結論: 日本の電話事業は、1952年度に発足した日本電信電話公社(電電公社)が担い、1985年4月に民営化して日本電信電話株式会社(NTT)になりました。1999年度には持株会社の下にNTT東日本・NTT西日本などが分かれ、2025年7月1日には持株会社の商号が「NTT株式会社」に変わっています。この記事では、NTTの公式の沿革と総務省の資料をもとに、電話を引くお金(設備料・施設設置負担金)の移り変わり、NTT法の見直しの今、そして「NTTを名乗る電話」への向き合い方までをまとめます。
年表:電電公社からNTT株式会社まで
| 時期 | 出来事 |
|---|---|
| 1952年度 | 日本電信電話公社が設立。逓信省・電気通信省と官営で行われてきた電信電話事業を引き継ぐ |
| 1985年4月 | 電電公社からNTTへ民営化(日本電信電話株式会社 設立) |
| 1988年度 | ISDN「INSネット64」を東京・名古屋・大阪で提供開始。同じ頃NTTデータ(1988年)を設立 |
| 1991年 | NTTドコモを設立 |
| 1996年度 | インターネット接続サービス「OCN」提供開始 |
| 1998年度 | 携帯電話からインターネットを使える「iモード」開始 |
| 1999年度 | 持株会社体制へ移行。NTT東日本(1999年7月1日設立)・NTT西日本・NTTコミュニケーションズを設立 |
| 2024年 | NTT法の改正(研究成果の普及責務の廃止、外国人役員の規制緩和、商号変更を可能に など) |
| 2025年5月28日 | 電気通信事業法とNTT法をあわせて改める法律(令和7年法律第46号)が公布 |
| 2025年7月1日 | 持株会社の商号が「日本電信電話株式会社」から「NTT株式会社」に |
出典:NTT「沿革」、NTT東日本「会社概要」、総務省・情報通信審議会の資料、NTTニュースリリース(いずれも末尾の参考を参照)。
電電公社の時代:電話を引くには「設備料」が必要だった
電電公社の時代を語るうえで外せないのが、電話を新しく引くときに払うお金です。NTT西日本のデータブックには「契約料、施設設置負担金の推移(税抜)」が載っています(大阪・単独電話の例)。
| 時期 | 名前 | 金額(税抜) |
|---|---|---|
| 1952年当時 | 装置料+負担料 | 4,000円+30,000円=34,000円 |
| 1960年4月 | 設備料 | 10,000円 |
| 1968年5月 | 設備料 | 30,000円 |
| 1971年6月 | 設備料 | 50,000円 |
| 1976年11月 | 設備料 | 80,000円 |
| 1985年4月 | 工事負担金(80,000円に含まれていた宅内工事費8,000円を差し引いたもの) | 72,000円 |
| 1989年4月 | 「施設設置負担金」に名称変更 | ― |
| 2005年3月 | 施設設置負担金 | 36,000円 |
同じ表によると、かつては電話に加入するときに「電信電話債券」の引き受けも求められていましたが、これは1983年3月に廃止されています。現在の施設設置負担金は、加入電話(単独電話)で39,600円(税込)です。
この負担金は「電話加入権」と結びつけて語られることが多いものです。NTT西日本は、電話加入権を「加入電話契約者が加入電話契約に基づいて加入電話の提供を受ける権利」(電話サービス契約約款第21条)と説明したうえで、施設設置負担金について「当社が電話加入権の財産的価値を保証しているものではありません」「解約時等にも返還しておりません」と明記しています。「昔払った7万円が戻ってくる」「加入権を買い取る」といった話を電話で持ちかけられても、NTTが返金するお金ではない点は押さえておきましょう。
初期費用を払わずに月々の基本料に上乗せする「ライトプラン」は、加入電話では2002年2月から選べるようになり、NTT西日本は2004年11月に公表した資料(データブックに再掲)で「現在では、新規契約のお客様のうちの大半の方がライトプランを選択しています」と書いています。2005年3月1日の値下げは、2004年10月の情報通信審議会の答申を受けたものです。
1985年の民営化と、その後に生まれた会社
NTTの沿革では、1985年度に「電電公社からNTTへ民営化(日本電信電話株式会社 設立)」とあり、その背景を通信の自由化としています。民営化後には、NTTデータ(1988年)、NTTドコモ(1991年)、NTTファシリティーズ(1992年)、NTTコムウェア(1997年)が次々に設立されました。1988年度にはISDNの「INSネット64」、1996年度には「OCN」、1998年度には「iモード」が始まり、電話会社がデータ通信や携帯電話へ広がっていった時期です。
1999年の再編:NTT東日本とNTT西日本
1999年度、NTTは持株会社体制へ移り、NTT東日本、NTT西日本、NTTコミュニケーションズが設立されました。NTT東日本の会社概要によると、設立は1999年7月1日で、営業区域は北海道・青森・岩手・宮城・秋田・山形・福島・茨城・栃木・群馬・埼玉・千葉・東京・神奈川・新潟・山梨・長野の17都道県です。これ以外の府県はNTT西日本の区域です。
固定電話の番号を見るときは、この東西の分け方も手がかりになります。たとえば総務省の市外局番の一覧では、03は東京都23区など、011は札幌市など、06は大阪市など、092は福岡市などの番号で、03と011はNTT東日本の区域、06と092はNTT西日本の区域にあたります。ただし今は光回線の電話やほかの会社の固定電話も同じ形の番号を使うため、番号だけでNTTの回線かどうかは分かりません。市外局番と地域の対応は固定電話の番号の一覧で確かめられます。
NTT法の見直しは今どうなっているか
