「この通話は録音されています」という自動音声が流れた瞬間に切れる電話があります。この記事では、なぜ録音や留守番電話で詐欺の電話が切れるのか、警察が勧めている具体的な設定(在宅中も留守番電話・呼び出し回数を2回以下に・自動通話録音機)、65歳以上なら無料で借りられる地域があること、70歳以上の世帯で無料になる番号表示サービスまで、警察庁・警視庁・政府広報の公開情報をもとにまとめます。
録音されると困るのは、かけている側です
理由は単純で、詐欺の電話にとって、通話の記録が残ることは都合が悪いからです。警視庁池上警察署は、呼び出し音が鳴る前に「通話内容を録音する」旨のメッセージが流れると、「犯人は自分の声が録音されることを嫌うため、メッセージを聞いた後、電話を切ることが期待できます」と説明しています。同じページでは、「留守番電話のメッセージが流れると、ほとんどの犯人は電話を切ります」とも書かれています。
警察庁も特殊詐欺の対策として「犯人と話をしない」ことを大切だとし、固定電話の番号表示・非通知拒否サービスや防犯機能付き電話の導入を「今日からできる対策」に挙げています。録音や留守番電話は、会話そのものを成立させない対策です。
狙われやすいのは固定電話
警察庁が2023年4月にまとめた資料によると、2022年(令和4年)11月・12月に認知した特殊詐欺では、被害者がだまされるきっかけになった通信手段の85.2%が「電話」で、その97.2%が「固定電話」でした。家の固定電話にこそ、録音や留守番電話の備えが効きます。
なぜ効くのか
- 犯人と話さずに済む… 留守番電話で相手の用件を先に聞けば、出るかどうかを落ち着いて決められます。警察庁の対策も「犯人と話をしない」ことが出発点です
- 記録が残る… 自動通話録音機は、実際に通話内容を録音します。名乗り・指示の内容があとから確かめられます
- 番号が残れば、次の被害を止められる… 警察庁の資料によると、警察は固定電話の番号表示や履歴で犯人側の番号が分かったとき、通信事業者に依頼してその番号を使えなくする措置をとっています。「履歴が残らない」とこの対策ができないため、番号表示と履歴の保存そのものに意味があります
やり方は4つあります
- 在宅中も留守番電話にしておく… 警視庁渋谷警察署は「在宅中も常に留守番電話設定にして、必ず電話の相手を確認する」よう呼びかけています。用件がある相手はメッセージを残します
- 呼び出し回数を2回以下にする… 警視庁池上警察署によると、呼出回数を2回以下に変えると、電話に出る前に留守番電話につながり、犯人と会話せずに済みます。つい受話器を取ってしまう人ほど効果があります
- 自動通話録音機・防犯機能付き電話を使う… 警察庁によると、着信音が鳴る前に「この通話は防犯のために録音されます」などと自動で警告する機能、電話に出ると通話を自動録音する機能、登録していない番号からの着信を拒否したり注意を促したりする機能があります。機能はメーカーによって異なり、政府広報オンラインは機種選びに公益財団法人全国防犯協会連合会の「優良防犯電話」を参考にするよう案内しています
- 番号表示サービスを使う… 誰からかを見てから出る、という判断ができます。非通知拒否サービス(ナンバー・リクエスト)を組み合わせると、非通知の電話には自動で応答し、電話が鳴らずに済みます
いずれも、出るか出ないかを自分で決められる状態を作るのが目的です。
無料で使える制度
自動通話録音機の無料貸出し(地域による)
自動通話録音機は、自治体や警察署が無料で貸し出している地域があります。たとえば東京では、次のような例があります。
| 地域 | 対象 | 内容 |
|---|---|---|
| 渋谷区(警視庁渋谷警察署の案内) | 管内に住む65歳以上の人 | 「防犯対策電話録音機」を無料で貸出し |
| 大田区(警視庁大森警察署の案内) | 大森警察署管内に住む65歳以上の人 | 大田区から提供された自動通話録音機を無料で貸与 |
警察庁は、防犯機能付き電話について「自治体によっては補助金などもありますので、お住まいの自治体の情報をご確認ください」としています。お住まいの市区町村や最寄りの警察署に問い合わせてみてください。
70歳以上の世帯は番号表示・非通知拒否が無料
警察庁によると、NTT東日本・NTT西日本は、70歳以上の人、または70歳以上の人と同居している契約者を対象に、ナンバー・ディスプレイ(番号表示)とナンバー・リクエスト(非通知拒否)の月額利用料と工事費を無料にしています。申込みが必要で、適用条件と対応する電話機の条件があります。
- NTT東日本 特殊詐欺対策ダイヤル:0120-722-455
- NTT西日本 特殊詐欺対策ダイヤル:0120-931-965
- 受付:午前9時~午後5時(土日・年末年始を除く)
警視庁の案内では、NTT東日本は詐欺の被害を受けた、または受けるおそれがある場合の電話番号変更の工事費や、国際電話の発信・着信の休止も無償で受け付けています。
録音のアナウンスが無くても、切ってよい
録音機能が無い電話でも、対応は変わりません。政府広報オンラインは「電話でお金やキャッシュカードに関する話が出たら、全て詐欺です」とし、「お金の話がでたら、いったん電話を切りましょう」と呼びかけています。警察庁も「一旦電話を切り、すぐに家族などに相談しましょう」としています。
切ったあとに確認したい場合は、名乗られた組織の番号を自分で調べて、そちらにかけ直してください。家族を名乗る電話なら、今まで使っていた家族の番号にかけます。警察庁は、相手から教えられた番号には折り返さないよう注意しています。考え方は知らない番号からの電話への対応でも解説しています。
