日本で独自に進化した「ガラケー」は、2008年のiPhone上陸からおよそ5年で主役の座をスマートフォンに明け渡し、2026年3月31日にはNTTドコモの3G(FOMA)とiモードも終わりました。この記事では、ガラケーが何を先取りしていたのか、なぜスマホに置き換わったのかを総務省の白書と各社の公式発表で年表にし、3Gが終わった今、古い携帯を使っている家族がいる場合に確かめること、「電話が使えなくなる」という不審な電話への対処までをまとめます。
ガラケーは何を先取りしていたか
総務省の令和元年版情報通信白書によると、1999年1月1日に携帯電話とPHSの番号が10桁から11桁に変わり、同じ年にNTTドコモの携帯向けインターネット接続サービス「iモード」が始まりました(ドコモの案内では1999年2月開始)。番号が11桁になった経緯は携帯番号090・080・070・060の違いと追加の歴史で詳しく書いています。KDDI・沖縄セルラー電話やJ-PHONE(現ソフトバンク)も同様のサービスで続き、メールに加えて銀行振り込みやチケット購入まで携帯でできるようになりました。
平成27年版の白書は、iモードがサービス開始からおよそ1年後の2000年2月末に447万契約に達したこと、2002年度末には携帯電話のうちインターネット接続を使う割合が80%を超えたこと、2005年末には携帯電話などの移動端末でインターネットを使う人がパソコンで使う人を上回ったことを記しています。3G(第3世代)の本格サービスも、日本では2001年に世界に先駆けて始まりました。
端末の機能も先を走っていました。白書が挙げている例は次のとおりです。
| 年 | 出来事(総務省 白書の記述) |
|---|---|
| 1999年 | iモード開始。同年に携帯・PHSの番号が11桁に |
| 2000年 | J-PHONEが世界に先駆けてカメラ付き携帯を出し、撮った写真をメールに添付できるように |
| 2001年 | Javaで動く「iアプリ」開始。3Gの本格サービスも開始 |
| 2003年 | 100万画素カメラを積んだ携帯が発売 |
| 2004年 | iモードが使い放題になるパケット定額制「パケ・ホーダイ」開始 |
| 2005年 | FeliCaを内蔵した「おサイフケータイ」開始 |
一方で白書は、こうした機能が日本独自の進化を遂げたため、かえって世界の端末市場では通用しにくくなったという見方も紹介しています。そこから日本の多機能携帯は「ガラパゴスケータイ(ガラケー)」と呼ばれるようになり、今ではスマートフォンでない端末(フィーチャーフォン)全般を指す言葉になりました。
スマートフォン上陸から主役交代まで
| 時期 | 出来事 | 出典 |
|---|---|---|
| 2008年7月10日 | AppleがApp Storeを500本のアプリで開始 | Apple |
| 2008年7月11日 | ソフトバンクモバイルがiPhone 3Gを日本で発売 | ソフトバンク |
| 2009年7月10日 | ドコモがAndroid機「HT-03A」を発売(Androidマーケットからアプリを追加) | ドコモ |
| 2010年末→2011年末 | スマートフォンの世帯保有率が9.7%から29.3%へ、約3倍に | 総務省 平成24年版白書 |
| 2011年 | au(KDDI・沖縄セルラー電話)がiPhone 4SからiPhoneを販売 | 総務省 令和元年版白書 |
| 2012年→2013年 | スマートフォンの世帯利用率が49.5%から62.6%へ | 総務省 令和元年版白書 |
| 2013年9月20日 | ドコモがiPhone 5s・5cの提供を開始 | ドコモ |
世帯の保有率は2011年末に約3割、2013年の世帯利用率は6割を超えました。iPhoneの上陸から5年ほどで、主役が入れ替わったことになります。
ガラケーが置き換わった理由
1. 機能を「アプリ」で後から選べるようになった
令和元年版の白書は、スマホが広がった理由として、OS上で独自のアプリを動かせ、無数のアプリから使いたい機能を「ハードウェアにとらわれずサービス単位で」選べるようになったことを挙げています。ガラケーの機能は、カメラもおサイフケータイも、基本的に端末を買い替えて手に入れるものでした。App Storeは500本で始まり、2009年に出たドコモのAndroid機HT-03Aも「Androidマーケット」からアプリを追加できることを特長にしていました。
2. パソコンと同じウェブが見られるようになった
