「0990」で始まる番号は、かつてNTTの「ダイヤルQ2」で使われていた番号です。この記事では、NTT東日本・NTT西日本と総務省が公表している資料をもとに、ダイヤルQ2がどんな仕組みだったのか、なぜ高額請求が問題になり、どんな対策がとられたのか、いつ終わったのか、そして0990という番号が今どう扱われているかを、日付つきで整理します。後半では、ほかの「0△△0」型の番号との違い、よくある疑問、身に覚えのない請求や「0990にかけて」と言われたときの行動もまとめました。
ダイヤルQ2は「情報料の回収代行」サービスだった
ダイヤルQ2は、NTT東日本・NTT西日本が平成元年(1989年)7月から提供していた「情報料回収代行サービス」です。NTT東西の説明では、次のような仕組みでした。
- テレホンサービスなどの情報提供者が、0990で始まる番号で「番組」(有料の情報)を提供する
- 利用者がその番号に電話して番組を利用すると、情報料が発生する
- その情報料を、NTT東西が情報提供者に代わって回収する
ポイントは、情報料の債権者はNTTではなく情報提供者だという点です。NTT西日本は平成13年(2001年)の資料で「情報料の債権者は情報提供者であり」と明記しています。電話をかけた側が、通話料とは別に情報料を払う――これが0990番号の性格でした。
ふつうの電話は「かけた側が通話料を払う」仕組みです。これに対し、0120・0800は受けた側が通話料を払う番号、0990はかけた側が通話料に加えて情報料も払う番号でした。お金の流れの違いは0120・0800・0570の違いで詳しく比べています。
高額請求が問題になり、段階的に対策がとられた
電話をかけるだけで情報料が発生するため、契約者以外の人が無断で利用して請求が高額になる、といった問題が起きました。NTT西日本が平成13年(2001年)4月24日に公表した資料には、それまでに導入された利用者向けの対策が日付つきで並んでいます。
| 開始時期 | 対策の内容(NTT西日本の資料より) |
|---|---|
| 平成2年(1990年)10月 | 利用規制:回線からダイヤルQ2につながらないようにできる。「5」「6」のジャンルだけを個別に止めることも可能。申し込みは116(契約者本人のみ)で無料、解除するときは工事費(基本工事費1,000円+交換機等工事費1,000円・税別) |
| 平成4年(1992年)2月 | 高額利用の事前連絡:通話料と情報料の合計が「前月の3倍かつ3万円」になった契約者に、請求書の発行前に電話か書面で知らせる |
| 平成6年(1994年)11月 | 回収代行の取り止め:契約者以外が無断で利用したなどの理由で、支払い前(口座振替なら振替日の前日まで)に申し出れば、NTTによる情報料の回収代行をやめる |
| 平成7年(1995年)11月 | パスワード(希望制):番組番号に続けて4桁のパスワードをダイヤルしないとつながらないようにできる。申し込みは無料、解除は利用規制と同じ工事費 |
| 平成12年(2000年)10月 | 接続チェックプログラム:パソコンが0990で始まる番号でインターネットに接続しようとすると、その都度知らせる無料ソフト(Windows 95/98用)。ただし「全ての接続をチェックできない場合がある」と注意書きがあった |
この表から分かるのは、対策の多くが「契約者が自分で申し込まないと効かない」ものだったことです。利用規制やパスワードを入れていない家庭では、電話をかけるだけで情報料が発生する状態が続きました。
インターネット接続ソフトによる高額請求と「パスワードジャンル」
平成13年(2001年)当時には、電話回線でインターネットにつなぐ時代ならではの問題も起きていました。NTT東西は平成13年4月24日の発表で、「ダイヤルQ2でインターネットに接続するソフトをダウンロードしてしまい高額な情報料が発生する」事象を挙げ、抜本的な改善措置を打ち出しています。利用者が気づかないまま、パソコンの接続先が0990番号に切り替わってしまうことが問題視されていました。
- パスワードジャンルの新設:インターネット接続番組を含む大半の番組を、事前に申し込んだパスワード(4桁・契約者が設定)をダイヤルしないとつながらない区分に移す
- オープンジャンルの定額化:パスワードなしで使える番組は、1回あたりの情報料を100円以下(募金番組は300円以下)の定額制に限る。インターネット接続番組や大人向けの要素のある番組は受け付けない
- 公衆電話からは利用できなくする
- 発表の翌日(4月25日)から導入までの間は、番組の新規開設の申し込みを受け付けない(募金番組は除く)
発表では、実施時期を「平成13年度第3四半期を予定」としていました。
最高裁判決(2001年3月27日)と返還の対象
同じ発表でNTT東西は、平成13年(2001年)3月27日の最高裁判決にも触れています。平成2〜3年当時、加入電話の契約者以外の第三者が、契約者に無断でダイヤルQ2を利用したケースについて、支払い済みの情報料と通話料の一部の返還を命じる判決でした。
