結論:日本年金機構や年金事務所を名乗る電話で、口座番号を聞かれたり、ATMへ行くよう言われたり、自動音声で「年金が止まる」と言われたりしたら、機構からの電話ではないと考えてください。いったん電話を切ってください。その電話番号へはかけ直さず、自分で調べたねんきんダイヤルか近くの年金事務所に確かめるのが安全です。
この記事では、日本年金機構と警察庁が公表している「機構が電話でしないこと」、実際に確認されている手口、本物かどうかを確かめる手順、もう話してしまったときの相談先をまとめます。
日本年金機構が電話でしないこと
日本年金機構と警察庁は、機構の職員について次のように案内しています。
- 自動音声ガイダンスで連絡してくることはない
- 口座番号や振込先などの個人情報を聞き出すことはない(機構は「電話や訪問により、預貯金額や口座番号、職業や家族構成などの個人情報をお聞きすることはありません」としています)
- 銀行振込やATMの操作を案内することはない
- マイナンバーカードの画像を出すよう頼むことはない
- LINEで手続きを案内することはない(機構の公式LINEアカウントはありません)
また、機構の職員が行う公的年金の手続きや年金証書などの再発行に、手数料は一切かかりません。電話で「手数料」「立替金」などのお金の話が出たら、その時点で疑ってください。
実際に確認されている手口
日本年金機構の注意喚起には、次のような例が載っています。
1. 自動音声で「年金が止まる」と告げる
自動音声が機構や年金事務所を名乗り、「書類の提出確認が取れないため、手続きしないと年金の支給が止まる」などと流れて、ボタン操作や折り返しの電話をうながします。機構は自動音声で連絡しないので、この時点で偽物と分かります。
2. 「還付金がある」とATMへ行かせる
「保険料の納めすぎによる還付金があります」「給付金が戻るので手続きするように」と言って、近くのATMへ行かせます。国民生活センターは、役所などから「お金が返ってくる」という電話がかかってきたら、それは還付金詐欺だと呼びかけています。ATMだけでなく、インターネットバンキングで振り込ませる手口もあります。同センターによると、2022年度の還付金詐欺の相談件数は過去5年間で最も多く、トラブルにあった人の約95%が60歳以上でした。
3. 「年金の支払いのため」と口座番号を聞く
機構の職員を名乗り、年金の支払いに必要だと言って口座番号などの個人情報を答えさせます。機構によると、自宅の固定電話に国際電話(+1や+44などから始まる番号)からかかってくる例が確認されています。
4. 機構に似た名前を使う
機構は、機構を装った不審な電話などで「国民年金機構」「日本年金機構特別窓口」「保険年金事務所」「国民年金センター」「給付センター」といった名前が使われていることを確認していると公表しています。名前が機構に似ていても、それだけで信用しないでください。
番号の見え方で気をつけること
機構は、警察庁のホームページをもとに「特殊詐欺に利用された電話番号のうち、約半数が国際電話番号です」と紹介しています。「+81」は日本の国コードです。+81以外で始まる番号から年金の話が来たら、出ない・折り返さないのが基本です。国内の番号から来た場合も、画面に出た番号が本物の窓口の番号とは限りません。番号の口コミは、当サイトの番号検索でも調べられます。
本物の連絡もある:委託事業者と訪問
日本年金機構は民間事業者に業務を委託して、全国で「国民年金保険料に関する納付のご案内」を行っています。そのため、機構以外の会社名で年金保険料の案内が来ることはあります。ただし、機構や委託事業者が電話や訪問で預貯金額や口座番号を聞くことはありません。また、職員や委託事業者が訪問するときは、機構が発行した写真付き身分証明書を必ず持っていて、見せることになっています。
本物かどうか迷ったときは、相手の話の中身より「口座・暗証番号・ATM・振込・マイナンバーカードの画像」の話が出たかどうかで判断してください。出たら切ってください。
本物か確かめる手順
- いったん電話を切る。「今日中」「期限が迫っている」と急がされても、その場で答えなくてかまいません。
- かかってきた番号や、相手が言った番号にはかけ直さない。
- 自分で調べた番号にかける。日本年金機構の一般的な問い合わせ先は「ねんきんダイヤル」です。
- 0570-05-1165(ナビダイヤル)
- 050で始まる電話からかける場合は 03-6700-1165
- 受付は月曜 8:30〜19:00、火〜金曜 8:30〜17:15、第2土曜 9:30〜16:00(第2土曜以外の土日祝と12月29日〜1月3日は休み)
- 基礎年金番号か、機構から届いた通知書に書かれた照会番号を用意しておくと、話が早く進みます。
市役所や税務署を名乗る還付金の電話は「医療費の還付金があります」という電話に、国民生活センターや総務省を名乗る電話は公的機関を名乗る電話の見分け方にまとめています。
もう話してしまった・振り込んでしまったとき
- 口座番号や暗証番号を伝えた、振り込んだ:すぐ自分の銀行に連絡して、口座の利用停止などを相談してください(銀行の番号はキャッシュカードや通帳、公式サイトで確かめます)。
- 警察への相談:警察相談専用窓口 #9110
- 消費生活の相談:消費者ホットライン 188(近くの消費生活センターにつながります)
- 年金のことが心配なとき:ねんきんダイヤルか近くの年金事務所
相談の前に、着信の日時・番号・相手が名乗った名前・言われた内容をメモしておくと、話が進めやすくなります。書き方は被害整理メモを使ってください。
まとめ:今すぐやること
年金機構を名乗る電話で、自動音声・口座番号・ATM・振込・マイナンバーカードの画像の話が出たら、切る。かけ直さない。確かめるときは、自分で調べたねんきんダイヤル(0570-05-1165)か年金事務所へ。不安なときや話してしまったときは #9110 か 188 に相談してください。かかってきた番号は、当サイトの番号検索で口コミを確かめられます。
参考
この記事は2026年9月に、以下の公開情報をもとに書きました。
- 日本年金機構「日本年金機構の職員や委託事業者などと称して、現金を詐取する『不審な電話や訪問』にご注意ください」(2025年1月17日更新)
https://www.nenkin.go.jp/oshirase/gochui/20140129.html - 日本年金機構「日本年金機構を装った不審な電話やメール・SMS、偽サイトや偽のSNSアカウントにご注意ください。」(2025年2月17日更新)
https://www.nenkin.go.jp/oshirase/gochui/notice.html - 日本年金機構「【ご注意ください】日本年金機構を装った不審な電話に関するお問い合わせが増えています」(2023年10月12日)
https://www.nenkin.go.jp/oshirase/taisetu/2023/202310/1012.html - 日本年金機構「ねんきんダイヤル(年金相談に関する一般的なお問い合わせ)」(2026年9月3日更新)
https://www.nenkin.go.jp/section/tel/toiawase_ippan.html - 警察庁 SOS47特殊詐欺対策ページ「日本年金機構や年金事務所を名乗る詐欺に注意!」
https://www.npa.go.jp/bureau/safetylife/sos47/new-topics/250428/03.html - 国民生活センター「還付金詐欺が増加しています!−ATMだけじゃない!ネットバンキングを使う手口にも注意−」(2023年7月26日)
https://www.kokusen.go.jp/news/data/n-20230726_2.html
※ねんきんダイヤルの番号・受付時間は、2026年9月3日更新の日本年金機構のページによります。変わることがあるため、かける前に公式サイトで確かめてください。還付金詐欺の相談件数と年齢の割合は、国民生活センターが2023年7月26日に公表した2022年度のものです。この記事は一般的な注意点をまとめたもので、個別の被害や手続きは記事中の相談先に確かめてください。