雑学・トリビア

電車・飛行機・病院のスマホのルール:いま何が許されているか

公開日

結論: 電車・飛行機・病院でのスマホの決まりは、2013〜2015年ごろに国の指針と航空のルールが見直され、「電源を切る」から「場所と場面で使い分ける」に変わりました。ただし電車の車内通話を控えること、飛行機でドアが閉まってから電波を出さないこと、病院の手術室などで使わないことは今も変わりません。この記事では、それぞれのルールが何を根拠に、いつどう変わったかを公式の資料で整理し、移動中や入院中にかかってきた知らない番号への向き合い方までまとめます。

まず全体像:いつ何が変わったか

年月場所何が変わったか
2012年7月(携帯電話)植込み型医療機器への影響が最も大きかった第二世代携帯電話のサービスが終了
2013年1月全般総務省の指針で、携帯電話と植込み型医療機器の目安の距離を22cmから15cmに見直し
2014年8月19日病院電波環境協議会が「医療機関における携帯電話等の使用に関する指針」を公表
2014年9月1日飛行機国土交通省が機内の電子機器の使用制限を緩和
2015年10月1日電車東北・関東・甲信越の37社局が優先席付近の案内を「混雑時には電源を切る」に変更
2021年10月1日新幹線JR東海が座席で通話できる「S Work車両」の試行を開始

出発点は「ペースメーカーとの距離」でした

電車の優先席や病院で「電源を切って」と言われてきた主な理由は、心臓ペースメーカーなど体に埋め込む医療機器への電波の影響です。総務省は、携帯電話を植込み型医療機器の装着部位から22cm程度以上離すよう指針で示していました。この22cmは、測定で影響が出た最大の距離15cmに安全の余裕を足した数字です。

ところが、その15cmという影響を示した方式(第二世代携帯電話)は2012年7月にサービスを終了しました。第三世代以降の携帯電話で測定された最大の距離は3cmでした。そこで総務省は国際規格との整合も考え、目安を15cmに見直しました(2013年1月)。あわせて「満員電車では電源を切るよう配慮」という表現が、リスクを大きく見せすぎるとして改められています。この見直しが、次に書く電車のルール変更の土台になりました。

電車:優先席は「混雑時に電源オフ」、通話は今も控える

2015年10月1日、東急電鉄をはじめ東北・関東・甲信越の鉄道の37社局が、優先席付近の案内をそろって変えました。

  • 変更前:「優先席付近では携帯電話の電源をお切りください」
  • 変更後:「優先席付近では、混雑時には携帯電話の電源をお切りください」

理由として挙げられたのは、上の2013年1月の総務省の指針改正と、スマートフォンの普及で使い方が変わったことです。一方で、車内での通話は混雑度にかかわらず、これまでどおり控えるよう呼びかけが続けられています。つまり緩んだのは「電源を切るかどうか」で、「車内で話してよい」になったわけではありません。

新幹線の「S Work車両」は例外として作られた車両

座席で電話をしてよい車両もあります。JR東海は2021年10月1日、東海道新幹線「のぞみ」の7号車を「S Work車両」として試行を始めました。今は東海道・山陽新幹線(16両編成)の「のぞみ」「ひかり」「こだま」の7号車(普通車指定席)が対象で、Web会議や携帯電話の通話は「まわりのお客様へご配慮のうえ座席でも」使えると案内されています。エクスプレス予約・スマートEXなどで予約すれば普通車指定席と同じ料金で、7号車の6〜10番のA席・C席に設けた「S Work Pシート」は普通車指定席に2,000円を追加した料金です。

逆に言えば、通話のために専用の車両を設けているということで、それ以外の車両の客室では通話を控える前提は変わっていません。急ぎの電話は客室の外に出てからかけ直すのが無難です。

飛行機:2014年9月から「機内モードなら離着陸中もOK」

飛行機の中で電子機器を使ってよいかは、マナーではなく航空法の決まりです。国土交通省は2014年8月7日に見直しを発表し、9月1日から機内の電子機器の使用制限を緩和しました。機体ごとに電波への強さで区分し、区分に応じて使える機器と時間を広げたほか、着陸後は「誘導路に入った時」から全ての電子機器を使えるようになりました。

いまの国内線の扱いを、ANAの案内でまとめると次のとおりです(機体の区分によって航空会社ごとに違いがあります)。

  • ドアが閉まってから着陸後の滑走が終わるまで:電波を出す状態のスマートフォンは使えない。ドアが閉まったら機内モード(電波を発信しない設定)にするか電源を切る
  • 機内モードなら:離着陸中も含めて常時使える
  • Bluetoothのイヤホンなど機器同士の接続:常時使える
  • 機内Wi-Fi:備えた機材では、機内モードにしたうえで使う。モバイルWi-Fiルーターや公衆無線LANへの接続は不可
  • 通話:周りの迷惑になるので控える

決まりに従わず電波を出し続けると、機長が「禁止命令」を出すことがあり、命令を無視して続けると50万円以下の罰金の対象になります(使用制限の根拠は航空法第73条の4と航空法施行規則第164条の16)。

病院:待合室は通話可、診察室・手術室は不可が目安

病院のルールは、法律で一律に決まっているのではなく、各病院が指針を参考に決めるものです。もとになっているのは、電波環境協議会(総務省・厚生労働省なども加わる協議体)が2014年8月19日に公表した「医療機関における携帯電話等の使用に関する指針」です。1997年(平成9年)の古い指針はこれで廃止されました。

総務省の資料に載っている場所ごとの参考例は次のとおりです。

場所通話メール・ネットなど
待合室○○
病室△(条件つき)○
診察室×△(条件つき)
手術室××

使ってよい場所でも、医療機器から1m程度離すことが目安です。病院ごとに掲示の内容は違うので、実際には院内の表示と職員の案内に従います。

移動中・入院中にかかってきた知らない番号は

電車の中や飛行機の中、病院の中では、その場で電話に出られないことが多くなります。着陸後や診察の後に着信履歴を見ると、知らない番号が並んでいることもあります。ここで慌てて折り返す前に、次の順で確かめてください。

  1. 留守番電話の録音とSMSを先に見る。用件のある相手なら、名前と用件を残していることが多いです。
  2. 番号の形を見る。090・080・070で始まるなら携帯電話(090番号の解説)、「+」から始まるなら海外からの着信です。
  3. 番号を検索する。番号検索で口コミを確かめます。出られなかった電話の扱い方は着信履歴に知らない番号が何件も並んだときにまとめています。
  4. 病院や家族を名乗る用件なら、その番号ではなく自分で調べた番号へかけ直します。入院中や通院中は「病院からの電話」を装った連絡にも注意が必要です(医療機関を名乗る電話の見分け方)。

知らない番号に折り返すと、通話料は自分の負担になります(通話料は誰が払うのか)。折り返すかどうかの判断は知らない番号からの着信、折り返すべき?も参考にしてください。お金や個人情報を求められて不安なときは、警察相談専用電話 #9110 や消費者ホットライン 188 に相談できます。

参考

この記事は2026年10月に、以下の公開情報をもとに書きました。

※飛行機の電子機器の扱いは機体の区分と航空会社によって異なります。記事はANA国内線の案内(2026年10月時点)をもとにしています。病院のルールは各医療機関が定めるもので、表は電波環境協議会の指針の参考例です。S Work車両の対象列車・料金は2026年10月時点のJR東海の案内によります。

この記事に出てくる番号帯

気になる番号は 番号検索 から調べられます。

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