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企業が電話窓口をやめられない理由:自動音声・チャットとの関係

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結論:チャットやWebフォーム、自動音声(IVR)が広がっても、会社が電話窓口をなくせないのは、電話でしか連絡できない人が今も多いからです。総務省の令和7年の調査では、80歳以上でインターネットを使っている人は37.1%でした。耳や言葉に障害のある人も、2021年7月から公共インフラとなった電話リレーサービスで会社に電話をかけてきます。この記事では、数字で見た「電話が残る理由」、自動音声やチャットボットが嫌われる場面、会社が窓口を作るときの注意点、そしてお客の側で「電話がつながらない」ときの工夫を、総務省・国民生活センターなどの公開情報をもとにまとめます。

数字で見る:インターネットを使わない人はまだ多い

総務省の「令和7年通信利用動向調査」(調査時点は2025年8月末)によると、スマートフォンを持っている世帯は91.8%です。個人でインターネットを使っている人は全体で85.7%で、13〜69歳の各年代では9割を超えています。ところが70歳を過ぎると数字が下がります。

年齢インターネットを使っている人の割合(令和6年)同(令和7年)
全体85.6%85.7%
70〜79歳69.8%71.9%
80歳以上33.1%37.1%

つまり80歳以上では、6割を超える人がインターネットを使っていません。この人たちにとって、会社に連絡する手段は電話か郵便か窓口です。問い合わせをチャットやWebフォームだけにすると、こうしたお客は連絡そのものができなくなります。

一方で、世帯の固定電話の保有率は、平成28年の72.2%から令和7年には53.6%まで下がりました。固定電話のない家庭が増えているので、お客が携帯電話からかけてくる前提で窓口の番号を決めておきたいところです(0120・0570の通話料は後の章で触れます)。

年齢が上がるほど電話が消費者トラブルの入口にもなりやすいことは、65歳以上の相談30万件で詳しく取り上げています。

電話リレーサービス:きこえない人も電話でかけてくる

電話を使うのは耳がきこえる人だけではありません。電話リレーサービスは、きこえない人・話すことが難しい人と、きこえる人との会話を、通訳オペレータが「手話」または「文字」と「音声」で通訳するサービスです。2020年6月に「聴覚障害者等による電話の利用の円滑化に関する法律」が制定され、2021年(令和3年)7月から公共インフラとして提供が始まりました。総務大臣が指定した一般財団法人日本財団電話リレーサービスが運営し、24時間365日、双方向で電話できます。

会社の側には、ふつうの電話と同じように着信があります。出ると、オペレータが「こちらは電話リレーサービスです。耳の聞こえない方などからのお電話を通訳しております。」と名乗ります。窓口の担当者がこの言葉を知らないと、営業電話と思って切ってしまうおそれがあります。電話窓口を置く会社は、受付の手順書に一言入れておくとよいでしょう。

自動音声(IVR)とチャットボットが嫌われる場面

自動音声で用件を番号で選ばせる仕組み(IVR)やチャットボットは、よくある質問を早く片づけるのに役立ちます。ただ、お客にとって大事な手続きでこれが「壁」になると、強い不満になります。

国民生活センターは2023年3月、定期購入のトラブルについて、「いつでも解約できる」と表示されていても、実際に解約しようとすると電話がつながらなかったり、オンラインの解約手続きがうまく進められなかったりする販売業者もあると注意を呼びかけました。紹介された相談では、電話がなかなかつながらず、つながっても自動音声案内になり、「解約希望」を選ぶと携帯電話にSMSを送ると案内されて、うまく解約できなかったといいます。

この例のように、自動音声やチャットボットが「人に話を聞いてもらえない」「手続きが終わらない」と感じさせると、お客は電話をかけ直し、窓口はかえって混みます。会社が窓口を作るときは、次の点を見直すと不満を減らせます。

  • 人と話す道を残す。自動音声のメニューのどこかで、オペレータにつながる選択肢をはっきり示す。
  • 解約・停止の手続きを分かりやすくする。申し込みと同じくらい簡単にでき、電話以外(Webなど)でも手続きを終えられるようにする。
  • 混む時間帯を案内する。ホームページに「つながりやすい曜日・時間」を載せる。
  • 待たせる前に伝える。待ち時間の目安や、折り返しの予約、Webで済む手続きを自動音声の最初に案内する。
  • 番号を一つにまとめて公式ページに載せる。お客が「この番号で合っているか」を公式サイトで確かめられるようにする。

0120と0570:通話料はだれが払うか

窓口の番号の選び方も、お客の印象を左右します。総務省によると、0120・0800から始まる番号は通話料を着信者(会社)が払う番号です。0570は「統一番号(ナビダイヤル)」として、全国の窓口を一つの番号にまとめるのに使われています。0570の通話料の仕組みと注意点は0570ナビダイヤルとは?料金の仕組みと利用時の注意点にまとめています。番号の形ごとの説明は0120番号・0570番号のページでも確認できます。

自動音声で長く待たせる窓口ほど、通話料がかかる番号ではお客の負担と不満が大きくなります。待ち時間の長い窓口を有料の番号だけにするのは避けたいところです。

お客の側:電話がつながらないときの工夫

反対に、自分が会社に電話をかけてつながらないときは、次のように進めると無駄が減ります。

  1. 時間帯を変える。会社のホームページに、つながりやすい曜日や時間が載っていないか確かめます。0570の窓口のかけ方の工夫は0570がかかりにくい時間帯と回避法にまとめています。
  2. 記録を残す。かけた日時と回数(発信履歴の画面)、申し込み時の画面を保存しておきます。国民生活センターも、契約条件が書かれた画面をスクリーンショットで保存するよう勧めています。解約の期限が迫っているときは、メールや問い合わせフォームなど電話以外の方法でも「解約したい」と送り、送った記録を残しておきましょう。
  3. 検索で出てきた別の番号にかけない。公式の番号がつながらないからといって、検索結果や広告に出てきた「サポート窓口」にかけると、偽の窓口のことがあります。番号は契約書や公式サイトで確かめます(偽サイトや警告画面のサポート番号にかけてはいけない理由)。
  4. 解決しなければ188へ。解約できない、連絡がつかないときは、消費者ホットライン188で近くの消費生活センターに相談できます。

なお、自分から会社にかけたときの自動音声と、知らない番号から自動音声でかかってくる電話は別物です。かかってきた自動音声で「番号を押してください」と言われるものには注意が必要です(自動音声の電話:危ないのは「番号を押させる」タイプです)。

まとめ

電話窓口が残るのは、インターネットを使わない人、文字より声のほうが伝えやすい人、電話リレーサービスで電話をかけるきこえない人など、電話でしか、または電話がいちばん届く人がいるからです。会社の側は、自動音声やチャットを入口にしても、人と話せる道と分かりやすい解約の手続きを残すことが大切です。お客の側は、つながらないときも公式の番号にこだわり、記録を残しておきましょう。

会社を名乗る知らない番号から電話が来たときは、番号検索で口コミを確かめられます。

参考

この記事は2026年10月に、以下の公開情報をもとに書きました。

※インターネット利用率とスマートフォン・固定電話の保有率は、総務省の通信利用動向調査(令和7年、調査時点は2025年8月末)の数字です。インターネット利用率は個人、保有率は世帯を単位にしています。窓口の作り方は、公開情報をもとにした編集部の提案です。

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