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督促・営業の電話は何時までOK?法律と業界ルールの線引き

公開日

結論:借金の取立て(貸金業者の督促)の電話は、法律で「午後9時から午前8時まで」が原則禁止です。営業の電話(電話勧誘販売)には法律で決まった時間はありませんが、深夜早朝の勧誘は「迷惑を覚えさせるような仕方」に当たる場合が多いと、国の通達に書かれています。夜遅くに督促や勧誘の電話が来たら、その場で払う・契約する約束はしないでください。日時と相手の名前を控えて、下の相談先へ連絡してください。

この記事では、「借金の督促」と「商品やサービスの営業」の2つに分けて、次のことを条文と国の資料で確認します。何時からが違反になるのか、時間のほかに何が禁止されているのか、業界団体が自分たちで決めているルール、それに記録の付け方と相談先です。

早見表:督促と営業で決まりが違う

借金の督促(貸金業者)営業の電話(電話勧誘販売)
根拠貸金業法 第21条・貸金業法施行規則 第19条特定商取引法 第16条・第17条、同法施行規則 第64条
時間の決まり午後9時〜午前8時は、正当な理由がなければ電話・FAX・自宅訪問をしてはいけない法律に時間の数字は無い。深夜早朝・長時間・職場への勧誘は「迷惑を覚えさせるような仕方」に当たる場合が多い(通達)
違反したとき2年以下の拘禁刑もしくは300万円以下の罰金、またはその両方(第47条の3)業務改善の指示・業務停止命令などの行政処分の対象

借金の督促:「午後9時から午前8時まで」は法律の数字

貸金業法第21条第1項は、貸金業者や取立てを任された者が、取立てにあたって人を威迫することや、私生活・仕事の平穏を害する言動をしてはいけないと定めています。その最初の例(第1号)が時間帯の決まりで、「社会通念に照らし不適当と認められる時間帯」に正当な理由なく電話・FAX・自宅訪問をすることが禁止されています。

その時間帯は、貸金業法施行規則第19条第1項に「午後九時から午前八時までの間」と書かれています。対象は「債務者等」で、法律では債務者と保証人のことを指します。

「正当な理由」とは

金融庁の「貸金業者向けの総合的な監督指針」は、正当な理由に当たる可能性が高い例として、次の2つを挙げています。

  • 債務者等が自分から承諾している場合(例:「夜10時なら電話に出られます」と自分から伝えた)
  • 債務者等と連絡をとる合理的な方法がほかにない場合

日本貸金業協会の自主規制基本規則も同じ考え方です。自分からの承諾が無い場合や、ほかに連絡の方法がある場合は、「正当な理由」が認められない可能性が高いとしています。

昼間でも禁止されていること

  • 勤務先への電話:正当な理由がないのに、自宅以外の場所(勤務先など)に電話をかけることは禁止です(第3号)。
  • 自分で伝えた日時を無視した電話:返済や連絡の時期を申し出て、その申出が社会通念に照らして相当なときは、正当な理由がないのに午前8時〜午後9時のあいだでも電話をかけることは禁止です(第2号)。
  • 弁護士・司法書士に任せた後の電話:弁護士・司法書士や裁判所から書面で通知があった後に、正当な理由なく電話で支払いを求め、本人から「直接請求しないでほしい」と求められても続けることは禁止です(第9号)。
  • 何度も続く電話:監督指針は、繰り返し電話をかけることは平穏を害する言動に「該当するおそれが大きい」としています。

取立ての相手から求められたら、貸金業者の名前(商号)と取立てをしている人の氏名などを明らかにしなければなりません(第21条第3項)。電話口で「どこの会社の、何という担当者ですか」と聞いてかまいません。

なお、これらは貸金業法の条文なので、対象は「貸付けの契約に基づく債権の取立て」です。借りた覚えが無いのに「未払いがある」「今日中に払え」と言われた場合は、架空請求を疑ってください(「未納料金があります」の架空請求)。相手が本当に登録された貸金業者かどうかは、金融庁の「登録貸金業者情報検索サービス」で確かめられます。

