詐欺の記事はたいてい「だまされないために」という書き方をします。この記事は逆の側、募集に応じてしまった人に向けて書きます。
警察庁は「いわゆる『闇バイト』の危険性について」というページで、応募してしまった人へのメッセージを掲げています。「勇気を持って抜け出し、すぐに警察に相談してください。警察は相談を受けたあなたやあなたの家族を確実に保護します。」
募集の文面には共通する特徴がある
警察庁は、SNSやインターネットの掲示板に、仕事の内容を明らかにせずに著しく高額な報酬の支払いを示唆するなどして犯罪の実行者を募集する投稿が掲載されている、としています。
注意すべき文言として挙げられているのは次のものです。
- 「高額」
- 「即日即金」
- 「ホワイト案件」
要するに「楽で、簡単、高収入」であることを強調する求人情報です。さらに、シグナルやテレグラムといった匿名性の高いアプリに誘導される場合は、犯罪に関わる危険性が大きいと明記されています。
連絡手段が匿名性の高いアプリに移された時点で、相手はやり取りの記録を消せる状態を作りにきています。これはSNSから電話に誘導する手口と同じ発想です。
「これも犯罪です」と名指しされていること
警察庁のページには、それ自体が犯罪だと明示されている行為が2つ挙げられています。
- 口座を売ったり、買ったりすること
- 他人に渡すために、携帯電話を契約すること
2つめは、電話番号を調べるサイトとして特に強調しておきたい点です。「自分の名前で携帯を契約して渡すだけ」は、バイトではなく犯罪です。渡した番号は詐欺の発信元として使われ、契約者はあなたのままです。
報酬は「元から支払うつもりがない」
警察庁は、相談事例を紹介するページで、「犯罪グループは、約束の報酬を元から支払うつもりはなく、応募者は『使い捨て』要員です」と書いています。
少年向けの事例集の副題も「少年を『使い捨て』にする『闇バイト』の現実」です。「一回だけやって抜ける」という設計にはなっていないということです。
あわせて、オンラインゲームやインターネットで知り合った面識のない相手から「海外で儲かる仕事」に誘われて渡航し、脅迫・監禁されて犯罪に加担させられる事案が発生していることも注意喚起されています。たとえ知人からの紹介であっても、内容に合わない高額な報酬が提示される仕事には応じないよう呼びかけられています。
もうひとつ知っておきたいのは、警察庁がこの募集情報を「犯罪実行者の募集」と呼んでいることです。「闇バイト」という言葉には仕事の響きが残りますが、募集している側から見れば、これは求人ではなく実行役の調達です。実際、警察庁のページの見出しにも「いわゆる『闇バイト』は犯罪実行者の募集です」とはっきり書かれています。募集の投稿を見かけた場合の通報先として、警察署のほか、警察庁が業務委託を行うインターネット・ホットラインセンターが案内されています。
脅されていても、相談していい
いちばん多い引き返せない理由が、「家族の住所を知られている」「写真を送ってしまった」という脅しです。これについて警察庁は、はっきり書いています。
自分自身や家族への脅迫が理由であっても強盗は凶悪な犯罪です。犯罪に関わってはいけません。勇気を持って抜け出し、すぐに警察に相談してください。警察は相談を受けたあなたやあなたの家族を確実に保護します。安心して、そして勇気をもって、今すぐ引き返してください。
また、10代に向けては「少年であっても、このような犯罪に加われば、必ず捕まります。厳しく処罰されます」としたうえで、「怪しい」「まずい」と思ったらすぐ周りの信頼できる大人か警察に相談するよう呼びかけています。
相談先
- 警察相談ダイヤル #9110、または最寄りの警察署
- 都道府県警察本部の少年相談窓口
- 募集の投稿を見つけた場合… 警察署、または警察庁が業務委託を行うインターネット・ホットラインセンターへ通報
- 仕事や住まい、家計に困っている場合… 厚生労働省所管の支援制度があり、就職に向けた活動などを条件に、一定期間、家賃相当額を支給する仕組みなどがあります。お住まいの地域の相談窓口へ
最後の項目は見落とされがちですが、「お金がないから応募した」という入口そのものに、公的な受け皿があるということです。
電話が絡む詐欺の全体像は2026年上半期の特殊詐欺の統計、身に覚えのない着信の扱いは知らない番号からの着信、折り返すべき?もあわせてご覧ください。
参考
この記事は2026年9月5日に、以下の公開情報をもとに書きました。引用文・注意すべき文言・相談先は出典のとおりです。
- 警察庁「いわゆる『闇バイト』の危険性について」
https://www.npa.go.jp/bureau/safetylife/yamibaito/hanzaishaboshu.html
※募集情報の特徴、犯罪となる行為、応募してしまった方へのメッセージ、相談窓口は、いずれも上記の警察庁のページによります。