技術・仕組み

携帯の電波がつながらない理由:室内・地下・高層階と圏外の仕組み

公開日

結論: 携帯電話は近くの基地局と電波をやりとりしてつながります。電波は窓から入りやすく、壁・地下・ビルの谷間で弱くなり、人が多い場所では1つの回線を大勢で分け合うため遅くなります。この記事では、つながる・つながらないが分かれる理由を携帯会社の公式の説明をもとに整理し、3Gが終わった今の状況、「圏外」でも空が見えればメッセージを送れる新しい仕組み、電波が悪いときに届いた知らない番号の着信への向き合い方までまとめます。

電波の5つの性質を知ると「つながらない」が分かる

NTTドコモの説明では、携帯電話の電波は周波数(1秒間に繰り返す波の数)によって性質が違い、2GHzや1.7GHzのような高い周波数は光に近い性質を、800MHzのような低い周波数は音に近い性質を持ちます。各社はこの特徴に応じて周波数を使い分けています。

そのうえで、電波には次の5つの性質があります。

性質どういうことか身近に起きること
反射ビルの壁や高架に当たると跳ね返る。繰り返すと弱くなる直接見えない基地局ともつながることがある
減衰基地局から離れるほど弱まる通話が途切れる、音質が悪くなる
回り込み建物の角に沿って裏側へ回り込む建物の陰でも使えることがある
干渉複数の電波がぶつかると不安定になる発信・着信ができない、切れやすい
透過障害物を通り抜けるが、そのたびに弱まるビルの奥まった場所でつながりにくい

もう1つ大事なのが、携帯電話は基地局ほど強い電波を出せないことです。基地局からの電波はスマホに届いているのに、スマホから基地局へ返す電波が届かない、という片道の状態が起こり得ます。ドコモはこの場合に「一方の声しか聞こえない」症状が出ることがあると説明しています。アンテナ表示が出ているのに相手に声が届かないときは、この片道の状態を疑えます。

つながりにくい場所と、その理由

家やオフィスの中

ドコモによると、室内では電波はおもに窓から入ります。窓の有無や大きさで室内の電波の強さが変わり、基地局の方向に大きな窓がある部屋は有利です。壁を通る電波は窓を通る電波より弱いことが多く、壁・天井・床に金網や外側がアルミの断熱材を使った住宅では、使っていない住宅より電波が通りにくくなります。周りを樹木や家屋に囲まれた家では、1階が2階より不安定になることもあります。

家の中で話すなら、まず窓際に移る。それでも駄目なら、携帯会社の電波の相談窓口に連絡すると、屋内用の中継器(ドコモの場合は「ドコモレピータ」)の案内を受けられる場合があります。

マンションやビルの高層階

意外に思えますが、高い階ほどつながりやすいとは限りません。ドコモの説明では、基地局の電波は基本的に下方向に出ているため、高層階には最寄りの基地局の電波が届きにくくなります。遠くの高い所にある基地局の電波は届きやすい一方、距離が遠いため結局届かないこともあり、発着信ができない、片方の声だけが聞こえにくい、といった症状につながります。

地下・半地下・地下鉄

ビルの地下や地下鉄の駅の中では、屋外からの電波は届きづらくなります。そのため場所によっては屋内基地局(ドコモでは「IMCS」と呼ぶ設備)で対策しています。困るのは半地下です。外の電波も屋内基地局の電波も中途半端にしか届かず、かえって弱くなることがあります。地下鉄では、走行中に電波がまったく届かない場所もあるとドコモは案内しています。

電車・トンネル

地上を走る電車は、いろいろな方向から電波を受けながら走り、周りの建物や地形も刻々と変わるため、安定した電波をつかみ続けるのが難しい環境です。駅に止まっている間も、駅の構造によっては車内まで電波が届きにくいことがあります。トンネルについては、国が補助する「電波遮へい対策事業」で中継設備の整備が進められてきました。例えば総務省北海道総合通信局は2019年、この事業によって北海道新幹線のすべてのトンネル内で携帯電話が使えるようになると発表しています。

駅・イベント会場・夜の時間帯

人が多い場所でアンテナ表示はあるのに通信が遅い、という経験は多いはずです。ドコモの説明では、データ通信は細かく分けたデータを複数の携帯電話で1つの回線を共有して送受信しています。同時に使う人が増えれば、それだけ送受信に時間がかかり、速度が落ちます。電波の強さとは別の理由で遅くなる、ということです。

