携帯電話の番号ポータビリティ(MNP)を使うと、今の電話番号のまま別の携帯会社へ乗り換えられます。この記事では、総務省とNTTドコモの公開情報をもとに、2つの手続き方式(ワンストップ方式とツーストップ方式)の違いと選び方、乗り換えにかかる費用の一覧、乗り換え前に確かめておくこと、乗り換えてから後悔したときの制度、固定電話の番号ポータビリティを整理します。あわせて、MNPがあるために「電話番号の頭の数字から相手の携帯会社は分からない」という、知らない番号から着信があったときに役立つ話も説明します。
MNPとは
総務省はMNP(Mobile Number Portability)を「携帯電話・PHSの利用者が携帯会社を変更した場合に、電話番号はそのままで変更後の携帯会社のサービスを利用できる仕組み」と説明しています。開始は2006年(平成18年)10月24日です。
利用はすっかり一般的になりました。総務省が2025年12月に公表した市場検証の年次レポートによると、2024年度に番号ポータビリティで携帯会社を移った番号は1,056万番号でした。同じレポートの利用者アンケート(2024年度)では、利用期間3年未満で携帯会社を変えた人のうち、メイン回線の71.2%がMNPを使っており、変えた理由は「月額料金が安い」「都合の良い料金体系がある」「料金プランがわかりやすい」が上位でした。
MNPは何度でも使えます。総務省のQ&Aでは、MNPで乗り換えた後に元の会社や別の会社へ移るときもMNPを利用できるとしています。一方、070・080・090の番号でも、衛星船舶電話・衛星携帯電話、データ通信専用サービス、新規受付を停止している(停止予定を公表している)サービスへの変更では、MNPを利用できない場合があります。
なお、MNPは「番号を変えずに会社を変える」手続きです。反対に「会社はそのままで番号を変えたい」ときの方法と費用は電話番号を変える方法と費用にまとめています。
手続きは2つの方式
2023年(令和5年)5月24日から、それまでのツーストップ方式に加えて、ワンストップ方式が始まりました。
| 方式 | 手続きの流れ |
|---|---|
| ワンストップ方式(新方式) | 乗り換え先のウェブサイトで申し込む → 今の携帯会社のサイトに自動で移り、マイページにログインして解約の重要事項説明を受ける → 乗り換え先のサイトに戻って契約する → 回線が切り替わると今の会社との契約は自動で解約。MNP予約番号を自分で取る必要はない |
| ツーストップ方式(従来方式) | 今の携帯会社でMNP予約番号を発行してもらい、解約についての説明を受ける → その番号を乗り換え先に伝えて新しく契約する |
ワンストップ方式は、ウェブで手続きをし、今の会社と乗り換え先の両方がMNPワンストップに対応している場合に使えます。総務省の携帯電話ポータルサイトの対応事業者一覧(2024年9月30日時点)では、NTTドコモ・ahamo・au・UQ mobile・povo・ソフトバンク・Y!mobile・LINEMO・楽天モバイル・日本通信が2023年5月24日から対応し、その後mineo(2023年7月)、IIJmio(2024年3月)、J:COM MOBILE(2024年9月)なども加わっています。
ワンストップ方式を使う人は増えています。前出の利用者アンケートでは、利用期間3年未満で携帯会社を変えた人に聞いたところ、MNPワンストップを使った人はメイン回線で17.0%と、前回調査の7.2%から増えました。
どちらの方式を選ぶか
- 両社が対応していて、ウェブで手続きできるならワンストップ方式が手間が少なく済みます。今の会社のマイページのIDとパスワードを手元に用意しておきます
- 店舗で相談しながら乗り換えたい、どちらかがワンストップに対応していないときはツーストップ方式です
ツーストップ方式で使うMNP予約番号には有効期限があります。たとえばNTTドコモでは予約当日を含めて15日間で、ドコモオンラインショップで乗り換える場合は有効期限が10日以上残っている必要があります。期限や条件は会社ごとに違うので、乗り換え先の案内で確かめてください。
乗り換えの大まかな流れ
- 今の使い方(データ量・通話料・家族割やセット割)を確認し、乗り換え先と料金を比べる
- 今の端末を使い続けるか、新しく買うかを決める
- ワンストップ方式なら乗り換え先で申し込む。ツーストップ方式なら今の会社でMNP予約番号を取ってから乗り換え先で申し込む
- 端末とSIM(またはeSIM)を用意する
- 回線を切り替える。総務省によると、短い場合は数分で終わります
回線の切り替えが終わると同時に、今までの会社との契約は解除されます。反対に、予約番号を発行しただけでは解約にはなりません。有効期限内に乗り換え先の契約が終わらなかった場合、元の契約はそのまま続きます。
手続きでつまずきやすい点
- 受付時間: 会社どうしのシステム連携が必要なため、NTTドコモでは受付時間をおおむね午前9時〜午後8時ごろとしています。ほかの会社の受付時間は乗り換え先の案内で確かめます
- 名義: NTTドコモは、乗り換え元と乗り換え先の契約者が同じであることを原則としています。名義が違う場合は、手続きの前に乗り換え先の案内で確かめます
- 本人の申し込み: NTTドコモでは個人名義の新規契約は本人の申し込みが原則で、家族が代わりに手続きする場合は委任状や本人確認書類などが必要です
乗り換えにかかる費用
