電話の歴史

固定電話の仕組み:手動交換からデジタル交換・IP網まで

公開日

結論: 家の固定電話は、交換手がつなぐ手動交換から、1926年に始まる自動交換、市外通話も自動にしたクロスバ交換機、1982年導入のディジタル交換機と変わり、2024年1月からはNTTの電話網そのものが順次IP網に切り替わりました。それでも電話番号も電話機もそのままで、変わったのは「局の中」と「通話料の決まり方」です。この記事では、声が電気になって相手に届くまでの仕組みを時代ごとに追い、IP網への移行で何が変わり何が変わらなかったか、それを口実にした勧誘にどう気をつけるかをまとめます。

年表:日本の固定電話の仕組みの移り変わり

年出来事つなぎ方
1890年東京市内と横浜市内を結ぶ電話サービスが始まる交換手が手でつなぐ
1926年自動交換機の導入が始まる(ステップ・バイ・ステップ方式)ダイヤルした数字で機械がつなぐ
1967年交換手を通さない市外通話が県庁所在地級の都市で使えるようにクロスバ交換機
1978年交換手を通さない市外通話が全国に広まるクロスバ交換機
1982年音声も制御信号もディジタルにしたディジタル交換機を導入声を0と1にして交換
2004年NTT東日本がひかり電話を開始SIPサーバーとルーターでつなぐ
2024年1月加入電話・INSネットの通話をIP網経由に切り替え、固定電話あての通話料を全国一律にメタル回線+変換装置+IP網

出典はNTT東日本のコラム、NTT東西の2022年1月の発表資料、NTT東日本の移行完了の案内です(末尾の参考を参照)。

1. 交換手の時代:電話は「交換」でつながる

電話は、相手の家まで1本の線を直接引いているわけではありません。各家庭からの線はいったん電話局に集まり、そこで相手の線とつなぎます。この「つなぐ」作業が交換です。1890年に東京・横浜で始まったサービスでは、受話器を上げると交換手が出て、相手を伝えると手作業でつないでくれる仕組みでした。初期の電話機にダイヤルが無かったのはこのためです。

2. 自動交換:ダイヤルの数字が機械を動かす

NTT東日本によると、1926年から交換手に代わる自動交換機が少しずつ入り始めました。最初の方式は「ステップ・バイ・ステップ」で、回したダイヤルの数字1つごとに機械が1段ずつ動いて、相手の線を選んでいきます。番号を回すだけで相手につながるこの方式が、電話番号で相手を呼ぶ今の使い方の出発点です(今の番号の決まり方は電話番号の仕組み)。

ただ、自動になったのは最初は市内通話で、1952年に日本電信電話公社ができた頃も、市外通話は交換手を通していました。

3. クロスバ交換機:市外通話も「待たずに」

市外通話は距離が長く、各地の自動交換機をいくつも経由する必要があるため、接続に時間がかかっていました。次に広まったクロスバ交換機は、こうした回線の自動接続を少ないコストで可能にし、市外通話の料金も自動で記録できるようになりました。その結果、交換手を通さず待ち時間もない市外通話が、1967年には県庁所在地級の都市で、1978年には全国で使えるようになりました。

4. アナログの声と、デジタルの声

アナログ:声の波を、そのまま電気の波に

受話器のマイクは、声による空気の振動を電気の強弱に変えます。アナログの電話は、この電気の波の形をそのまま線で送り、相手の受話器で再び空気の振動に戻します。

メタル回線(銅線)の加入電話には、もう1つ特徴があります。NTT東日本群馬支店は2011年3月の輪番停電の際、「交換機から通信端末に通話のための電力が供給されます」と案内し、電源コードの要らない電話機なら停電中も通話できるとしました。一方、ひかり電話やISDNは、家の側の機器が電源を必要とするため停電中は使えないとしています。停電と電話の関係はひかり電話と加入電話の違いでも整理しています。

デジタル:声を1秒に8000回「測って」数字にする

デジタルの電話は、声の電気の波を一定の間隔で測り、その大きさを数字にして送ります。電話の音声の符号化を定めた国際規格(ITU-T 勧告 G.711)は、1秒あたり8000回測り、1回の値を8ビット(0と1を8個)で表すことを定めています。8000回×8ビットで、毎秒64,000ビットになります。日本では1982年に、音声も制御信号もすべてディジタルにしたディジタル交換機が導入されました。

