国民生活センターが2025年9月3日に公表した集計によると、契約当事者が65歳以上の消費生活相談は、2024年度に304,130件ありました。2023年度と比べて約26,500件の増加です。相談全体に占める割合も38.6%となり、2020年度以降で最も高くなりました。
相談の5件に2件近くが、65歳以上に関するものだということです。そして年齢が上がるほど、入口は電話と訪問になっていきます。
5年間の推移
公表されている年度別の件数と割合は次のとおりです。
- 2020年度… 271,668件(33%)
- 2021年度… 251,850件(34.1%)
- 2022年度… 268,876件(34.2%)
- 2023年度… 277,604件(35.8%)
- 2024年度… 304,130件(38.6%)
件数は2021年度にいったん減ったあと増え続け、割合は5年連続で上がっています。金額も小さくありません。平均契約購入金額は約71万円、平均既支払金額は約46万円でした。
85歳以上では「訪問販売」が最多になる
この集計でいちばん実務的なのが、販売購入形態の年齢による違いです。国民生活センターは次のように整理しています。
- 通信販売… 各年齢区分のなかで65〜69歳の割合が最も高く、年齢が上がるにつれて割合が下がる
- 訪問販売・電話勧誘販売・訪問購入… 年齢が上がるにつれて割合が高くなる
- 85歳以上では、訪問販売が通信販売を抜いて最も高い
つまり、親の年齢によって、見るべき場所が変わります。60代後半なら定期購入などネット通販まわり、80代なら玄関先と固定電話です。同じ「高齢者の被害」でも、対策の置き場所が違うということです。
なぜ電話と訪問なのか
国民生活センターは、高齢者が「お金」「健康」「孤独」の3つの大きな不安を持っているといわれ、悪質業者が言葉巧みにこれらの不安をあおり、親切にして信用させ、年金や貯蓄などの財産を狙っている、と説明しています。そして「高齢者は自宅にいることが多いため、電話勧誘販売や家庭訪販による被害にあいやすいのも特徴です」としています。
電話勧誘販売の特徴として挙げられているのは、消費者が要請していないにもかかわらず販売業者が電話で勧誘するケースがほとんどであること、そして強引な勧誘、身分を偽っての勧誘、虚偽説明、説明不足といった問題が見られることです。
いま特に注意されている電話
国民生活センターが高齢者向けに公表している注意喚起には、電話が入口のものが並んでいます。
- 光回線サービスの電話勧誘トラブルが増えています!(2026年7月1日)— 口頭説明だけで契約せず、必ず説明書面を見てから検討するよう呼びかけています
- 海外からの不審な電話にご注意(2026年3月19日)
- 国勢調査をかたる不審な電話や訪問に注意(2025年9月11日)
- 断っているのにしつこい勧誘電話 法律違反です(2023年10月31日)
- 「2時間後に電話が使えない!?」個人情報を聞き出す不審な電話にご注意!(2024年12月19日)
最後の1つは、電話会社を名乗って「2時間後に電話が止まる」と告げ、慌てさせて名前や住所を聞き出す形です。NTTを装う回線停止詐欺と同じ系統で、いまも相談が続いています。
家族が今日確認できる4つ
離れて暮らしていても、次の4つは電話1本で確認できます。
- 固定電話は留守番電話になっているか。出る前に用件が分かる状態にしておくのが、いちばん効きます(「録音しています」で詐欺電話が切れる理由)
- 最近、光回線や点検の電話が来ていないか。「安くなる」「点検が必要」は定番の入口です
- 知らない番号にかけ直していないか。かけ直すのは、必ず自分で調べた公式の番号です
- 断りきれない相手がいないか。「断っているのにしつこい勧誘電話は法律違反」と伝えておくだけで、断る根拠になります(営業電話の断り方)
心当たりのない番号は番号検索で確認できます。おかしいと感じたら、契約前でも契約後でも、消費者ホットライン188(いやや)に相談してください。最寄りの消費生活センターにつながります。
参考
この記事は2026年9月5日に、以下の公開情報をもとに書きました。件数・割合・金額・年月日は出典のとおりです。
- 国民生活センター「2024年度 65歳以上の消費生活相談の状況」(2025年9月3日公表)
https://www.kokusen.go.jp/news/data/n-20250903_1.html - 国民生活センター「高齢者の消費者被害」(2026年9月3日更新)
https://www.kokusen.go.jp/soudan_now/data/koureisha.html
※相談件数・割合・平均金額・販売購入形態の傾向・注意喚起の一覧は、いずれも上記の国民生活センターの公表資料によります。相談件数等は2025年7月31日までのPIO-NET登録分(不明・無回答は除く)で、消費生活センター等からの経由相談は含まれていません。「家族が今日確認できる4つ」はでんわチェックによるものです。