MNPの手数料は、2021年(令和3年)4月1日のガイドライン改正で原則無料になりました。総務省が示している費用の目安は次のとおりです。
| 費用 | 内容 |
|---|---|
| MNP転出手数料(今の会社) | ウェブでの申し込みは無料。電話や店舗で予約番号を発行する場合は、1,000円以下+消費税(1,100円以下)がかかる場合がある |
| SIMロック解除手数料(今の会社) | ウェブは無料。電話や店舗では3,300円のことが多い。2021年10月以降に発売されたスマートフォンは原則SIMロックなし |
| 違約金(今の会社) | 契約期間が決まっているプランを途中で解約すると、かかることがある |
| 契約事務手数料・SIMカード代(乗り換え先) | かかる場合がある(総務省の目安はおおむね3,300円前後)。店舗で手続きするとかかることが多い。転入手数料はかからない |
契約事務手数料は会社や窓口で差があります。たとえばNTTドコモの案内では、契約事務手数料は4,950円(税込)で、ドコモオンラインショップでの手続きなら無料です。端末を買う場合は、その代金が別にかかります。
違約金については、2019年10月1日に施行された改正電気通信事業法で、新しく結ぶ契約は「期間拘束は2年まで、違約金の上限1,000円」とされました(総務省の2021年6月の資料による。それまでは4年契約や9,500円の違約金がありました)。ただし、それより前に結んだ契約が残っていると扱いが違うことがあるので、今の契約書面やマイページで解約時の費用を確かめてから乗り換えると安心です。
乗り換える前に確かめておくこと
MNPは「今の会社を解約し、新しい会社と新規契約する」手続きです。総務省は次の点に注意するよう案内しています。
- 今の料金プランや割引は解約とともに終わる。年間契約などの割引があると、解約で別に費用がかかる場合がある
- 有料コンテンツや電子マネーは引き継げない場合がある
- 端末をそのまま使うなら、SIMロックがかかっていないこと、乗り換え先の周波数に対応していることが必要
- キャリアメール(携帯会社のメールアドレス)は、有料の「キャリアメール持ち運び」を今の会社にウェブで申し込めば乗り換え後も使える。申し込める期間は会社によって違い、解約と同時のことも、解約後31日以内のこともある
また、引き止めについてもルールがあります。総務省によると、2021年4月のガイドライン改正で過度な引き止め行為が禁止され、2023年5月の改正でMNPワンストップを使う人への引き止め行為が禁止されました。
乗り換えた後に「思っていたのと違う」とき
電気通信サービスには、契約後に解除できる制度があります。滋賀県の消費生活の案内によると、初期契約解除制度では、契約書面を受け取ってから8日間が過ぎるまでは、利用者の都合だけで契約を解除できます。ただし、同時に買ったスマートフォンなどの端末は対象外です。
主要な携帯電話サービスには、総務大臣の認定を受けた確認措置の対象になっているものがあり、その場合は初期契約解除制度は使えません。確認措置では、電波状況が不十分だったり、説明義務などが守られていなかったりした場合に限り、端末も含めて契約を解除できる場合があります。どちらの制度が使えるかは契約書面に書かれているので、困ったときはまず書面を確かめ、乗り換え先の窓口か消費者ホットライン188に相談してください。
固定電話の番号ポータビリティ
固定電話にも、番号を変えずに電話会社を変えられる番号ポータビリティがあります。総務省によると、2025年(令和7年)1月末日以降、固定電話番号を使うサービスを提供する全ての事業者は、原則として番号ポータビリティに対応する必要があります。手続きは、これから契約する固定電話会社に申し込むだけのワンストップ方式です。手続きのルールを定めたガイドラインは2025年1月30日に策定され、1月31日から適用されています。
例外もあります。たとえば、NTT東西以外の会社が払い出した番号や、NTT東西の光IP電話(ひかり電話)用に払い出された番号を、NTT東西の加入電話やINSネットへ移す場合は対象外です。移る前と後の会社の設備で扱える番号帯が違う場合も例外になります。加入電話とひかり電話の違いはひかり電話と加入電話の違いで説明しています。
固定電話の工事費を分割払いしている残りがあれば解約時に精算が必要になり、インターネット回線とセットで契約している場合は、その解約に別の手続きが必要になることもあります。
番号の頭の数字から携帯会社は分からない
知らない携帯番号から着信があったとき、「090の○○で始まるから○○社の番号だ」と考える人がいます。しかし総務省は、公開している「電気通信番号指定状況」(どの番号帯をどの会社に割り当てたかの一覧)について、MNPのため実際に契約している電話会社と異なる場合があるとしています。番号帯から分かるのは「最初に割り当てられた会社」だけで、「今どこと契約しているか」は分かりません。2024年度だけで1,000万を超える番号が会社を移っていることを考えると、番号帯だけで判断するのは無理があります。詳しくは携帯キャリアを番号で調べる方法と090・080・070・060の違いで説明しています。
そもそも、どの携帯会社の番号でも営業電話や詐欺電話はかけられるので、会社名で安全かどうかは判断できません。見るべきなのはその番号自体に、ほかの人からどんな報告が寄せられているかです。
よくある質問
MNP予約番号を取ったのに乗り換えなかったらどうなる?