同じ白書は、それまで限定的にしか使えなかったインターネットの閲覧が、パソコンのように「フルブラウザ」で簡単にできるようになったことを、もう一つの理由に挙げています。携帯向けに作られたサイトの中だけでなく、パソコン向けのサービスがそのまま使えるようになったわけです。
3. 弱点が数年で埋まった
当初のスマホでは、ガラケーで当たり前だった絵文字が使えず、おサイフケータイの機能も無かったため、日本では利用をためらう動きもあったと白書は書いています。しかし絵文字は2010年にiPhone、2012年にAndroidで使えるようになり、電子決済も2015年にAndroid、2016年にiPhoneで、日本で広がっていたFeliCa方式で実装されました。ガラケーにしかない強みは、順に無くなっていきました。
4. 3社がそろってiPhoneを売るようになった
iPhoneは最初ソフトバンクモバイルだけが売っていましたが、2011年からau、2013年からドコモも販売を始めました。白書は、これによってスマホの利用がますます拡大したとし、世帯利用率が2012年の49.5%から2013年の62.6%へ上がったことを示しています。携帯会社の選び方や格安SIMの登場など、その後の市場の変化はMVNOの記事で扱っています。
5. 使い方そのものが変わった
平成24年版の白書が紹介したウェブアンケートでは、スマホ利用者の1日の接触時間(端末を使う時間)は屋内・屋外ともにフィーチャーフォン利用者の約2倍(合計129分)でした。月々の通信サービスへの支出も、フィーチャーフォン利用者が合計4,448円だったのに対し、スマホ利用者は9,488円と2倍以上でした。携帯が「電話とメールの道具」から「一日中使う小さなパソコン」に変わったことが、数字にも表れています。
3Gの終了:ガラケーの時代はこうして終わった
多くのガラケーは3Gの電波を使っていたため、3Gの停波が実質的な終わりになりました。各社の終了日は次のとおりです。
| 会社 | 3Gサービス | 開始 | 終了 |
|---|---|---|---|
| au(KDDI・沖縄セルラー電話) | CDMA 1X WIN | 2003年11月 | 2022年3月31日(対象契約は4月1日に自動解約) |
| ソフトバンク | 3Gサービス | — | 2024年4月15日(能登半島地震の影響で、石川県在住の利用者は同県内で7月31日まで延長) |
| NTTドコモ | FOMA・iモード | FOMA 2001年10月/iモード 1999年2月 | 2026年3月31日(2026年4月以降自動解約) |
総務省の四半期データでは、3Gの契約数は2022年3月末の1,892万から、2026年3月末には228万まで減り、2026年6月末には0になりました。同じ6月末時点で、5Gの契約数は1億3,153万、LTE(4G)は1億581万で、5Gが最も多くなっています(いずれも単純合算)。
令和7年通信利用動向調査(2025年8月末時点)では、スマートフォンを持つ世帯は91.8%、個人では携帯電話かスマートフォンを1種類以上持つ人が85.9%、うちスマートフォンを持つ人は78.9%でした。
今、古い携帯を使っている家族がいたら確かめること
- その携帯で電話がかけられるか:ドコモによると、VoLTEに対応していない4G機種は2026年3月31日以降、音声通話が使えません。3G専用の機種はもちろん、4G機種でも古いものは使えない場合があります。
- 契約が残っているか:ドコモのFOMA・iモードの契約は2026年4月以降に自動解約、auの3G契約は2022年4月1日に自動解約されています。電話番号やメールの扱いは各社の公式案内で確かめてください。
- 新しい機種の迷惑電話対策:買い替えた後は、着信拒否や迷惑電話の警告機能を設定しておくと安心です。設定でできることとできないことはスマホのブロック機能と迷惑電話対策の限界にまとめています。
高齢の家族の機種変更を手伝うときは、あわせて高齢の家族を電話詐欺から守る対策も話しておくとよいでしょう。
「電話が使えなくなる」という電話が来たら
回線の終了や切り替えは、不審な電話の口実にも使われます。国民生活センターは2024年12月、総務省やNTT東日本・西日本を名乗り、自動音声で「2時間後に電話が使えなくなる」と告げ、「1番」を押すとオペレーターにつながって住所・氏名・生年月日などを聞き出す電話について注意を呼びかけました。その中で「総務省やNTT東日本およびNTT西日本から、電話を停止することに関して、自動音声ガイダンスやSMSを使って連絡することは絶対にありません」と明記しています。手口の詳しい流れはNTTを装う回線停止詐欺と自動音声の電話の種類で解説しています。
