電話の歴史

ダイヤル回線とプッシュ回線の違い:仕組み・料金・今の注意点

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結論: ダイヤル回線とプッシュ回線は、電話番号を交換機に伝える「信号の送り方」が違う契約です。ダイヤル回線は電流を区切った「パルス」で、プッシュ回線はボタンごとに決まった周波数の「音」で番号を送ります。NTTの押しボタン電話機は1969年に販売が始まり、翌年「プッシュホン」と名付けられました。昔の話に見えますが、2026年10月の今も、NTT東日本の加入電話では2つの区分が残り、場所によっては毎月の基本料が違います。この記事では、仕組み・年表・今の料金差・設定が合わないと起きること・自動音声の詐欺電話との関係を、公式の資料をもとに説明します。

ダイヤル回線とプッシュ回線は「番号の伝え方」が違う

電話をかけるとき、電話機は相手の番号を電話局の交換機に知らせる必要があります。その知らせ方が2種類あります。

  • ダイヤル回線(DP、ダイヤルパルス):回線の電流を数字の数だけ区切って送る方式です。回転ダイヤルの電話機はこの方式で、1秒間に送る区切りの速さによって「10pps」「20pps」という種類があります。
  • プッシュ回線(PB、プッシュトーン):ボタンを押すと決まった周波数の音が出て、その音で番号を伝える方式です。NTT西日本の資料は、1969年に登場したプッシュホンについて「数字ボタンを押すだけでよく、これによって特定の周波数の音声信号を発信し、これが交換機を作動させる」と説明しています。押しボタン電話機の技術的な特徴は、国際電気通信連合(ITU)の勧告Q.23「Technical features of push-button telephone sets」にもまとめられています。

見た目がボタン式の電話機でも、設定を切り替えてダイヤル回線用のパルスを出す機種があります。たとえば1987年に発売されたNTTの「クローバーホン」は、機能の1つ目に「DP/PBスイッチャブル」(ダイヤル・プッシュの切替)を挙げています。つまり「ボタンの電話機=プッシュ回線」とは限らず、回線の契約と電話機の設定は別のものです。

年表:プッシュホンの登場から今まで

年できごと
1969年5月17日、押しボタン電話機の販売開始(翌1970年4月に「プッシュホン」と命名)
1979年3月14日、全国の電話のダイヤル自動化100%完了
1985年4月、日本電信電話公社が日本電信電話株式会社に。電話機を利用者が自分で設置できるようになり(端末設備の自由化)、好みの電話機を選べるように
1987年DP/PB切替つきの「クローバーホン」発売(販売価格12,800円)
2005年1月1日、基本料金の値下げとプッシュ回線の付加機能使用料の廃止(NTT西日本の年表より)
2015年NTT東日本の一部のひかり電話機器で、電話機が「ダイヤルパルス20pps」設定のとき別の番号につながる不具合(後述)
2024年1月から固定電話網を順次IP網へ移行。基本料は移行前と同額

今も料金が違う:NTT東日本の加入電話の例

2026年10月現在、NTT東日本は加入電話の回線使用料(基本料)を「ダイヤル回線用」と「プッシュ回線用」に分けて掲載しています。料金は「級局(取扱所)」という区分でも変わります。

区分(月額・税込)1級取扱所2級取扱所3級取扱所
住宅用・ダイヤル回線用1,815円1,925円2,090円
住宅用・プッシュ回線用1,980円1,980円2,090円
事務用・ダイヤル回線用2,860円2,915円3,080円
事務用・プッシュ回線用2,970円2,970円3,080円

住宅用の1級取扱所では月165円、年にすると1,980円の差です。3級取扱所では差がありません。このほか、1つの電話番号ごとにユニバーサルサービス料と電話リレーサービス料がかかります。NTT東日本は「2027年4月1日より一部サービス料金・工事費等を改定」すると告知しているので、契約を見直すときは最新の料金表を確かめてください。

