同席する場で書面を見ながら説明を受けるよう、親と話し合っておくとよいでしょう。申し込んでしまった場合は、上のクーリング・オフの期限を早めに確認してください。

まとめ:しつこい保険の勧誘電話を受けたら

  1. 会社名・担当者名・「保険会社か代理店か」を聞き、「契約しない。今後の電話もお断り」とはっきり伝えて切る。
  2. 日時・番号・内容を記録し、同じ番号は着信拒否にする。
  3. 電話で聞いた番号にはかけ直さない。確認したいときは、保険証券や公式サイトで自分で調べた番号にかける。
  4. 申し込んでしまったら、8日の期限内に書面または電磁的記録でクーリング・オフできるかを確かめる。
  5. 断った後も続く、脅すような言い方をされた、といったときは、生命保険相談所・そんぽADRセンター・188へ相談する。身の危険を感じたら警察(#9110、緊急時は110番)へ。
  6. 知らない番号からの着信は、出る前に番号検索でどこからの電話か、ほかの人の口コミを確認する。

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参考

この記事は2026年9月に書き、2026年10月に最新の公開情報で見直しました。

※法令・監督指針の内容は2026年10月時点で確認したものです。監督指針は金融庁が保険会社などを監督するときの着眼点で、個々の電話が法令違反に当たるかどうかを決めるものではありません。監督指針の「断った人への執拗な電話」の項目は損害保険会社・損害保険募集人についての記載で、「今後の電話を拒否された場合は電話しない」の項目は電話で新規の保険募集を繰り返し行う保険会社・保険募集人についての記載です。生命保険の相談件数は国民生活センターが集計した全国の消費生活相談の件数(2026年5月31日現在)で、2026年度分は途中集計のため本文では扱っていません。生命保険相談所の件数は令和7年度(2025年4月~2026年3月)、そんぽADRセンターの件数は2025年度(2026年5月1日集計)のものです。住宅修理の件数は2021年9月発表時点(2021年7月31日までの登録分)のものです。窓口の電話番号・受付時間は変わることがあるため、かける前に各公式サイトで確認してください。クーリング・オフの可否は契約ごとに異なるため、契約書類の記載を確認してください。

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