番号は使い捨てられています
当サイトの検索ログ(2026年7月20日〜8月19日の30日間)では、調べられた国際番号178個がすべて1日のうちにだけ検索されており、番号が使い捨てられていることが分かります。
1つずつ着信拒否しても追いつきません。留守番電話や録音機で「知らない相手とはまず話さない」形にしておくほうが確実です。よくある手口は詐欺・迷惑電話の手口一覧で確認できます。
相談先
- 警察相談専用電話「#9110」… 不審な電話を受けたなど、緊急でない相談
- 110番… たった今被害に遭った、事件を目撃したなど緊急のとき(警視庁の案内)
- 消費者ホットライン「188」(いやや)… 身近な消費生活センターや相談窓口を案内してもらえます
心当たりのない番号は番号検索で調べられます。被害の整理は被害整理メモ・相談窓口にまとめています。
まとめ
- 録音を嫌って切れるのは、記録が残ると困るのがかけている側だから。警視庁も「ほとんどの犯人は電話を切ります」と説明
- 設定は在宅中も留守番電話/呼び出し回数を2回以下/自動通話録音機・防犯機能付き電話/番号表示サービス
- 自動通話録音機は65歳以上に無料で貸し出す地域があり、番号表示・非通知拒否は70歳以上の世帯で無料(NTT東西・要申込み)
- 録音機能が無くても、お金の話が出たら切るで足りる
- 確認は自分で調べた番号にかけ直して行い、迷ったら#9110・188へ
参考
この記事は2026年9月に、以下の公開情報をもとに書きました。
- 警察庁 SOS47特殊詐欺対策ページ「手口一覧と今日からできる対策」
https://www.npa.go.jp/bureau/safetylife/sos47/case/index.html - 警察庁 SOS47特殊詐欺対策ページ「防犯機能付き電話の導入」
https://www.npa.go.jp/bureau/safetylife/sos47/case/security-phone/ - 警察庁 SOS47特殊詐欺対策ページ「固定電話の番号表示・非通知拒否サービス」
https://www.npa.go.jp/bureau/safetylife/sos47/case/service/ - 警察庁 SOS47特殊詐欺対策ページ 防犯マンガ「留守電や録音機で」
https://www.npa.go.jp/bureau/safetylife/sos47/manga/phone/ - 警察庁 SOS47特殊詐欺対策ページ「オレオレ詐欺」
https://www.npa.go.jp/bureau/safetylife/sos47/case/oreore/ - 警察庁 SOS47特殊詐欺対策ページ「ニセ警察詐欺に注意!」
https://www.npa.go.jp/bureau/safetylife/sos47/new-topics/241218/02.html - 警察庁組織犯罪対策部「特殊詐欺の手口と対策」(令和5年4月13日)
https://www.npa.go.jp/bureau/criminal/souni/tokusyusagi/teguchi-taisaku.pdf - 警視庁 池上警察署「特殊詐欺について」(2025年3月25日更新)
https://www.keishicho.metro.tokyo.lg.jp/about_mpd/shokai/ichiran/kankatsu/ikegami/about_ps/tokusyusagi.html - 警視庁 渋谷警察署「特殊詐欺被害防止対策」(2025年2月3日更新)
https://www.keishicho.metro.tokyo.lg.jp/about_mpd/shokai/ichiran/kankatsu/shibuya/about_ps/hanyoku.html - 警視庁 大森警察署「特殊詐欺対策」(2025年3月24日更新)
https://www.keishicho.metro.tokyo.lg.jp/about_mpd/shokai/ichiran/kankatsu/omori/about_ps/tokusyusagitaisaku.html - 警視庁「特殊詐欺被害防止の取組(固定電話)」(2026年3月6日更新)
https://www.keishicho.metro.tokyo.lg.jp/kurashi/tokushu/furikome/stop_sagi_tel.html - 警視庁「総合相談センター」
https://www.keishicho.metro.tokyo.lg.jp/sodan/madoguchi/sogo.html - 政府広報オンライン「電話でお金の話は詐欺!親子のコミュニケーションで注意喚起を!」(2025年10月2日)
https://www.gov-online.go.jp/article/202102/entry-10899.html - 消費者庁「消費者ホットライン」
https://www.caa.go.jp/policies/policy/local_cooperation/local_consumer_administration/hotline/
※固定電話の割合(電話85.2%・うち固定電話97.2%)は、警察庁が2022年11月・12月に認知した特殊詐欺について調べた数字です。自動通話録音機の無料貸出しは渋谷区・大田区(警視庁の各警察署の案内、2025年時点)の例で、対象や内容は地域ごとに異なります。NTT東西の無料化の条件・受付時間は2026年9月時点の警察庁ページの記載によります。検索ログの集計はでんわチェックが保有するデータ(2026年7月20日〜8月19日)によるものです。