実用・知識

電話が怖い・苦手な人が増えた背景と、知らない番号への備え

公開日

「電話が鳴ると身構えてしまう」「かける前に何度も言うことを練習する」。そう感じる人は珍しくありません。この記事では、日本の通話がどれだけ減っているか(総務省の統計)、年代によって連絡手段がどう違うか、電話が苦手になりやすい理由、そして電話が苦手な人でも困らない、知らない番号からの着信への備え方を、公開データをもとに整理します。

数字で見る「通話離れ」:通話の時間は4年で2割以上減った

総務省は毎年、電話会社からの報告をもとに国内の通話量をまとめています。最新の令和6年度(2024年4月〜2025年3月)版によると、固定電話・IP電話・携帯電話を合わせた国内の総通信時間は2,326.6百万時間で、前年度より7.4%減りました。前の年度(令和5年度)も11.2%減っており、令和2年度の3,033.4百万時間と比べると、4年で2割余り少なくなっています。通話の回数も571.4億回で前年度比5.2%減でした(令和2年度は679.0億回)。

一方で、携帯電話の契約数は2億2,855万で前年度より3.0%増えています。つまり「電話を持つ人が減った」のではなく、持っているのに通話に使う時間が減っているということです。

携帯電話1契約あたり(1日)令和2年度令和6年度
発信の回数0.6回0.4回
発信の通話時間1分57秒1分17秒
1回あたりの平均通話時間3分15秒2分56秒

なお、この統計は電話会社の電話網を通った通話の量です。LINEなどのアプリでの通話は含まれていません。固定電話の加入電話は1,102万契約で前年度より6.9%減っており、家の電話が鳴る機会そのものも少なくなっています。

年代別に見ると:若い世代ほど「通話をする人」が少ない

総務省情報通信政策研究所は、平成24年から毎年、人々の情報行動を調べています。令和6年度は13〜79歳の1,800人に、令和6年12月2日〜8日のうち平日2日と休日1日の行動を15分刻みで記録してもらいました。報告書は、平均の利用時間で見ると「文字系」(ソーシャルメディアとメール)がコミュニケーション手段の中心になっているとまとめています。平日1日あたりの平均は、携帯通話が7.4分、ソーシャルメディア利用が34.7分、メール利用が38.9分でした。

年代別に、平日にその行動を1日のうちに少しでもした人の割合(行為者率)を並べると、違いがはっきりします。

年代携帯通話をした人ソーシャルメディアを使った人
10代12.1%51.8%
20代13.8%64.7%
30代17.9%58.7%
40代18.8%49.7%
50代17.1%39.5%
60代22.7%23.6%
70代23.5%11.7%

10代・20代は携帯通話をした人が1割強で、ソーシャルメディアを使った人の4分の1以下です。60代では通話(22.7%)とソーシャルメディア(23.6%)がほぼ並び、70代では通話の方が2倍ほど多くなります。70代の女性では通話をした人が31.9%にのぼります。ただし、10代で通話をした人の平均通話時間は113.2分と長く、「若い人はまったく話さない」わけではなく、通話をする人は長く話しています。なお、この調査では「携帯通話」はインターネットを使わない行動に分類されており、ビデオ通話などインターネットを使う通話は別の項目で集計されています。

背景にあるのが、メッセージアプリの広がりです。情報通信白書(令和7年版)によると、LINEの利用率は2014年の55.1%から2024年には94.9%に増えました。60代でも11.3%から91.1%へと大きく伸びています。令和6年度の調査では、LINEの利用率は10代から60代のどの年代でも90%を超え、70代でも71.8%でした。スマートフォンの利用率は全体で93.7%です。携帯電話がスマートフォンへ移った流れはガラケーがスマホに置き換わった理由で詳しく書いています。

電話が苦手になりやすい理由

統計からは「なぜ苦手か」までは分かりません。ここでは、文字の連絡と電話の違いから、苦手に感じやすい点を整理します。思い当たるものがあれば、後半の対策と合わせて読んでください。

  • すぐに答えなければならない:メッセージは読み返してから送れますが、電話はその場で返事をします。言い間違いや沈黙が気になる人ほど負担に感じます。
  • 相手の時間に合わせることになる:電話はかけた側の都合で始まります。作業中や移動中でも、出るかどうかをその場で決めなければなりません。
  • やりとりが記録に残らない:文字なら日時や約束の内容が画面に残りますが、通話は聞き漏らすと確かめにくく、「言った・言わない」が心配になります。
  • 周りに聞かれる:職場や家族のいる場所では、話の内容が周囲に聞こえます。
  • 相手が誰か分からない:知らない番号からの電話は、用件も相手も分からないまま出ることになります。営業や詐欺の電話の話を見聞きしていると、なおさら構えてしまいます。

どれも慣れや工夫で軽くなることが多いものです。かける前に用件と聞きたいことを箇条書きにしておく、「メモを取るので少しお待ちください」と言ってよいと決めておく、といった準備だけでも気持ちは変わります。

