結論: 仕事の電話は「名乗る・用件を先に言う・復唱する・期限を約束する」の4つを守れば大きく外しません。出られなかった電話は、留守番電話を聞いてから相手の営業時間内に、着信履歴の番号ではなく名刺や公式サイトで確かめた番号へ折り返すのが基本です。この記事では、受け方・かけ方・伝言・折り返しの手順に加えて、2026年10月1日から事業主の義務になったカスタマーハラスメント対策と電話の関係、知らない番号への折り返しで気をつける点をまとめます。
電話を受けるとき:まず名乗る
電話は相手の顔が見えないぶん、最初の名乗りで「正しい所につながったか」を相手が判断します。受けたら次の順で話します。
- 会社名(部署名)と自分の名前を名乗る。例:「はい、〇〇株式会社営業部の田中でございます」。
- 待たせた場合はひと言添える。何回か鳴らしてしまったときは「お待たせいたしました」から始めます。
- 相手の会社名・名前を聞き取り、復唱する。「△△商事の佐藤様でいらっしゃいますね」と返すと、聞き間違いをその場で直せます。
- 用件をメモしながら聞く。日時・数量・金額・固有名詞は必ず復唱します。
- 最後に自分の名前をもう一度伝える。「私、田中が承りました」と言えば、相手が次にかけたときに話が早く進みます。
保留にするときは「少々お待ちください」と告げてから保留ボタンを押し、長くなりそうなら一度戻って「確認に時間がかかりますので、折り返しお電話してもよろしいでしょうか」と切り替えます。保留のまま長く待たせるより、時刻を約束して折り返すほうが相手の時間を奪いません。
電話をかけるとき:名乗ってから用件
かける側は、相手の時間をもらう立場です。かける前に用件を箇条書きにし、資料を手元に置いてから発信します。
- 相手が出たら「お世話になっております。〇〇株式会社の田中と申します」と会社名と名前を先に名乗る。
- 取り次いでもらう相手の部署と名前をはっきり伝える。
- 本人が出たら「今、5分ほどよろしいでしょうか」と所要時間を添えて都合を聞く。
- 結論から話し、最後に決まったこと(次に誰が・いつまでに・何をするか)を確かめて切る。
「先に名乗る」はマナーであるだけでなく、営業の電話では法律上の決まりでもあります。消費者に電話で商品やサービスを勧める「電話勧誘販売」では、特定商取引法により、勧誘の前に事業者の名称・勧誘する人の氏名・商品などの種類・契約の勧誘が目的であることを告げなければなりません。断られた相手に勧誘を続けたり、かけ直して再び勧誘したりすることも禁じられています。会社の電話で営業をかける人は知っておくべき線引きで、受ける側にとっては「名乗らない営業電話はそれだけで不審」と判断する材料になります。詳しくは断った営業電話がまた来たら?特定商取引法の電話勧誘ルールで整理しています。
なお、会社の代表電話から非通知でかけると、相手の設定によってはつながらなかったり、出てもらえなかったりします。仕事の発信は番号を通知するのが基本です。
担当者が不在のとき:伝言の受け方
取り次ぐ相手が席を外しているときは、まず不在を伝え、相手の希望を聞きます。
- 「あいにく田中は席を外しております。戻りましたら折り返しお電話いたしましょうか」と聞く。
- 折り返しを希望されたら、相手の会社名・名前・電話番号・都合のよい時間帯を聞き、番号は復唱する。
- 伝言を預かる場合は、誰から・何の件で・いつまでに・どうしてほしいかをメモし、最後に読み上げて確かめる。
- 受けた日時と自分の名前をメモに書き、担当者の机やチャットに残す。
不在の理由(外出先、休みの理由、私用など)は社外に細かく話さず、「本日は終日外出しております」程度にとどめます。担当者の携帯番号を本人の了解なしに伝えるのも避けます。
電話に出られなかったとき:折り返しの手順
会議中・移動中・運転中など、出られない場面はあります。大事なのはその後の動きです。
1. 留守番電話を先に聞く
折り返す前に、伝言が残っていないか確かめます。用件が分かれば、資料をそろえてから一度で話を終えられます。携帯電話の留守番電話は預かる期間に限りがあり、たとえばNTTドコモの留守番電話サービスは、伝言を72時間保管した後、順に消去します(録音は1件最長3分・20件まで、再生は1417に発信)。「後で聞こう」と放置すると消えてしまうことがあります。
2. 折り返す番号を確かめる
取引先からの電話なら、着信履歴の番号ではなく、名刺・契約書・社内の顧客台帳・相手の公式サイトに載っている番号と照らし合わせます。表示された番号は偽装できるため、表示された番号だけでは本物の証明になりません。
3. 相手の営業時間内に、名乗って用件を確かめる
「先ほどお電話をいただいた〇〇株式会社の田中です。出られず失礼いたしました」と名乗り、用件を聞きます。相手の始業直後や終業間際、昼休みに当たる時間は避け、その日のうちに難しければ翌営業日の早い時間に折り返します。
4. 自分の電話も「出られない時の受け皿」を作る
外出の多い人は、留守番電話の応答メッセージに会社名・名前・折り返しの目安を入れておくと、相手は何度もかけ直さずにすみます。会社の電話を携帯へ回す方法は着信転送の設定方法にまとめています。
運転中は出ない・かけない
