結論:「電気料金が安くなります」「契約番号を教えてください」という電話は、今契約している電力会社からとは限りません。切り替えるつもりがなければ、検針票に書かれた番号(顧客番号・供給地点特定番号)を伝えずに電話を切りましょう。もう伝えてしまった場合は、検針票や公式サイトに載っている番号で今の契約先に問い合わせ、契約が切り替わっていないか確かめます。電話勧誘で契約した場合は、書面を受け取った日から8日以内ならクーリング・オフができる場合があります。
この記事では、国民生活センターと消費者庁の公開情報をもとに、電力・ガスの切り替え勧誘の電話でよくある言い方、検針票の番号を伝えるとどうなるか、契約してしまったときの確認と解約の手順をまとめます。
電話勧誘での切り替えトラブルは急に増えた
国民生活センターは2018年12月20日、「電話勧誘での電気の契約切り替えについてトラブルが急増しています」という注意喚起を出しました。電気の契約切り替えに関する相談は、2018年4月~6月に1,037件、7月~9月に1,195件寄せられています。そのうち電話勧誘に関する相談の割合は2017年10月以降に急に増え、2018年7月~9月には全体の63.5%でした。
国民生活センターは今も「電力・ガスの契約トラブル」の特集ページを更新して注意を呼びかけており、電気だけでなく都市ガスの切り替え勧誘の事例も載せています。
よくある言い方
国民生活センターが紹介している事例には、次のようなものがあります。
- 今の電力会社を名乗る:「契約している大手電力会社」を名乗る電話で「余った電力を安く買い取り、安く電力を供給している。契約番号を教えてほしい」と言われた。
- 資料を送るだけと思わせる:「電気料金が安くなる」と言われて資料を頼んだつもりが、知らないうちに契約が切り替わっていた。
- 建物の全員が変えると言う:訪問してきた事業者に「アパート全体の電気契約が変更になる」「料金も今よりも安くなる」と言われて契約したところ、電気料が倍近い5,000円程になった。都市ガスでも、突然やってきた事業者に「賃貸アパートの他の住人全員が契約した」と切り替えを勧められた事例があります(どちらも訪問での勧誘の事例です)。
国民生活センターは、「大手電力会社の関係者と偽って営業」する事業者がいることにも注意を呼びかけています。電話の相手が名乗った会社名と、実際に契約する相手が同じとは限りません。
検針票の番号を伝えると何が起きるか
電気の契約を切り替えるには、契約名義・住所・顧客番号・供給地点特定番号が必要です。これらは通常、今の契約先が発行する検針票に書かれています。つまり、電話でこれらを読み上げると、相手は切り替えの手続きに必要な情報を手に入れたことになります。
国民生活センターのアドバイスは次のとおりです。
- 切り替えを考えるつもりがなければ、検針票に書かれた情報は伝えない。
- 検針票の情報は慎重に扱い、聞かれてもすぐに教えない。
- 電話があったら、事業者名を確かめ、自分の意思(切り替えない・検討しない)をはっきり伝える。
電話勧誘のルール(特定商取引法)
電力・ガスの切り替えを電話で勧誘されて申し込むと、特定商取引法の「電話勧誘販売」にあたることがあります。消費者庁の特定商取引法ガイドでは、電話勧誘販売について次のように説明しています。
| ルール | 内容 |
|---|---|
| 対象 | 事業者が電話で勧誘し、申込みを受ける取引。いったん電話を切ったあと、郵便や電話などで申し込んだ場合も含む |
| 最初に名乗る義務 | 勧誘の前に、事業者の名前、勧誘する人の名前、商品の種類、契約の勧誘が目的であることを告げなければならない |
| 再勧誘の禁止 | 契約しないと伝えた人に、勧誘を続けたりもう一度勧誘したりしてはいけない |
| クーリング・オフ | 法律で決められた書面を受け取った日から数えて8日以内なら、書面か電磁的記録(電子メールなど)で申込みの撤回や契約の解除ができる |
会社名をはっきり言わない、「契約の勧誘です」と言わずに番号だけ聞き出そうとする電話は、このルールに照らしても注意が必要です。一度断ったのに何度もかかってくるなら、営業電話の断り方も参考にしてください。
番号を伝えてしまった・契約してしまったときの手順
- 書面やメールを探す:申込みの確認書、契約書面、確認メールが届いていないか確かめます。届いていれば、受け取った日を控えておきます(クーリング・オフの8日はこの日から数えます)。
- 今の契約先に確認する:電話の相手が名乗った番号ではなく、手元の検針票や公式サイトに載っている番号で、今契約している電力会社・ガス会社に問い合わせ、切り替えの申込みが入っていないかを確かめます。
- クーリング・オフする:電話勧誘販売にあたる契約で8日以内なら、書面か電子メールなどで申込みの撤回や契約の解除を伝えます。送った書面の控えやメールは保存しておきます。
- 記録を残す:電話がかかってきた日時、相手の番号、名乗った会社名と担当者名、言われた内容をメモします。被害整理メモの形で残しておくと、相談するときに役立ちます。
- 困ったら188へ:8日を過ぎた、相手と連絡がつかない、請求書が届いたなど、自分で判断しにくいときは消費者ホットライン「188(いやや!)」に電話すると、近くの消費生活センターにつながります。
見分けるためのチェックポイント
- 「今の電力会社です」と言いながら、新しいプランの契約や番号の読み上げを急がせる。
- 「資料を送るだけ」「確認のため」と言って、検針票の顧客番号や供給地点特定番号を聞く。
- 「アパートの他の住人全員が契約した」など、建物の全員が切り替えたと言う。
- 料金の計算方法や契約先の正式な会社名を聞いても、はっきり答えない。
国民生活センターは、料金プランや計算の方法をよく説明してもらい、良い点と悪い点を理解したうえで契約するよう呼びかけています。その場で決めず、「検討して自分から連絡します」と言って電話を切れば十分です。
まとめ:今すぐできること
切り替えるつもりがなければ、検針票の番号は伝えずに電話を切りましょう。かかってきた番号に折り返す必要はありません。不安なときは、検針票や公式サイトで自分で調べた番号から今の契約先に確かめ、困ったら188に相談してください。かかってきた番号が気になるときは、番号検索でほかの人の口コミを確かめられます。知らない番号に出てしまったあとの動き方は知らない番号から電話が来たときの対応にまとめています。
参考
この記事は2026年9月に、以下の公開情報をもとに書きました。
- 国民生活センター「電話勧誘での電気の契約切り替えについてトラブルが急増しています-切り替える意思が無ければ、検針票に記載された情報は伝えないようにしましょう-」(2018年12月20日)
https://www.kokusen.go.jp/news/data/n-20181220_4.html - 国民生活センター「『契約変更しませんか?』突然やってくる電気・ガスの勧誘に注意!」(2024年3月26日)
https://www.kokusen.go.jp/news/data/n-20240326_1.html - 国民生活センター「電力・ガスの契約トラブル(テーマ別特集)」(2026年6月8日更新)
https://www.kokusen.go.jp/soudan_now/data/denryoku.html - 消費者庁 特定商取引法ガイド「電話勧誘販売」
https://www.no-trouble.caa.go.jp/what/telemarketing/
※相談件数と割合は、国民生活センターが2018年12月20日に発表した時点のもので、2018年の電気の契約切り替えに関する相談の数字です。クーリング・オフができるかどうかは契約の中身や経緯によって変わります。自分の場合にあてはまるか分からないときは、消費者ホットライン188で相談してください。