NTTには「日本電信電話株式会社等に関する法律」(NTT法)という専用の法律があります。ここ数年、この法律の見直しが続いています。
2024年の改正
総務省の概要資料によると、2024年の改正では次の5点が決まりました。施行は「公布の日の翌日」です。
- 「研究の推進責務」と「研究成果の普及責務」を廃止
- 外国人役員を一切認めない規制から、外国人の代表取締役への就任や外国人が役員の3分の1以上を占めることを禁止する規制に緩和
- 役員の選任・解任の決議の「認可」を事後の届出に緩和
- 剰余金処分の決議の「認可」を廃止
- 会社名(商号)を変更できるようにする(対象はNTT持株・NTT東日本・NTT西日本)
あわせて「令和七年の常会を目途とした法案提出」も定められました。
2025年の改正(令和7年法律第46号)
この流れを受けて、電気通信事業法とNTT法をあわせて改める法律が2025年5月28日に公布されました。情報通信審議会の資料(2026年2月17日)は、主な内容を次のように整理しています。
- 電話・ブロードバンドを複数の事業者が連携して全国に届け、ほかの事業者がいない地域だけ提供の責務を負う「最終保障提供責務」を導入
- NTT東西の「県域業務規制」を撤廃
- 電話番号を使う計画の認定で、詐欺など特殊詐欺に関わる刑法犯で実刑を受けた者などを認定できない対象(欠格事由)に追加
同じ資料で情報通信審議会は、携帯電話の網を使う固定電話(モバイル網固定電話)なども、ユニバーサルサービス(全国どこでも提供されるべきサービス)に位置付けることが適当という方向で検討を進めています。
欠格事由の追加は、電話番号そのものを詐欺に使わせないための見直しです。電話番号を誰がどう割り当てているかは電話番号は誰が管理している?総務省の仕組みと番号の見分け方で説明しています。
2025年7月1日の商号変更
NTTは2025年7月1日から、持株会社の商号を「日本電信電話株式会社」から「NTT株式会社」に変えました。理由についてNTTは「民営化から40年が経過し、設立時に設定した『日本電信電話株式会社』という商号と、事業内容のギャップが大きくなっています」と説明しています。同じ日に、東日本電信電話株式会社は「NTT東日本株式会社」、西日本電信電話株式会社は「NTT西日本株式会社」に商号を変えています。
「NTTです」という電話が来たら
名前が広く知られているぶん、NTTの名前は勧誘や詐欺の電話にも使われます。「NTTの代理店です」「回線が止まります」「電話加入権を買い取ります」などと言われても、その電話が本当にNTTからかどうかは、かかってきた電話の中では確かめられません。
NTT東西の電話の手続きの窓口は、局番なしの116です。NTT西日本のデータブックでも、基本料が賄う費用として「窓口・116の受付」が挙げられています。116のような3桁の番号の一覧は1XY番号のページにまとめています。
- その場で手続きしない。「今日中に」「工事が必要」と急がされても、いったん切ります。
- 自分で調べた番号にかけ直す。NTTの契約のことなら、請求書に書かれた番号か116に自分からかけて確かめます。相手が言った番号にはかけ直しません。
- お金や加入権の話は疑う。施設設置負担金はNTTが返すお金ではありません。「返金」「買い取り」の話は特に注意します。
- 番号を調べる。かかってきた番号は当サイトの番号検索で口コミを確認できます。
- 困ったら相談。契約してしまった場合は消費者ホットライン188、脅すような電話は警察相談専用電話#9110へ。
手口の詳しい見分け方はNTTを装う回線停止詐欺の手口と対策と光回線の勧誘電話で「NTTの代理店です」と言われたら、固定電話でできる対策は固定電話の迷惑電話対策 70歳以上は番号表示が無料で紹介しています。
参考
この記事は2026年10月に、以下の公開情報をもとに書きました。
- NTT「沿革」
https://group.ntt/jp/ir/private_investor/business/history.html - NTTドコモ「沿革」
https://www.docomo.ne.jp/corporate/about/outline/history/ - NTT東日本「会社概要」
https://www.ntt-east.co.jp/aboutus/profile.html - NTT西日本 データブック「加入電話の料金体系」
https://www.ntt-west.co.jp/info/databook/pdf/031-058_denwaryokin.pdf - 総務省「日本電信電話株式会社等に関する法律の一部を改正する法律(概要)」
https://www.soumu.go.jp/main_content/000943536.pdf - 情報通信審議会 電気通信事業政策部会「最終保障提供責務の導入等に伴う基礎的電気通信役務制度の在り方 一次答申(案)」(2026年2月17日)
https://www.soumu.go.jp/main_content/001056257.pdf - NTT西日本「新しい『NTT西日本』始まる。」
https://www.ntt-west.co.jp/corporate/identity/ - 総務省「市外局番の一覧」
https://www.soumu.go.jp/main_content/000141817.pdf - NTT ニュースリリース(2025年5月9日)
https://group.ntt/jp/newsrelease/2025/05/09/250509z.html
※設備料・施設設置負担金の推移はNTT西日本のデータブックにある大阪・単独電話の例(税抜)で、現在の39,600円は税込です。法改正の内容は総務省・情報通信審議会の資料(2026年2月時点)によるもので、個々の規定の施行時期は総務省の発表で確認してください。