業界の自主ルール:1日4回以上の電話、年末年始

日本貸金業協会は、会員の業者(協会員)向けの自主規制基本規則で、法律の「平穏を害する言動」に当たるおそれがある行為を具体的に挙げています。

  • 繰り返しの取立ての例:電話での連絡を1日に4回以上行うこと
  • 不適当な時期の例:親族の冠婚葬祭のとき、年末年始(12月31日から1月3日)、債務者等の入院中、被災したとき
  • 大声を上げる・乱暴な言葉を使うなど暴力的な態度、3名以上での訪問

協会員は、取立ての相手・日時・方法(電話か訪問か等)・担当者・内容を記録して保存しなければなりません(第57条第2項)。これは協会員に向けた自主ルールで、法律の条文そのものではありません。

営業の電話:時間の数字は無いが「迷惑を覚えさせる仕方」は禁止

商品やサービスを電話で売り込む「電話勧誘販売」は、特定商取引法の対象です。この法律には「何時まで」という時間の数字はありません。そのかわり、同法の施行規則第64条第1号が、「迷惑を覚えさせるような仕方で勧誘」することを禁止しています。

消費者庁などが出している通達「特定商取引に関する法律等の施行について」(令和6年11月19日)は、この言葉を次のように説明しています。

  • 客観的にみて迷惑を覚えるような言動であればよく、実際に相手が迷惑と感じたかどうかは問わない
  • 正当な理由なく不適当な時間帯に(例えば、午後9時から午前8時まで等)勧誘すること、長時間の勧誘、しつこく何度も勧誘することは、これに当たることが多い
  • 電話勧誘販売では、深夜早朝・長時間の勧誘、職場への勧誘は、相手が承諾している場合などを除き、当たる場合が多い

このほか、事業者は勧誘の前に、会社名・担当者名・商品の種類・勧誘の電話であることを告げなければなりません(第16条)。また、「いりません」「結構です」と断った人に勧誘を続けたり、改めて勧誘したりすることも禁止されています(第17条)。断り方のくわしいことはテレアポの法律の線引きと営業電話の断り方にまとめています。

ただし、会社が仕事のために結ぶ契約(営業のための契約)は、特定商取引法の対象外です。会社の代表番号にかかってくる営業電話には、この決まりが当てはまらないことがあります。

夜の督促・勧誘が来たときにやること

  1. その場で払う・契約する約束をしない。「会社名と担当者名を教えてください」と聞いて、電話を切ります。
  2. 記録する。着信の日時・番号・名乗った会社名と担当者名・言われた内容をメモします。着信履歴の画面も保存しておきます。整理のしかたは被害整理メモが使えます。
  3. かけ直すなら、自分で調べた番号へ。督促なら、契約書やカードに書いてある貸金業者の番号にかけます。知らない番号は、先に番号検索でほかの人の口コミを確認してください。
  4. 相談する。貸金業者の取立てについては、日本貸金業協会の「貸金業相談・紛争解決センター」0570-051-051(平日9:00〜17:00、土日祝・年末年始を除く)。営業電話や契約のトラブルは、消費者ホットライン188で最寄りの消費生活センターにつながります。

参考

この記事は2026年9月に、以下の公開情報をもとに書きました。

※条文・通達・自主規制は2026年9月に各公式サイトで確認した内容です。「午後9時から午前8時まで」が法令で決まっているのは貸金業者の取立てで、電話勧誘販売については通達が挙げている例です。自主規制基本規則は日本貸金業協会の会員に向けたルールです。個別のケースが違反に当たるかどうかは事実関係によって変わるため、この記事は法律上の判断を示すものではありません。具体的な対応は相談窓口や弁護士・司法書士にご相談ください。

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