車の運転中に携帯電話を手に持って通話することは、道路交通法で禁止されています。2019年(令和元年)12月1日から罰則が重くなり、手に持って使っただけで普通車は反則金1万8千円・3点、事故など交通の危険を生じさせると反則金の対象外となり1年以下の拘禁刑または30万円以下の罰金・6点です。仕事の電話でも、安全な場所に停めてから折り返します。
| 場面 | その場でやること | 折り返すとき |
|---|---|---|
| 会議・商談中 | 出ない。終わったらすぐ着信と伝言を確認 | 当日の相手の営業時間内 |
| 運転中 | 出ない(手に持って使うと違反) | 安全な場所に停めてから |
| 電車・店内など | 出ない、または外に出てから | 静かな場所でメモを用意して |
| 知らない番号 | 出る前・折り返す前に番号を調べる | 用件が分かってから。分からなければ折り返さない |
知らない番号からの着信は「折り返さない」も選択肢
取引先の番号はたいてい登録してあります。登録していない番号から留守番電話も無く着信だけがあった場合、それが仕事の電話かどうかは分かりません。用件がある相手は留守番電話に伝言を残せます。伝言が無いなら、急いで折り返す必要はありません。まずは当サイトの番号検索で、その番号にどんな口コミがあるか、どんな種類の番号かを確かめてください。判断の基準は知らない番号からの着信、折り返すべき?で詳しく説明しています。
また、0570で始まるナビダイヤルは、かけた側に通話料がかかる番号です。0120のフリーダイヤルとは負担する人が逆なので、取引先の窓口に折り返すときは番号の種類も見ておくと通話料の見当がつきます(0570の番号について・0120の番号について)。
苦情の電話と、2026年10月からの会社の義務
苦情の電話には、まず相手の話を遮らずに聞き、不便をかけた点についておわびし、事実関係をメモして上司や担当部署と対応を決めます。その場で約束できないこと(返金・値引き・担当者の処分など)は約束しません。
一方で、苦情の範囲を超えた言動もあります。2026年(令和8年)10月1日から、改正法により、カスタマーハラスメントを防ぐための雇用管理上の措置が、事業主の義務になりました。厚生労働省は、カスタマーハラスメントを次の3つをすべて満たすものと整理しています。
- 顧客、取引の相手方、施設の利用者など、事業に関係を持つ人が行う
- 社会通念上許される範囲を超えた言動である
- 働く人の就業環境が害される
厚生労働省のページは、こうした言動に電話やSNSなどインターネット上のものも含まれること、例として長時間にわたる電話で働く人を拘束することを挙げています。電話を受ける人が一人で抱え込まないよう、会社として「何分を超えたら上司に代わる」「録音していることを伝える」「同じ要求の繰り返しにはどう答えるか」を決めておくことが求められます。通話を録音するときの考え方は通話録音の注意点とやり方を参考にしてください。
まとめ:今日からできること
- 受けたら会社名と名前を名乗り、相手の名前と数字は復唱する。
- かけるときは先に名乗り、所要時間を添えて都合を聞く。営業の電話なら名称と目的を最初に告げる。
- 出られなかった電話は、留守番電話を先に聞き、確かめた番号へ相手の営業時間内に折り返す。
- 知らない番号に慌てて折り返さず、番号検索で調べてから決める。
- 長時間の拘束や執拗な要求は一人で抱えず、会社の決まりに沿って上司に引き継ぐ。
参考
この記事は2026年10月に、以下の公開情報をもとに書きました。
- 厚生労働省 あかるい職場応援団「カスタマーハラスメント」
https://www.no-harassment.mhlw.go.jp/foundation/harassment_list/customer-hara - 消費者庁 特定商取引法ガイド「電話勧誘販売」
https://www.no-trouble.caa.go.jp/what/telemarketing/ - NTTドコモ「留守番電話サービス」
https://www.docomo.ne.jp/service/answer_phone/ - 総務省「電話番号に関するQ&A」
https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/joho_tsusin/top/tel_number/q_and_a.html - NTTドコモビジネス「ナビダイヤル」
https://www.ntt.com/business/services/voice-video/freedial-navidial/navidial.html - 山梨県警察「やめよう!運転中のスマートフォン・携帯電話等使用」
https://www.pref.yamanashi.jp/police/pk_kikaku/kaisei2011201.html
※留守番電話の保管期間・件数はNTTドコモの留守番電話サービスの例です。他の携帯会社や固定電話・ビジネスフォンでは異なります。運転中の罰則は2026年10月時点の内容で、罰則の「拘禁刑」は山梨県警察のページの表記に合わせています。受け方・かけ方の言い回しは一例で、会社ごとの決まりがあればそちらに従ってください。