NTT東西は、訴訟の当事者以外の契約者から申し出があった場合も、事実確認に必要な書類を出してもらい、支払いの事実や第三者による無断利用などの条件を確認できれば返還すると表明しました。対象とした期間は次のとおりです。
- 情報料:平成3年(1991年)4月から、平成6年(1994年)10月までの請求分(回収代行取り止め措置の周知が始まる前まで)
- 通話料:平成3年(1991年)4月から、平成4年(1992年)2月までの請求分(高額利用の事前連絡の基準を見直すまで)
利用者が減り、2014年2月28日に終了した
総務省の情報通信審議会の資料(平成23年7月、NTT東西の提出資料から抜粋)には、「電話網移行に先立ち順次提供終了見込みのサービス」として、ダイヤルQ2の番組数(NTT東西の合計)が載っています。
| 時点 | 番組数(東西計) |
|---|---|
| 平成19年度末(2008年3月末) | 147 |
| 平成20年度末(2009年3月末) | 113 |
| 平成21年度末(2010年3月末) | 98 |
| 平成22年度末(2011年3月末) | 66 |
3年で番組数は半分以下になっていました。NTT東西は平成23年(2011年)11月15日、「インターネット等を利用した情報提供手段の多様化により、本サービスのご利用者が年々減少」していることなどを理由に、ダイヤルQ2の終了を発表しました。
| 日付 | できごと |
|---|---|
| 1989年7月 | サービス開始 |
| 2011年11月15日 | 終了を発表 |
| 2011年12月15日 | 情報提供者からの新規申し込み受付を終了(それまでに申し込んだ提供者は終了日まで継続利用できた) |
| 2014年2月28日 | サービス提供を終了 |
| 2014年3月1日 | 募金番組の受け皿として「災害募金サービス」を開始 |
この終了は、一般加入電話の網(PSTN)からIP系ネットワークへの移行に先立って終えるサービスとして、あらかじめ公表されていたものでもありました。2011年の発表は、その移行を「概ね10年後の2020年頃から実施を予定」と説明しています。固定電話がIP網へ移っていく流れはひかり電話と加入電話の違いでも触れています。ダイヤルQ2は24年あまりで幕を閉じたことになります。
0990という番号は今どうなっているか
番号の区分は「情報料回収代行」のまま
総務省の「電話番号に関するQ&A」では、「0△△0」で始まる番号は特殊なサービスであることを分かりやすくするための電話会社共通の番号と説明されています。同じ仲間として挙げられているのは次の番号です(名称はNTT東西・NTTコミュニケーションズで使われているもの)。
| 番号 | 総務省Q&Aでの説明 |
|---|---|
| 0120・0800 | 料金着信払い通話(フリーフォン)。通話料は受けた側が払う |
| 0570 | 統一番号(ナビダイヤル) |
| 0180 | 呼数集計(テレドーム) |
| 0990 | 情報料回収代行 |
このうち0180の歩みは0180テレドームの記事で紹介しています。
なお同じQ&Aは、「0△△0」の形でも御殿場市の0550のように市外局番として使われている番号があると注意しています。先頭4桁だけで判断せず、10桁・11桁の並び全体で確認してください。
総務省の「電気通信番号指定状況」のページ(令和8年(2026年)10月1日時点)からたどれる「情報料代理徴収機能用電話番号」の表(令和3年9月30日現在の表のまま)では、0990-504がNTT西日本、0990-513がNTT東日本に指定されており、ほかの欄は空いています。
ダイヤルQ2の後継は「災害募金サービス」
ダイヤルQ2は、放送局などが大きな災害のときに開く募金(義援金)番組にも使われていました。平成22年(2010年)8月には、それまで一般加入電話に限られていた募金番組が、NTT東日本の「ひかり電話」からも使えるようになっています。ダイヤルQ2の終了にあたって、NTT東西はその受け皿として2014年3月1日から「災害募金サービス」を提供すると発表しました。発表時点の内容は次のとおりです。
- 利用者が0990番号に電話して番組を聞くと、寄付ができる。募金額は1回105円・210円・315円から番組提供者が選ぶ(消費税が変われば変動)。別に通話料がかかる
- 番組提供者は放送事業者など。NTT東西が事業者や番組内容を審査する。回収代行の手数料と番組開設の工事費は無料
- NTT東西の加入電話・INSネット・ひかり電話から利用でき、ひかり電話ビジネスタイプ・携帯電話・PHS・他社の回線・ひかり電話以外のIP電話からは利用できない
- この0990番号には、ダイヤルQ2のような発信規制やパスワードによる規制はかけられない。ダイヤルQ2の利用規制を登録していた人は、順次規制が解除される(本人の手続きは不要)
つまり、ダイヤルQ2が終わった後も、0990は「電話をかけた側が通話料とは別のお金を払う」ための番号として位置づけられてきた、ということです。ただし発表の内容から見ると、使われ方は審査を受けた放送事業者などの災害募金番組に絞られています。