- 自動音声が流れたら、最後まで聞かずに切る。番号は押さない。
- 住所・氏名・生年月日・口座などは答えない。
- 本当に契約の手続きが必要か気になるときは、自分で調べた携帯会社の公式サイトや窓口で確かめる。ドコモの3G終了のように、本物の終了は公式サイトで案内されています。
- かかってきた番号は番号検索で、ほかの人の口コミがないか調べる。
- 不安なとき・個人情報を話してしまったときは、消費者ホットライン188、警察相談専用電話#9110に相談する。
あわせて読みたい
参考
この記事は2026年10月に、以下の公開情報をもとに書きました。
- 総務省「令和元年版 情報通信白書」携帯電話の登場・普及とコミュニケーションの変化
https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/r01/html/nd111110.html - 総務省「平成27年版 情報通信白書」携帯電話の普及と高度化
https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/h27/html/nc111220.html - 総務省「平成24年版 情報通信白書」
https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/h24/html/nc122310.html - ソフトバンクモバイル「ソフトバンクとアップル、iPhone 3Gを7月11日より日本で発売」(2008年6月10日)
https://www.softbank.jp/corp/group/sbm/news/press/2008/20080610_01/ - Apple「The App Store turns 10」(2018年7月)
https://www.apple.com/newsroom/2018/07/app-store-turns-10/ - NTTドコモ「「docomo PRO series HT-03A」を発売」(2009年7月1日)
https://www.docomo.ne.jp/info/news_release/page/090701_00.html - NTTドコモ「NTTドコモとApple、日本でiPhoneを9月20日(金曜)より提供開始」(2013年9月)
https://www.docomo.ne.jp/info/news_release/2013/09/11_00.html - KDDI「3G携帯電話向けサービス「CDMA 1X WIN」を22年3月31日に終了」(2021年11月29日)
https://news.kddi.com/kddi/corporate/newsrelease/2021/11/29/5546.html - ソフトバンク「3Gサービスを4月15日に終了」(2024年3月13日)
https://www.softbank.jp/corp/news/press/sbkk/2024/20240313_01/ - NTTドコモ「「FOMA」および「iモード」サービス終了のご案内」
https://www.docomo.ne.jp/info/3g_closed/ - 総務省「電気通信サービスの契約数及びシェアに関する四半期データ(令和8年度第1四半期(6月末))」
https://www.soumu.go.jp/main_content/001093189.pdf - 総務省「令和7年通信利用動向調査 ポイント」(2026年5月29日公表)
https://www.soumu.go.jp/main_content/001074767.pdf - 国民生活センター「「2時間後に電話が使えない!?」個人情報を聞き出す不審な電話にご注意!」(2024年12月19日)
https://www.kokusen.go.jp/news/data/n-20241219_1.html
※スマートフォンの保有率・利用率は総務省「通信利用動向調査」の各年の値で、年によって「保有率」「利用率」と集計の呼び方が異なります。3G・5G・LTEの契約数は総務省の四半期データの単純合算で、LTEには3Gも使える契約、5GにはLTEも使える契約を含みます。各社の手続きは公式サイトの最新の案内で確かめてください。