結論:「債権回収会社」「弁護士」を名乗る電話でも、心当たりがなければその場で払わず、相手が言う番号にかけ直さないでください。本物かどうかは、法務省の許可業者一覧(債権回収会社)と日本弁護士連合会の弁護士情報検索(弁護士)で、自分で調べた番号に問い合わせれば確かめられます。
この記事では、債権回収会社(サービサー)とはどういう会社か、法務省が注意を呼びかけている偽の請求の特徴、弁護士を名乗られたときの確かめ方、出てしまったあとの相談先を、公的な情報をもとにまとめます。
債権回収会社(サービサー)は法務大臣の許可が必要
「債権管理回収業に関する特別措置法」(サービサー法)は平成11年2月1日に施行されました。法務省によると、この法律は弁護士法の特例として、債権の管理・回収を仕事にすることを法務大臣の許可制にし、民間業者にも認めたものです。法務大臣の許可を受けた株式会社でなければ、この仕事はできません(同法第3条)。
許可を受けるには、資本金が5億円以上あることや、常務に従事する取締役に弁護士がいることなどが求められます(同法第5条)。また法律は、債権回収会社の業務に従事する者に対して、次のことを定めています(同法第17条)。
- 人を威迫したり、私生活や仕事の平穏を害するような言動で困らせたりしてはならない
- 相手方から求められたら、会社の商号や自分の氏名などを明らかにしなければならない
電話で名乗られたら、まず会社名と担当者の氏名を聞き、メモを取ってください。確かめるのはそのあとです。
法務省の一覧で確かめる
法務省は「債権管理回収業の営業を許可した株式会社一覧」を公開しています。2026年8月3日現在で72社が載っており、各社の許可番号、営業許可年月日、商号、代表者、本店所在地、電話番号が確認できます。
- 相手が名乗った会社名を、法務省の一覧で探す。
- 一覧にない場合、または名前が少しだけ違う場合は、相手にしない。
- 一覧にある場合でも、相手が言った番号ではなく、一覧に載っている電話番号にかけて、自分あての請求があるか問い合わせる。
法務省は、実在する債権回収会社の名前や、それによく似た名前を使って「債権譲渡を受けた」と架空の請求をする例があると注意を呼びかけています。一覧にある名前と見比べるときは、一文字ずつ確かめてください。
法務省が挙げる「偽の請求」の特徴
法務省の注意喚起では、次のような点が挙げられています。
- 「債権移行につき確認事項が御座います。本日中に必ず御連絡下さい」といったショートメール(SMS)が届く
- 「裁判になる」「給料や不動産の差押えをして強制執行する」「ブラックリストに載る」などの脅しのような文句がある
- 出会い系サイト・アダルトサイトの利用料を請求している(法務省は「債権回収会社が、出会い系サイト、アダルトサイトの利用料等を請求することはありません」としています)
- 目隠しシールのないハガキで請求・督促してくる
- 連絡先として多数の電話番号が並んでいる、携帯電話の番号を指定してくる
- 回収金の振込先が個人名義の口座になっている
- 「法務省認可特殊法人」「法務省認定特別法人」「法務省認定債権回収業者加盟店」などと名乗る(法務省は、これらの機関は存在しないとしています)
また法務省は、心当たりのない請求の業者にこちらから連絡すると、電話番号などの個人情報を知られてしまうおそれがあるとしています。SMSやハガキに書かれた番号には連絡しないでください。「未納料金があります」と言われる架空請求全般については、未納料金の架空請求の記事もご覧ください。
「弁護士」が出てくる手口と確かめ方
国民生活センターは2020年1月30日、債権回収業者を名乗る者から「過去の契約の未納料金・損害金の和解」を求める電話があり、その後弁護士を名乗る者から「和解証明書」がメールで届く手口を公表しました。紹介された事例では、「損害保険会社への保険申請と供託金(約35万円)が必要だが、後で返金される」と説明されていました。国民生活センターは、身に覚えがない場合は無視するよう呼びかけています。
日本弁護士連合会も2026年に、LINEなど匿名性の高いSNSで弁護士になりすまし、偽造した弁護士の身分証明書を見せる詐欺に注意を呼びかけました。被害の救済をうたって近づく例もあるとしています。
弁護士を名乗られたら、次の手順で確かめます。
- 氏名と所属する弁護士会、事務所名を聞く。
- 日本弁護士連合会の弁護士情報検索で調べる。氏名、所属弁護士会、事務所名称、事務所所在地(電話番号を含む)、登録番号が確認できます。
- 検索で出た事務所の電話番号にかけ、本人が連絡したのか確かめる(東京弁護士会もこの確かめ方を案内しています)。
身分証の画像や、相手が教えた番号は確認の材料になりません。自分で調べた番号にかけることが大事です。
もう話してしまった・払ってしまったとき
- 心当たりがなければ払わない。脅しの言葉があっても、慌てて払わないでください。
- 相手の会社名・名乗った名前・かかってきた番号・日時・言われた内容をメモしておく(被害整理メモが使えます)。
- 迷ったら消費者ホットライン188へ。悪質な場合や、すでにお金を払った場合は最寄りの警察署、または警察相談専用電話#9110へ相談してください。
- 名前や住所、口座番号などを話してしまったときは、個人情報を話してしまった後にやることを順番に確かめてください。
知らない番号からの着信は、番号検索で、ほかの人の口コミが載っていないか確かめられます。そのうえで、折り返すなら相手の言った番号ではなく、法務省の一覧や日弁連の検索で自分で調べた番号にかけてください。
参考
この記事は2026年9月に、以下の公開情報をもとに書きました。
- 法務省「債権管理回収業の営業を許可した株式会社一覧」(令和8年8月3日現在)
https://www.moj.go.jp/housei/servicer/kanbou_housei_chousa15.html - 法務省「債権回収会社と類似の名前をかたった業者による架空の債権の請求に御注意ください」
https://www.moj.go.jp/housei/servicer/kanbou_housei_chousa19.html - 法務省「債権回収会社(サービサー)制度 -債権管理回収業に関する特別措置法-」
https://www.moj.go.jp/housei/servicer/kanbou_housei_chousa01.html - e-Gov法令検索「債権管理回収業に関する特別措置法」(平成十年法律第百二十六号)
https://laws.e-gov.go.jp/law/410AC1000000126 - 国民生活センター「新手の架空請求手口にご注意!債権回収業者から『過去の契約の未納料金・損害金の和解』を求める電話!?」(2020年1月30日)
https://www.kokusen.go.jp/news/data/n-20200130_2.html - 日本弁護士連合会「弁護士情報検索」
https://member.nichibenren.or.jp/general_search - 日本弁護士連合会「実在する弁護士をかたる詐欺にご注意ください」(2026年)
https://www.nichibenren.or.jp/news/year/2026/260318.html - 東京弁護士会「実在の弁護士をかたる『なりすまし弁護士』による詐欺にご注意ください」(2026年2月)
https://www.toben.or.jp/news/2026/02/post-1007.html - 警察庁「ご意見、各種相談・情報提供等」(警察相談専用電話 #9110)
https://www.npa.go.jp/goiken_index.html
※許可業者の数(72社)は法務省一覧の2026年8月3日時点のもので、廃業等の届出があった会社は除かれています。最新の一覧は法務省のページで確認してください。この記事は一般的な情報で、個別の請求が正当かどうかの判断は、188・警察・弁護士会の法律相談センターなどにご相談ください。