「苦手」と「病気」の境目:困りごとが大きいなら専門家へ

厚生労働省の若者向けのこころの健康サイトでは、社会不安障害(「社会恐怖」とも呼ばれる恐怖症の1つ)を、人前で注目を浴びるかもしれない状況や、恥ずかしい思いをするかもしれない自分の行動に強い恐怖を感じ、その状況を避けたり、苦痛を感じながら耐えたりする状態として説明しています。こうした症状が一定期間以上続いてつらいと感じているなら、その可能性があるとし、不安や恐怖のために学校での活動や友達との付き合いがうまくいかない、といった例を挙げています。

同じサイトは、こころの専門家に手伝ってもらえば早く良くなること、苦手な状況に少しずつ段階を踏んで挑戦し自信をつけることで良くなる人もいることを紹介しています。電話が少し苦手、というだけなら病気ではありません。ただ、電話のことを考えるだけで強い不安が続く、仕事や生活に支障が出ている、という場合は一人で抱え込まず、身近な人や医療機関・専門の相談先に相談してください。この記事は医療の助言ではありません。

電話が苦手な人ほど役に立つ、知らない番号への備え

電話が苦手な人にとって一番負担が大きいのは、誰からか分からない電話です。ここは工夫で負担をかなり減らせます。北海道が国際電話詐欺への注意をまとめたページでも、スマートフォンの設定として「留守番電話機能を活用、録音メッセージで相手がわかってからかけ直す」ことや、非通知・電話帳に登録していない番号からの着信を拒否する設定が挙げられています。

  1. 知らない番号にはその場で出なくてよいと決めておく:用件のある相手なら、留守番電話やSMSなど別の形で連絡してくることが多いものです。出なかった電話の調べ方と放置してよい目安は着信履歴に知らない番号が何件もあるときにまとめています。
  2. 留守番電話を設定し、録音を聞いてから判断する:電話が苦手な人にとっては、相手の名前と用件を文字のように後から確かめられる仕組みです。応答メッセージが詐欺電話にどう効くかは「録音しています」で詐欺電話が切れる理由で解説しています。
  3. かけ直す前に番号を調べる:番号検索で、その番号の種類(携帯・固定・IP電話・国際電話など)や口コミを確認できます。折り返すと通話料は自分の負担になる点は通話料は誰が払うのかを参考にしてください。
  4. 会社や役所を名乗る電話は、自分で調べた番号にかけ直す:着信の番号や、相手が電話口で言う番号にかけ直すのではなく、公式サイトや契約書・明細に載っている窓口にかけます。迷ったときの判断の流れは知らない番号からの着信、折り返すべき?にあります。
  5. 「+」から始まる見覚えのない番号は特に注意する:国際電話からの着信の見分け方と止め方は国際電話詐欺:+1・+44・+86からの着信で紹介しています。

「出なかったら失礼かも」と気にする必要はありません。電話に出てしまってから困るより、出る前に確かめる方が、電話が苦手な人にも得意な人にも安全です。

家族や職場で連絡手段の違いがあるとき

総務省の調査が示すように、年代によってふだん使う連絡手段は違います。若い家族は通話よりメッセージ、高齢の家族は通話が中心、ということはよくあります。急ぎの用件は電話、記録に残したい内容はメッセージ、と家族や職場で使い分けを決めておくと、電話が苦手な人の負担も、電話でないと不安な人の心配も減ります。高齢の家族には、知らない番号の電話を受けたときは切ってから家族に確かめる、という約束をしておくと、詐欺の電話への備えにもなります。

まとめ:電話が苦手でも、出る前に確かめれば困らない

  • 国内の通話時間は令和6年度に前年度比7.4%減。携帯電話の契約は増えても、通話に使う時間は減っています。
  • 平日に携帯通話をした人は10代12.1%・20代13.8%で、60代・70代の2割強より少なく、若い世代はソーシャルメディアが中心です。
  • 電話が少し苦手なのは珍しくありません。強い不安が続き生活に支障が出るなら、専門家に相談してください。
  • 知らない番号には無理に出ず、留守番電話で相手を確かめ、当サイトの番号検索で調べてから、必要なら公式の窓口にかけ直しましょう。

知らない電話で不安なことやお金の話が出たときは、迷惑電話の相談先の使い分けを見て、消費者ホットライン188や警察相談専用電話#9110に相談してください。

あわせて読みたい

参考

この記事は2026年10月に、以下の公開情報をもとに書きました。

※通話量は令和6年度(2024年4月〜2025年3月)に電話会社の電話網を通った通話の集計で、LINEなどアプリでの通話は含みません。年代別の数字は令和6年12月の1週間に13〜79歳の1,800人が記録した行動の調査結果で、平日の値です。病気に関する記述は厚生労働省の一般向けの説明の紹介で、診断や治療の助言ではありません。

この記事に出てくる番号帯

気になる番号は 番号検索 から調べられます。

← コラム一覧へ戻る