結論: 日本の電話番号は、総務省が管理して電話会社に指定し、電話会社が契約者に割り当てて使ってもらう仕組みです。利用者が番号を「持ち物」として売り買いする仕組みはありません。フリーダイヤル(0120)は契約時に希望の番号を選べますが、NTTドコモビジネスは「番号自体の譲渡はできません」と明記しています。携帯電話は、SIMカードや端末を家族など以外の人に電話会社の承諾なく渡すことが法律で禁じられ、商売として売れば2年以下の拘禁刑などの罰則があります。この記事では、覚えやすい番号を正しく手に入れる方法と、「番号を売ります・買います」という話に近づかないための知識をまとめます。
電話番号は誰のもの?:国が管理し、電話会社が使う
総務省の「電気通信番号制度」のページは、電気通信番号を「ITU(国際電気通信連合)が定める国際的なルールにより桁数等の制約がある有限希少な資源」と説明し、「日本では、総務省が電気通信番号を管理し、必要に応じて電気通信事業者に指定をしています」としています。令和元年に施行された今の制度では、番号を使うすべての電話会社が「電気通信番号使用計画」を作って総務大臣の認定を受け、年に一度、番号の使用状況を報告しなければなりません。
電気通信事業法の第50条も、電話会社は認定を受けた計画に従い、指定された番号を使わなければならないと定めています。総務大臣が作る番号の表「電気通信番号計画」は、番号が「公平かつ効率的に使用されるようにすること」を確保するものとして作ることになっています。
利用者の電話機などに番号を付けること(法律では「付番」)も、電話会社が認定を受けた計画にもとづいて行います(第50条の2)。つまり、私たちが使っている番号は、電話会社との契約にもとづいて割り当てられているものです。番号の管理の仕組みや、番号の先頭で種類を見分ける方法は電話番号は誰が管理している?総務省の仕組みと番号の見分け方で詳しく書いています。
覚えやすい番号を正しく手に入れる方法
番号を売り買いできなくても、覚えやすい番号を使う道はあります。分かりやすいのがフリーダイヤル(0120)です。NTTドコモビジネスのよくある質問には、次のように書かれています。
- 番号は選べる。「フリーダイヤル番号は好きな番号を選べますか?」という質問に「ご希望のものをお選びいただけます」と答えています。ただし、すでに他の契約者が使っている番号と、間違い電話が多いと想定される番号は除かれます。Webからの申し込みでは、提示される10個の番号から選ぶ形で、それ以外の番号は電話で申し込みます。
- 番号は譲れない。「フリーダイヤルは電話などサービスの付加機能であるため、番号自体の譲渡はできません」とあります。
- 解約すると同じ番号は使えなくなる。解約後にもう一度申し込むと新しい番号での契約になり、廃止した番号は使えません。解約後は、NTTドコモビジネス・NTT東日本・NTT西日本の番号を案内するアナウンスを、おおむね1年間(無料)流せます。
- 番号の変更はできる。契約中のフリーダイヤル番号は変更でき、手続きには初期設定費がかかります。古い番号にかかってきた電話に、新しい番号をアナウンスで案内することもできます。
- 休止中も料金を払えば番号を残せる。回線を利用休止にする場合でも、月々の使用料を払えば番号を保留できます。
つまり、覚えやすい番号は「空いている番号の中から、契約時に選ぶ」ものです。誰かが使っている番号を、お金を払って譲ってもらう仕組みは用意されていません。0120の番号の見方は0120の番号のページにまとめています。
番号を「持ったまま」会社を変える:番号ポータビリティ
番号ポータビリティは、電気通信事業法で「利用者が…契約の相手方となる電気通信事業者を変更した場合において、その変更の前後において同一の利用者設備識別番号により当該利用者の端末設備を識別することができること」と定められています。契約者本人が電話会社を乗り換えても同じ番号を使い続けられる仕組みで、番号を他人に売る仕組みではありません。手続きの流れは番号ポータビリティ(MNP)の手続き・費用・注意点を見てください。
携帯電話・SIMを人に渡すことは法律で制限されている
携帯電話の番号は、契約とSIMカードに結びついています。いわゆる携帯電話不正利用防止法(携帯音声通信事業者による契約者等の本人確認等及び携帯音声通信役務の不正な利用の防止に関する法律)は、端末とSIMカード(法律では「契約者特定記録媒体」)をあわせて「通話可能端末設備等」と呼び、その譲渡に決まりを設けています。
| 条文 | 内容 | 罰則 |
|---|---|---|
| 第7条 | 自分が契約者の携帯電話・SIMを他人に渡すときは、親族・生計を同じくする人に渡す場合を除き、あらかじめ電話会社の承諾が必要 | ― |
| 第20条 | 承諾を得ずに、商売として(業として有償で)譲渡した | 2年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金(併科あり) |