有効期限が切れるだけで、今の契約はそのまま続きます。予約番号の発行だけで解約になることはありません。
MNPで電話番号以外に引き継げるものは?
引き継がれるのは電話番号です。料金プランや割引は終わり、有料コンテンツや電子マネーは引き継げない場合があります。キャリアメールは有料の持ち運びサービスを申し込んだ場合だけ使い続けられます。
データ通信専用のSIMの番号も移せる?
総務省のQ&Aでは、データ通信専用サービスはMNPを利用できない場合があるとしています。音声通話つきの契約かどうかを確かめてください。
知らない番号から着信があったら
- すぐに折り返さない。まず番号検索で、その番号への口コミや報告を確かめる
- 「携帯会社の者です」「MNPの手続きで確認が必要」などと言われても、その場で暗証番号・ログイン情報・SMSで届いた確認コードを伝えない。確認したいときは、契約書や公式サイトで自分で調べた窓口にかけ直す
- 電話番号を他人に乗っ取られる手口についてはSIMスワップ詐欺の解説もあわせて読んでください
- お金を払ってしまった、情報を伝えてしまったときは、消費者ホットライン188、または警察の相談専用電話#9110へ相談する。やり取りの記録は被害整理メモにまとめておくと相談がスムーズです
知らない番号への対応全般は知らない番号からの着信、折り返すべき?にまとめています。
あわせて読みたい
参考
この記事は2026年9月に書き、2026年10月に最新の公開情報で見直しました。
- 総務省「MNPに関するQ&A」
https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/joho_tsusin/top/tel_number/mnp_menu2.html - 総務省「携帯電話・PHSの番号ポータビリティ(MNP:Mobile Number Portability)」
https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/joho_tsusin/top/tel_number/mnp.html - 総務省 携帯電話ポータルサイト「Q1.電話番号を変えずに乗り換えられるの?」
https://www.soumu.go.jp/menu_seisaku/ictseisaku/keitai_portal/gimonkaiketsu/q_1.html - 総務省 携帯電話ポータルサイト「2.乗換えの基本と費用を知ってる?」
https://www.soumu.go.jp/menu_seisaku/ictseisaku/keitai_portal/norikae_2.html - 総務省 携帯電話ポータルサイト「Q2.メールアドレスを変えずに乗り換えられるの?」
https://www.soumu.go.jp/menu_seisaku/ictseisaku/keitai_portal/gimonkaiketsu/q_2.html - 総務省「電気通信事業分野における市場検証(令和6年度)年次レポート」(2025年12月26日公表)
https://www.soumu.go.jp/main_content/001048628.pdf - 総務省 市場検証会議資料「事業法第27条の3適合契約への移行について(報告)」(2021年6月28日)
https://www.soumu.go.jp/main_content/000757244.pdf - 総務省「固定電話の番号ポータビリティ」
https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/joho_tsusin/top/tel_number/kotei_portability.html - NTTドコモ「他社からドコモへの携帯電話番号ポータビリティ(MNP)の手続き方法」
https://www.docomo.ne.jp/support/mnp_subscribe/ - 滋賀県「電気通信サービスの初期契約解除制度・確認措置」
https://www.pref.shiga.lg.jp/shohi/17204.html - 消費者庁「消費者ホットライン」
https://www.caa.go.jp/policies/policy/local_cooperation/local_consumer_administration/hotline/ - 警察庁 SOS47「警察に偽装した電話番号に注意!」
https://www.npa.go.jp/bureau/safetylife/sos47/new-topics/250325/01.html
※手数料・手続き方法は2026年10月に上記ページで確認した内容です。MNPの実施数(1,056万番号)は2024年度の値、利用率・ワンストップ利用率は2024年度の利用者アンケートの値です。ワンストップ方式の対応事業者一覧は総務省ページの2024年9月30日時点のものです。MNP予約番号の有効期限(15日間)・契約事務手数料(4,950円)・受付時間はNTTドコモの例で、違約金の上限は2019年10月施行時点のルールです。実際の費用・期限・条件は各携帯会社の最新の案内と契約書面でご確認ください。