「圏外」だと電池が早く減る理由

スマホは受け取る電波が弱いほど、自分が出す電波を強くします。そのため電波の弱い場所では電池の消耗が早くなります。電波がまったく届かない「圏外」では、スマホが電波を探し続けるため、さらに早く減るとドコモは説明しています。地下や山の中に長くいるとき、災害で基地局が止まったときは、機内モードにする・画面を暗くするなどで電池を残しておくと、連絡が必要なときに困りません。災害時の安否確認には171災害用伝言ダイヤルも使えます。

3Gは終わった:古い機種は「電波があっても」通話できない

電波の話で今いちばん大きな変化は、第3世代(3G)の終了です。2026年10月の時点で、大手3社の3Gはすべて終わっています。

会社3Gサービス終了日
au(KDDI・沖縄セルラー)CDMA 1X WIN(2003年11月開始)2022年3月31日
ソフトバンク3Gサービス2024年4月15日(石川県は能登半島地震の影響で2024年7月31日)
NTTドコモFOMA・iモード2026年3月31日

注意したいのは、4Gに対応した機種でもVoLTE(4Gで音声通話をする仕組み)に対応していない機種は、3G終了とともに音声通話ができなくなったことです(ドコモの2024年3月の発表)。実家の固定電話の横に置いたままの古い携帯や、子どもの見守り用に持たせた古い機種が、電波表示はあっても電話として使えない状態になっていないか、一度確かめておくと安心です。

圏外でも「空が見えれば」つながる時代へ

基地局の電波が届かない山や海の上でも、衛星と直接つながる仕組みが始まっています。KDDIは2025年4月10日から、対応するauのスマホがStarlinkの衛星と直接通信する「au Starlink Direct」を提供しています。対象は日本全土(47都道府県と領海)で、空が見える状況なら圏外の場所でもSMSなどのテキストメッセージを送受信でき、緊急地震速報や津波警報も受け取れます。空が見えることが条件なので、屋内など空が見えない場所では使えません。また、衛星の通信品質によって送受信に時間がかかったり、接続が不安定になったりすることがあります。KDDIは2026年、次の世代の衛星で音声通話(VoLTE)などを2027年内に提供することを目指すと発表しています。

つまり「圏外=まったく連絡が取れない」とは限らなくなりつつありますが、2026年10月の時点で衛星経由の音声通話はまだ目標の段階です。山や海に出るときは、契約している会社の対応状況を事前に確かめておきましょう。

基地局の電波は安全か

家の近くに基地局ができると気になる人もいると思います。国は電波が人体に与える影響について安全の目安となる値(指針値)を定めており、人が普段出入りする場所で指針値を超える場所がある場合には、無線局の開設者などが柵などを設けて、一般の人が簡単に立ち入れないようにする必要があります。総務省信越総合通信局の資料では、携帯電話(900MHz帯・96W)の基地局で指針値を超える範囲の例として、アンテナの正面で0.25m、横と下で0.7mが示されています。指針値を超えるのはアンテナのごく近くに限られ、そこには一般の人が入れないようにする、という考え方です。

電波が悪い間に届いた「知らない番号」への向き合い方

地下鉄や圏外にいる間に着信があると、電波が戻ったあとで不在着信やSMSの通知がまとめて届くことがあります。知らない番号が並んでいても、慌てて折り返す必要はありません。

  1. まず番号を調べる。 当サイトの番号検索で、どこからの電話か・同じ番号に寄せられた口コミがあるかを確かめます。出られなかった電話の調べ方は着信履歴に知らない番号が何件も来たときにまとめています。
  2. 番号の形を見る。 090・080・070で始まるのは携帯電話の番号です(090の番号について、090・080・070・060の違い)。番号の形全体の見方は電話番号の仕組みで確かめられます。
  3. 用件があるなら相手はもう一度かけてくる。 本当に用がある相手は、留守番電話に用件を残すか、時間をおいてかけ直してきます。折り返すかどうかの判断は知らない番号からの着信、折り返すべき?を参考にしてください。
  4. 声が途切れる電話で大事な話をしない。 電波が悪いと相手の声や名乗りが聞き取りにくくなります。お金や個人情報の話が出たら、いったん切り、自分で調べた公式の番号にかけ直して確かめましょう。困ったときは消費者ホットライン188、警察の相談窓口#9110に相談できます。

参考

この記事は2026年10月に、以下の公開情報をもとに書きました。

※電波の性質や屋内・高層階・地下の説明はNTTドコモの公開情報によります。他社でも基本的な仕組みは同じですが、対策設備の名前や相談窓口は会社ごとに異なります。3Gの終了日・衛星サービスの内容は各社の発表時点のもので、衛星経由の音声通話は2026年10月時点では提供予定の段階です。

この記事に出てくる番号帯

気になる番号は 番号検索 から調べられます。

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