「国民生活センターの○○課の○○です」——この名乗りで電話がかかってきたら、それはほぼ確実に本物ではありません。国民生活センター自身が、公式サイトでそう明言しています。
公的機関の名前をかたる電話は、市役所を名乗る還付金詐欺がよく知られています。しかし実際には、消費者を守る側の機関そのものが、名前を使われているのです。
国民生活センターが「絶対にしないこと」
国民生活センターは、相談したことのない人にメールや電話等で、次のように連絡をとることは絶対にありませんと公表しています。
- 「○○金のため・・・」
- 「訴訟で○○するように・・・」
- 「○○の申請が必要・・・」
この3つは、そのまま見分け方になります。お金・訴訟・申請。この3語のどれかが出てきて、しかもこちらから相談した覚えがないなら、相手が誰であっても本物ではありません。
実際に寄せられた相談
公表されている相談事例を、いくつか挙げます。
- 国民生活センターの送金担当を名乗る人から、「『税処理委託』申請が必要で、いつまでも手続きを完了しない場合には、行政より強制的に自己破産していただくことになる」という内容のメールが届いた。
- 国民生活センターの職員を名乗る人から、「過去に利用した出合い系サイトで“キャンペーン”と称し、何度も課金をされた覚えはないでしょうか? 示談金の支払いが可能です」という内容のメールがきた。
- 国民生活センターのXと名乗る男性から「あなたの個人情報が3社に漏れている。2社は削除できたが、A社だけはできない。削除するためにはあなたの代わりの人を探す必要がある」と電話があった。
最後の事例は、複数の登場人物が入れ替わり立ち替わり電話をしてくる形です。誰かに相談する時間を与えず、「番号を教えてしまった」「教えたことを責められた」と気持ちを揺さぶり続けます。
名前が「1字違い」であることに気づけるか
はがきの事例では、差出人が「独立行政法人 国民生活相談センター」となっていました。本物は「独立行政法人 国民生活センター」です。「相談」の2文字が入っているかどうかの違いしかありません。
そのはがきには「確認通知書」という表題で、以前契約した訪問販売会社から未納料・契約不履行により訴訟を提起された、担当職員に管理番号を伝えてほしい、再三の呼び出しに応じないと執行官立会いのもと給料や財産を差し押さえられる事例がある——といった文面が並び、連絡先の電話番号が書かれていました。
そこに書かれた番号にかけさせることが目的です。かけた瞬間、相手はこちらが「反応する人」だと知ります。
総務省・電話会社を名乗るパターンもある
国民生活センターが公表している架空請求の最近の相談事例には、電話に関するものが並んでいます。
- 自宅の固定電話に、契約中の電話会社を名乗って「2時間後に電話が止まる」と電話があった。オペレーターに名前や住所等の個人情報を伝えてしまった。
- 総務省の名前をかたり、未納料金があるとの電話が固定電話にかかってきた。
- 収納代行業者を名乗る着信があり、「有料サイト利用料金が未納なので法的措置をとる」と連絡があった。海外から発信されているようだった。
国民生活センターは、かたり商法を「販売業者が有名企業や、市役所、国民生活センター、消費生活センターなどの公的機関、適格消費者団体の職員、またはその関係者であるかのように思わせて商品やサービスを契約させる商法」と説明しています。名乗りは自由に作れるという前提で聞くのが安全です。
かかってきたら、どうするか
国民生活センターの案内は明快です。「このような電話やメール、ハガキが送られて来ても、絶対に相手に連絡をせず、すぐに、お近くの消費生活センター等にご一報ください」。
相手が名乗った番号にかけ直さないでください。確認したいなら、自分で調べた公式の番号にかけます。消費者ホットラインは局番なしの188で、最寄りの消費生活センターにつながります。
同じ考え方は、市役所の医療費還付詐欺やNTTを装う回線停止詐欺にもそのまま当てはまります。心当たりのない番号は番号検索で確認できます。
参考
この記事は2026年9月5日に、以下の公開情報をもとに書きました。相談事例・はがきの文面・かたり商法の定義は出典のとおりです。
- 国民生活センター「国民生活センターをかたる電話やメール等にご注意ください!」(2025年4月17日更新)
https://www.kokusen.go.jp/soudan_now/data/kokusen_katari.html - 国民生活センター「架空請求(各種相談の件数や傾向)」(2026年7月31日更新)
https://www.kokusen.go.jp/soudan_topics/data/kakuseikyu.html - 国民生活センター「高齢者の消費者被害」(2026年9月3日更新)
https://www.kokusen.go.jp/soudan_now/data/koureisha.html
※本文中の「絶対にありません」の3文言、相談事例、はがきの記載内容、かたり商法の定義、相談窓口は、いずれも上記の国民生活センターの公表資料によります。