電話はずっと同じ回線のまま、という家庭も多いはずです。住宅用の1級・2級取扱所の地域でプッシュ回線用の契約になっている場合は、今の契約内容と、使っている電話機・機器がどちらの信号を出しているかを契約先に確かめておくと、料金を見直すきっかけになります。キャッチホンやナンバー・ディスプレイの歩みと今の料金は「ナンバー・ディスプレイとキャッチホンの歩みと今の使い方」にまとめています。

設定が合わないと、別の番号につながることもある

回線の種類と電話機の設定が合っていないと、うまく発信できないことがあります。実際に起きた例として、NTT東日本は2015年11月2日、ひかり電話用のルーター(RS-500KI、約6,700台)に不具合があり、接続した電話機の設定が「ダイヤルパルス 20pps」の場合に「お客さまがダイヤルした電話番号とは異なる電話番号に着信する場合がある」と発表しました。申告は16件で、暫定の対処は電話機の発信設定を「ダイヤル式(パルス、DP)」から「プッシュ式(トーン、PB)」へ変えることでした。

この発表には、電話機から交換機へ送る信号には「プッシュトーン」「ダイヤルパルス10pps」「ダイヤルパルス20pps」があると書かれています。電話機を買い替えたり、光回線の電話に切り替えたりした後に「かけた先と違う所につながる」「つながらない」と感じたら、電話機の回線設定を説明書で確かめるのが近道です。

IP網に移った後も、区分は残っている

NTT東日本・西日本の固定電話は、2024年1月から順次、交換機の網からIP網へ移りました。NTT西日本・NTT東日本の連名の発表では、移行後も「基本料(回線使用料)は、現在の基本料と同額」で、料金表は「ダイヤル回線用」を基準に、プッシュ回線用は別ページで示す形のままです。つまり「IP化で回線の区別はなくなった」わけではありません。

電話番号そのものはIP網移行で変わっていません。番号の形(市外局番から始まる固定電話の番号、050のIP電話、0120のフリーダイヤルなど)の見分け方は「電話番号の仕組み」と「固定電話の市外局番」で確かめられます。ひかり電話と加入電話の違いやIP網移行の詳しい経緯は「ひかり電話と加入電話の違い:停電・音質・やめどき」をご覧ください。

「番号を押してください」の電話と、プッシュ信号

プッシュ信号は、通話の途中でもボタンの音を相手に送れます。企業の電話窓口で「ご用件の番号を押してください」と案内されるのは、この仕組みを使っています。便利な一方、詐欺の電話もこの仕組みを使います。

国民生活センターは2024年4月24日、覚えのない未納料金を請求する詐欺について注意を呼びかけ、相談事例として「音声ガイダンスの後に番号を選択すると担当者につながった」という手口を紹介しています。自動音声の案内に従ってボタンを押すと、人間の担当者につながり、支払いや個人情報を求められる流れです。同センターは「非通知や知らない番号からの電話は、出ない、話を聞かない、かけ直さないことがトラブル防止に効果的」とし、「事業者の本来の連絡先を自分で調べて、問い合わせてください」と助言しています。

自動音声の電話のうち、どれが危ないかの見分け方は「自動音声の電話:危ないのは「番号を押させる」タイプです」、未納料金をかたる電話の実態と対処は「「未納料金があります」の架空請求」で詳しく説明しています。

知らない番号から自動音声の電話が来たら

  1. ボタンを押さずに切る。案内に従って番号を押すと、担当者につながり、支払いや個人情報を求められる流れに入ります。
  2. かけ直さない。着信履歴の番号にかけ直さず、確かめたいときは請求書・契約書・公式サイトで自分で調べた番号にかけます。
  3. 番号を調べる。当サイトの番号検索で、その番号の種類と口コミを確かめられます。
  4. お金や個人情報を伝えてしまったら、消費者ホットライン188、警察相談専用電話#9110に相談します。

参考

この記事は2026年10月に、以下の公開情報をもとに書きました。

※料金はNTT東日本の加入電話の2026年10月時点の掲載額(月額・税込)です。NTT西日本や他社の固定電話、ひかり電話の料金とは異なります。2027年4月以降の改定内容は各社の公式サイトでご確認ください。

この記事に出てくる番号帯

気になる番号は 番号検索 から調べられます。

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