結論:振り込め詐欺救済法という国の制度があり、振り込んだお金の一部またはすべてが戻る可能性があります。ただ、犯人が先にお金を引き出していれば戻りません。いますぐ警察と「振込先の銀行」に連絡してください。「返金を手伝う」と連絡してくる人にお金を払ってはいけません。
この記事では、振り込め詐欺救済法でお金が戻る仕組み(口座の凍結→公告→申請→分配)、戻る条件と戻らない場合、申請期限の調べ方、「返金します」をきっかけにした二次被害の防ぎ方を、金融庁・預金保険機構・法令の原文をもとにまとめます。
まず今日やること
- 警察に連絡する。緊急なら110番。相談は警察相談専用電話「#9110」(金融庁の案内では平日8時30分〜17時15分。都道府県警察本部によって異なります)。
- 振込先の金融機関に連絡する。金融庁は「振り込め詐欺等の被害にあってしまった場合は、警察と振込先の金融機関に連絡してください」と案内しています。自分の銀行だけでなく、お金を送った先の銀行にも連絡します。電話番号は通帳・キャッシュカード・公式サイトで自分で調べてください。
- 記録を残す。振込の日時・金額・振込先の銀行名・支店名・口座番号・名義、かかってきた電話番号、相手が名乗った名前や話の内容をメモします。整理のしかたは被害整理メモにまとめています。
急ぐ理由は、制度の支払いが「凍結された口座に残っているお金」から出るためです。金融庁は「犯人が預金口座等からお金を引き出してしまうと支払は受けられません」と書いています。
振り込め詐欺救済法とは
正式な名前は「犯罪利用預金口座等に係る資金による被害回復分配金の支払等に関する法律」(平成19年法律第133号)です。第1条で、振込みを使った詐欺などで被害を受けた人の「財産的被害の迅速な回復等に資すること」を目的としています。
対象になるのは、振込みが使われた詐欺などです。金融庁は例として、オレオレ詐欺、架空請求詐欺、融資保証金詐欺、還付金等詐欺のほか、ヤミ金融や未公開株式購入に係る詐欺、SNS型投資・ロマンス詐欺などのうち「預金口座等への振込みが利用された場合」を挙げています。
お金が戻るまでの流れ
- 口座の凍結:警察などから情報を受けた金融機関は、犯罪に使われた疑いがある口座について「取引の停止等の措置」をとります(法第3条)。
- 口座の預金を消すための公告:預金保険機構が、その口座の預金を消す手続きを始めたことを公告します。口座の名義人が権利を主張できる期間は、公告の翌日から60日以上です(法第5条)。
- 支払手続開始の公告と申請:預金が消えた後、被害者へ支払う手続きの開始が公告されます。申請期間は公告の翌日から30日以上です。申請書は、被害を示す資料を付けて振込先の口座がある金融機関に出します(法第12条)。
- 分配:金融機関が支払う相手と金額を決めて支払います。
金融庁は、実際に支払いを受けるまでに「少なくとも半年以上かかるのが一般的」と案内しています。
いくら戻るのか:戻る条件と戻らない場合
| 状況 | どうなるか |
|---|---|
| 凍結した口座の残高が、被害額の合計以上 | それぞれの被害額が支払われる |
| 被害者が複数いて、残高が被害額の合計より少ない | 残高を各人の被害額の割合で分けた額が支払われる(法第16条第2項) |
| 預金を消した口座の残高が1,000円未満 | 支払いは行われない |
| 犯人が先にお金を引き出した | 支払いは受けられない |
つまり、戻るかどうか、いくら戻るかは「凍結した時点で口座にいくら残っていたか」と「同じ口座に振り込んだ被害者の数と金額」で決まります。被害額の全部が戻るとは限りません。
申請期限を逃さないために:公告の調べ方
申請期間は30日以上ですが、過ぎると申請できません。自分が振り込んだ口座の手続きがどこまで進んでいるかは、預金保険機構の「振り込め詐欺救済法に基づく公告」サイトで調べられます。サイトでは、手続きが行われているか、どこまで進んでいるか、残高はいくらか、申請期間はいつまでかを確認できます。
- 口座番号がわかる場合:トップページの「口座番号」欄に入力して検索
- 口座番号がわからない場合:詳細検索で「名義人の氏名または名称」などを入力して検索
- 「公告一覧」から年度・回数・種類ごとに探すこともできます
わからないことは、預金保険機構 振込詐欺被害回復業務課(03-6262-6794、9時30分〜18時、土日・祝日・年末年始を除く)に聞けます。申請書そのものは振込先の金融機関に出します。
「返金します」の電話・メッセージに注意(二次被害)
被害にあった人が、もう一度だまされることがあります。消費者庁は、「国の救済制度により返金を受けられる」「返金手続を代行する」などと被害回復を持ちかけられ、お金を払うよう求められる例を紹介しています。そして「見知らぬ業者などから被害回復のためといって金銭を要求されたり、新たな投資を勧められたりした場合は、二次被害のおそれがあります」と注意しています。
振り込め詐欺救済法の申請は、振込先の金融機関に書類を出す手続きです。「手数料を払えば返金を早める」「代わりに申請する」と言われたら、お金を払わずに断ってください。警察や役所、銀行を名乗って口座の話をしてくる手口は警察をかたる「口座凍結」詐欺でも取り上げています。最近の被害の傾向は特殊詐欺の統計をご覧ください。
まとめ:今すぐ取る行動
- 振り込んでしまったら、すぐに警察(#9110、緊急は110番)と振込先の金融機関へ。
- 銀行の電話番号は、相手から聞いた番号ではなく、自分で調べた公式の番号を使う。
- 預金保険機構の公告サイトで、自分が振り込んだ口座の申請期間を確かめる。
- 「返金します」「手続きを代行します」という連絡には応じず、かけ直さない。困ったら消費者ホットライン188へ。
- かかってきた番号が気になるときは、番号検索でほかの人の口コミを確認する。
参考
この記事は2026年9月に、以下の公開情報をもとに書きました。
- 金融庁「振り込め詐欺救済法に基づく返金制度」
https://www.fsa.go.jp/policy/kyuusai/furikome/index.html - e-Gov法令検索「犯罪利用預金口座等に係る資金による被害回復分配金の支払等に関する法律」
https://laws.e-gov.go.jp/law/419AC1000000133 - 預金保険機構「振り込め詐欺救済法に基づく公告」
https://furikomesagi.dic.go.jp/ - 預金保険機構「公告の見方・検索方法」
https://furikomesagi.dic.go.jp/koukoku.html - 消費者庁「投資系トラブルの二次被害にご注意ください!」
https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_policy/caution/caution_045/index.html
※制度の内容・受付時間・電話番号は2026年9月に各公式サイトで確認したものです。支払いの可否や金額は、口座の残高と被害者の数によって一件ごとに決まり、この記事で保証するものではありません。個別の手続きは、警察・振込先の金融機関・預金保険機構・消費生活センター(188)にご相談ください。