電話の歴史

パケ死はなぜ起きた?携帯のパケット料金が定額になるまで

公開日

結論: 2000年前後の携帯電話のネット接続は、送ったり受け取ったりしたデータの量に応じて料金が加算される「パケット従量課金」でした。1パケットは128バイト(日本語でおよそ64文字)で、ドコモのmovaは1パケット0.3円(税抜)。文字だけなら安くても、画像や着信メロディ、アプリのダウンロードでは件数が一気に増え、請求額が想定外に膨らむことがありました。この記事では、俗に「パケ死」と呼ばれたこの状態がなぜ起きたのか、2003〜2004年にどうやって「定額」へ移ったのか、そして2026年の今も残る「使った分だけ払う料金」とどう付き合えばよいかを、公式の資料をもとに整理します。

パケット料金の仕組み:128バイトごとに課金

パケット通信は、データを小さな単位(パケット)に区切って送る方式です。NTT東日本の用語解説によると、携帯電話での1パケットは通常128バイトで、日本語なら64文字程度です。料金はこのパケットの数で決まりました。

ドコモが2005年1月に出した報道発表には、パケット通信料が次のように載っています。

  • FOMA:0.2円/パケット(税込0.21円)
  • mova:0.3円/パケット(税込0.315円)

この単価を当てはめると、データ量ごとの通信料は次のように計算できます(税抜・ヘッダーなど付加的なデータを含まない単純な試算です)。

やりとりしたデータパケット数mova(0.3円)FOMA(0.2円)
全角64文字ほどの短いメール(128バイト)10.3円0.2円
30KBの画像1枚24072円48円
100KBのデータ800240円160円
1MBのデータ8,192約2,458円約1,638円

短い文字のメールなら1通数円で済んでも、写真の送受信や画像の多いページを繰り返し開くと、数百円・数千円の単位になります。今のスマートフォンで動画を1本見るだけで数十MB〜数百MBを使うことを考えると、当時の従量課金で同じ使い方をすれば、毎月の請求が大きく跳ね上がる計算です。

なぜ「気づいたら高額」になったのか

問題は単価そのものより、使っている最中に金額が見えにくかったことでした。画面の表示や受信したデータの大きさを、利用者が通信のたびに把握するのは難しく、請求が来てから気づくことになりがちでした。

ドコモは2004年5月6日に「料金請求におけるお客様サービスの拡充」を発表し、次のような対策を打ち出しています。

  • 一定額到達通知:通知の基準額を1万円以上・5千円単位で利用者が設定できるようにする(2004年8月予定)
  • 高額利用の事前案内:郵送で知らせる条件を「当月5万円超かつ前月の2倍」から「3万円超かつ前月の2倍」へ広げる(2004年6月予定)
  • iモードの通信履歴を、窓口に行かずパソコン等から照会できるようにする
  • iアプリ等のダウンロード時に「通信料の目安」を表示する
  • パケット明細を「メール」「サイト」「その他」に分けて表示する(2005年3月予定)

通知の基準や明細の見せ方を改める発表が出たこと自体が、当時「いくら使ったか分からない」ことが課題だったことを示しています。

年表:iモードの登場からパケット定額まで

携帯電話そのものは、1979年に電電公社の自動車電話として始まりました。総務省の情報通信白書によると、携帯・自動車電話の端末は1993年まで事業者からのレンタルだけで、1994年に端末の売切制度が始まってから加入数が飛躍的に増えました。2000年には携帯電話とPHSの契約数が、固定電話(加入電話とISDN)の契約数を抜いています。そこにネット接続が加わり、パケット料金の問題が表に出てきます。

時期出来事
1999年2月ドコモがiモードを開始(携帯電話専用のウェブサイトに接続するサービスが本格化)
2000年2月末iモードが447万契約に(開始からおよそ1年)
2001年10月ドコモが第3世代(3G)のFOMAを開始
2003年11月KDDI(au)が「CDMA 1X WIN」を開始。データ通信の定額プラン「EZフラット」(月額4,200円)を「業界で初めて」導入
2004年6月1日ドコモがFOMAのiモード向け定額「パケ・ホーダイ」を開始(月額3,900円、別途iモード月額150円。対象はFOMAプラン67・100・150)
2004年8月1日パケ・ホーダイが100万契約を突破
2006年3月1日同 500万契約を突破
2007年3月1日「パケ・ホーダイフル」開始
2007年5月1日パケ・ホーダイとパケ・ホーダイフルの合計が1,000万契約を突破
2010年7月iモードが約4,900万契約を突破
2026年3月31日ドコモのFOMAとiモードが終了

KDDIはアニュアルレポートで、EZフラットを「パケット料金を気にすることなく」使える環境として説明しています。ドコモのパケ・ホーダイは開始からわずか2か月で100万契約に届いており、定額への需要が大きかったことが数字からも読み取れます。

2026年の今:データ量は「GBで買う」形に

いまの料金プランは、パケット単位ではなく「月に何GBまで」という形が中心です。たとえばドコモのahamoは、2026年10月時点で30GBが月額2,970円(税込)で、使い切った場合は「1GB追加 +550円」で買い足す仕組みです。また、2026年12月1日からは基本料金を「40GB 3,135円(税込)~120GB 5,115円(税込)」の段階制に改定すると案内しています。

上限のない従量課金で青天井になる心配は小さくなりましたが、「追加で買う」「段階が上がる」形で、使い方しだいで金額が変わる点は今も同じです。海外での利用も、ahamoは「15日を超えて海外で利用される場合は速度制限がかかります」と案内しており、海外での発着信やSMSは定額の対象外で別途料金がかかります。出発前に契約中のプランの条件を確かめておくのが安全です。

今も「使った分だけ」なのは通話料

データが定額中心になった一方で、電話をかける側が払う通話料は今も従量制です。NTT東日本は2026年9月30日、加入電話の通話料を2027年4月1日利用分から改定すると発表しました。固定電話あては3分9.35円から10.45円へ、携帯電話あては1分17.6円から19.8円へ上がります。

知らない番号からの着信は、出るだけなら受けた側に通話料はかかりませんが、こちらから折り返すと自分の負担になります。詳しくは通話料は誰が払うのか:出るのは無料、折り返すと自分の負担で整理しています。特に次の番号は、折り返す前に一度立ち止まってください。

なお、090・080・070で始まる携帯番号の意味は090番号のページで確認できます。

料金が不安なときにやること

  1. 請求額や使ったデータ量は、契約している携帯会社の公式アプリ・会員ページで確認する。電話やSMSで届いた案内のリンクや番号からは確認しない。
  2. 「料金が未納」「回線が止まる」という電話は、いったん切る。契約書や公式サイトで自分で調べた窓口にかけ直して確かめる。
  3. 海外の番号や見覚えのない番号には折り返さない。用件は留守番電話の内容で確かめ、相手が名乗った会社には自分で調べた番号でかけ直します。
  4. 迷ったら、番号を調べる。当サイトの番号検索で、その番号に寄せられた口コミや番号の種類を確認できます。お金の請求が絡むときは消費者ホットライン188、警察への相談は#9110へ。

参考

この記事は2026年10月に、以下の公開情報をもとに書きました。

※パケット料金の表は、ドコモが2005年1月の報道発表で示した単価(税抜)と1パケット=128バイトをもとにした単純な試算で、当時の実際の請求額を示すものではありません。各プランの料金は2026年10月時点の公式ページの表示で、税込です。料金は改定されることがあるため、契約前に各社の公式ページで確認してください。

この記事に出てくる番号帯

気になる番号は 番号検索 から調べられます。

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