| 第21条 | 自分が契約者でない携帯電話・SIMを他人に譲渡した | 50万円以下の罰金(業としてなら2年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金) |
| 第23条 | 上の違反の相手方になるよう人を勧誘したり、広告したりした | 50万円以下の罰金 |
同じ第7条の第2項では、電話会社は、譲り受ける人の本人確認をした後でなければ承諾してはならないとされています。家族以外に携帯電話を渡すときは、相手が誰かを電話会社が確かめる仕組みになっているわけです。
「いい番号の携帯を売ります」「使っていないSIMを買い取ります」といった話は、この法律に触れる可能性があります。他人名義の携帯電話が詐欺に使われる理由と法律の考え方は他人名義の携帯電話はなぜ詐欺に使われるのかで詳しく説明しています。
まとめ:番号の「取り方」と「関わらない方がよい話」
| やりたいこと | できるか | 確かめた根拠 |
|---|---|---|
| 0120の番号を選んで契約する | できる(使用中・間違い電話が多い番号を除く) | NTTドコモビジネスのFAQ |
| 0120の番号を他社・他人に譲る | できない | NTTドコモビジネスのFAQ |
| 電話会社を変えても同じ番号を使う | できる(番号ポータビリティ) | 電気通信事業法 第50条 |
| 携帯電話・SIMを承諾なく売る | できない(家族などへの譲渡を除き、電話会社の承諾が必要。商売として売れば罰則) | 携帯電話不正利用防止法 第7条・第20条 |
今の暮らしで役立つこと:番号の「見た目」で信用しない
番号の仕組みを知っていると、知らない番号から電話が来たときの判断にも役立ちます。
- 覚えやすい番号=大きな会社、とは限らない。0120などの番号は契約時に空いている番号から選べるので、きれいな並びの番号でも、それだけで相手の信用は判断できません。0120からの不審な電話の見分け方は0120からの詐欺電話の見分け方にまとめています。
- 表示された番号そのものを証明にしない。警察庁は2025年3月、警察官をかたる特殊詐欺の犯人が「実在する警察署等の電話番号を偽装して表示させる手口を確認」したとして、注意を呼びかけています。表示された番号が知っている役所や会社の番号でも、いったん切って、公式サイトや手元の書類で自分で調べた番号にかけ直すのが確実です。
- 番号は「人」ではなく「契約」についている。新しく持った番号に前の持ち主あての電話が来ることがある理由は前の持ち主あての電話が来る理由で説明しています。
- 「番号・SIMを売って」「携帯を契約して渡して」と頼まれたら断る。お金がもらえる話でも、法律違反になったり、詐欺の道具に使われたりするおそれがあります。すでに渡してしまった場合は、契約している電話会社と警察(#9110)に相談してください。
知らない番号から電話があったら、すぐに折り返さず、まず番号検索で番号の種類や口コミを確かめてください。お金や契約の話が出て不安なときは、消費者ホットライン 188 に相談できます。
参考
この記事は2026年10月に、以下の公開情報をもとに書きました。
- 総務省「電気通信番号制度」
https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/joho_tsusin/top/tel_number/ - e-Gov法令検索「電気通信事業法」(第50条・第50条の2)
https://laws.e-gov.go.jp/law/359AC0000000086 - NTTドコモビジネス「フリーダイヤル よくあるご質問」
https://www.ntt.com/business/services/voice-video/freedial-navidial/freedial/faq.html - e-Gov法令検索「携帯音声通信事業者による契約者等の本人確認等及び携帯音声通信役務の不正な利用の防止に関する法律」(第2条・第5条・第7条・第20条・第21条・第23条)
https://laws.e-gov.go.jp/law/417AC1000000031 - 警察庁「警察に偽装した電話番号に注意!」(2025年3月25日)
https://www.npa.go.jp/bureau/safetylife/sos47/new-topics/250325/01.html - 消費者庁「消費者ホットライン」
https://www.caa.go.jp/policies/policy/local_cooperation/local_consumer_administration/hotline/
※法令の条文は2026年10月時点でe-Gov法令検索に掲載されている現行のものです。フリーダイヤルの番号の選び方・譲渡・解約後の扱いはNTTドコモビジネスのフリーダイヤルについての説明で、他社の着信課金サービスでは条件が異なる場合があります。この記事は番号の売買を勧めるものではありません。