よくある疑問
Q. スマホから0990にかけるとどうなる?
NTT東日本の2014年1月の発表では、災害募金サービスは携帯電話・PHS・他社の回線からは利用できません。スマホの画面やメッセージで0990の番号を案内されても、発表どおりなら募金番組にはつながりません。
Q. 「0990の情報料が未払い」という連絡が来た
ダイヤルQ2は2014年2月28日に終わっています。昔の情報料を名目にした請求や、「0990に電話して確認を」という案内には応じず、まず手元の電話料金の請求書や、契約している電話会社の公式の問い合わせ先で確かめてください。こうした請求への考え方は0990を使った身に覚えのない請求にまとめています。
Q. 今も電話代と一緒に「別のお金」が請求されることはある?
NTT東日本の2010年8月の案内では、ひかり電話から0990の募金番組にかけた場合、義援金は後日「ひかり電話」の利用料金等と合わせて支払う仕組みでした(災害募金サービスの請求方法は2014年1月の発表には書かれていません)。家族の誰かが募金番組にかけた可能性もあるので、明細の項目を確かめてから問い合わせると話が早く進みます。
0990に関わる電話・請求で困ったときの行動
0990は、かけた側に通話料とは別の支払いが生じうる番号です。知らない相手からの電話やメッセージで0990の番号を案内されたときや、電話料金に身に覚えのない請求があったときは、次の順で動いてください。
- 言われるままにかけない。知らない相手から「この番号にかけ直して」と案内されても、その場ではかけないでください。不在着信の番号にかけ直させる手口についてはワン切りの記事も参考にしてください。
- 請求書の明細を確認し、自分で調べた窓口に問い合わせる。電話やメッセージに書かれた番号ではなく、請求書や契約している電話会社の公式サイトに載っている問い合わせ先を使います。NTT東西の固定電話なら、局番なしの116が案内されています。
- 記録を残す。着信日時、番号、相手が言ったこと、請求額をメモしておくと相談がスムーズです。まとめ方は被害メモの書き方にまとめています。
- 相談する。契約や請求のトラブルは消費者ホットライン「188」で身近な消費生活センターなどの窓口につながります。電話サービスそのものに関する相談は、各地の総務省総合通信局や、総務省電気通信消費者相談センターでも受け付けています。相談先の使い分けは迷惑電話の相談先の使い分けをご覧ください。
- 番号を調べる。知らない番号から着信があったら、折り返す前に番号検索で、ほかの人の口コミや公開情報を確認してください。
あわせて読みたい
参考
この記事は2026年9月に書き、2026年10月に最新の公開情報で見直しました。
- NTT東日本「『ダイヤルQ2』サービスの新規お申し込み受付の終了およびサービス提供の終了について」(2011年11月15日)
https://www.ntt-east.co.jp/release/detail/20111115_01.html - NTT東日本「『ダイヤルQ2』サービス提供終了のお知らせ」(2014年2月1日)
https://www.ntt-east.co.jp/info/detail/140201_01.html - NTT東日本「『災害募金サービス』の提供開始について」(2014年1月30日)
https://www.ntt-east.co.jp/release/detail/20140130_03.html - NTT東日本「放送事業者様等が提供する『義援金募集番組』の『ひかり電話』からのご利用について」(2010年8月31日)
https://www.ntt-east.co.jp/release/detail/__icsFiles/afieldfile/2011/03/15/100831b.pdf - NTT西日本「ダイヤルQ2のサービス向上に向けた取り組み等について」(2001年4月24日)
https://www.ntt-west.co.jp/news/0104/010424.html - NTT西日本「(参考2)現在提供中のダイヤルQ2を安心してご利用いただくための主な施策について」(2001年4月24日)
https://www.ntt-west.co.jp/news/0104/010424_2.html - 総務省 情報通信審議会 資料2-4「参考資料」(2011年7月27日)
https://www.soumu.go.jp/main_content/000123465.pdf - 総務省「電話番号に関するQ&A」
https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/joho_tsusin/top/tel_number/q_and_a.html - 総務省「電気通信番号指定状況」(2026年10月1日時点のページ。0990の表は2021年9月30日現在)
https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/joho_tsusin/top/tel_number/number_shitei.html - 消費者庁「消費者ホットライン」
https://www.caa.go.jp/policies/policy/local_cooperation/local_consumer_administration/hotline/ - 総務省「電気通信サービスに関するご相談」
https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/joho_tsusin/d_syohi/syohi/madoguchi.html
※ダイヤルQ2の対策の内容・時期・料金は2001年4月のNTT西日本の資料、番組数は2011年7月の総務省資料(NTT東西の合計)、ひかり電話からの募金番組の利用は2010年8月の発表、災害募金サービスの内容は2014年1月の発表時点のものです。災害募金サービスの現在の提供状況や料金は、NTT東日本・NTT西日本の最新情報をご確認ください。0990の指定状況は、総務省のページ(2026年10月1日時点)に掲載されている2021年9月30日現在の表によります。