5. IP電話:声を「小包」に分けて送る

インターネットと同じIPという方式では、数字にした声を小さな包み(パケット)に分けて送ります。NTT東日本の説明では、ひかり電話は電話番号を管理する「SIPサーバー」や、音声データを振り分ける「ルーター」など、インターネットで使う機器で動いています。NTT東西は2024年のIP網への移行にあたり、「距離に依存しないIP網の特性を活かした、シンプルでフラットな料金体系とします」として、固定電話あての通話料を全国一律にしました(次の章)。

6. 2024年1月のIP網移行で変わったこと・変わらないこと

総務省の情報通信白書によると、NTTは昔ながらの電話網(PSTN)の中継・信号交換機が2025年頃に維持の限界を迎えるとし、2015年11月にIP網への移行の構想を発表しました。総務省の「固定電話網の円滑な移行」のページによると、移行後の加入電話は、家までのメタル回線はそのまま使い、加入者交換機を「メタル収容装置」として使って変換装置からIP網(NGN)につなぐ「メタルIP電話」という形です。

NTT東西が2022年1月に公表した内容と、NTT東日本の完了の案内をまとめると次のとおりです。

項目移行前移行後
電話番号・電話機-そのまま。家での工事も手続きも不要
基本料-現状と同額
固定電話あての通話料9.35円/3分〜11円/45秒(距離・時間帯で変わる)9.35円/3分(全国一律・全時間帯)。2024年1月1日0時に切替完了
携帯電話あての通話料17.6円/分現状と同額(2024年3月に切替完了)
続くサービス110・118・119、117(時報)、ナンバー・ディスプレイ、迷惑電話おことわりサービス、キャッチホンなど
終わったサービスINSネットのディジタル通信モード、ビル電話、114(お話中調べ)、空いたらお知らせ159、ナンバーお知らせ136、マイライン、テレホーダイなどの通話料割引

INSネットのディジタル通信モードで動いていた機器のためには、「切替後のINSネット上のデータ通信」(補完策)を2027年頃までを目途に一定期間提供する予定だと、NTT東西は2022年1月の資料で示しています。番号表示やキャッチホンの今の使い方はナンバー・ディスプレイとキャッチホンの歩みと今の使い方にあります。公衆電話も続くサービスに入っており、使い方は公衆電話の使い方と災害時の無料化にまとめています。

7. 番号の見方は変わらない

移行後も電話番号は変わらないため、03や06などの市外局番から始まる番号は、今も地域の番号として使われています。ただし、市外局番があるからといって、相手がその地域にいる証明にはなりません。地域の見分け方と注意点は固定電話の番号で地域を調べる方法と見分けの注意点、局番ごとの情報は固定電話の番号の一覧で確かめられます。050から始まる番号は市外局番の無いIP電話の番号で、050番号のページで扱っています。

8. 「アナログが使えなくなる」と言う電話に注意

NTT東西は2022年1月の資料で、移行に便乗した悪質な販売に注意するよう呼びかけ、「アナログ電話が使えなくなるので、デジタル電話機の購入や切替工事が必要です」といった言い方を例に挙げました。国民生活センターも同じ年に、「今後固定電話が使えなくなる。光回線にした方がいい」と言われた事例を紹介しています。NTT東日本は地域ごとの切替が完了したと案内しており、利用者の側でする手続きや工事はありませんでした。

  1. 「工事が必要」「電話機の交換が必要」と言われても、その場で決めない。
  2. 相手の会社名と電話番号を控え、当サイトの番号検索で口コミを確かめる。
  3. NTTかどうか確かめたいときは、請求書やNTTの公式サイトで自分で調べた窓口にかけ直す。「NTTの代理店です」と言われた場合の考え方は光回線の勧誘電話で「NTTの代理店です」と言われたらを見てください。
  4. 契約してしまった・不安なときは、消費者ホットライン188(いやや!)へ相談する。

参考

この記事は2026年10月に、以下の公開情報をもとに書きました。

※通話料は税込で、NTT東西の加入電話・INSネットから発信した場合の2022年1月公表時点の額です。停電時の扱いは2011年の案内で、電話機の種類によって使えない場合があります。年表の年はNTT東日本の公開情報によります。

この記事に出てくる番号帯

気になる番号は 番号検索 から調べられます。

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