国民生活センターは2026年5月19日、「簡単なタスクで稼げるとうたう副業トラブルに注意!」を公表しました。20〜30代に被害が急増しており、報酬はもらえず借金だけが残るケースもある、という内容です。
この手口の特徴は、入口がSNSや動画広告で、途中から電話やメッセージアプリに移ることです。番号を調べたときには、もうやり取りが始まっています。
「いいねを押すだけ」から50万円の請求へ
公表資料に載っている相談事例を、そのまま紹介します。
簡単に稼げるというSNSを見て、事業者とメッセージアプリでつながった。「動画を見て“いいね”をしたらお金をもらえる。最初は限定特典もある」と言われ、やってみることにした。3日間指示されたとおり作業をしたら、報酬として約2,500円が振り込まれた。
その後、また指示どおりに作業したが、どういうわけか、今度はうまくいかず、事業者から「失敗したのでグループの連帯責任になる」と言われ、約50万円を入金するように言われて支払った。(2025年11月受付・20歳代・女性)
注目してほしいのは、最初に本当に約2,500円が振り込まれていることです。少額でも実際にお金が入ると、「この話は本物だ」と感じてしまいます。そのうえで「失敗した」「連帯責任だ」と切り出す。順番が計算されています。
電話で話しながら、借金と送金をさせる
資料には、電話が決定的な役割を果たす事例も載っています。
スキマ時間にできる副業を探していたところ、簡単な作業で仕事ができるというサイトを見つけた。メッセージアプリの登録後、相手と電話で話をしたら、遠隔操作アプリをインストールのうえ、消費者金融4社への申し込みをするよう言われた。どうして借金するのか疑問に思ったが、「後で返金する」と言われたので応じた。借りたお金を暗号資産に交換して送金するよう指示され、言われたとおり送金した。
電話で指示されながらだったので冷静に考える時間もなかったが、電話を切った後、どうしてこのような方法で送金させられたのか疑問に思った。(2025年10月受付・30歳代・女性)
もう1件は、SNSで「動画を見るだけ」の広告を見て登録したところ事業者から電話があり、事業者がスマートフォンを遠隔で操作して消費者金融2社から30万円ずつ借り入れ、どこかへ送金したというものです(2025年5月受付・20歳代・男性)。「返済は不要」と言われていたため借入がされている実感がなく、数カ月後に消費者金融からの督促で気づいています。
3件に共通しているのは、電話がかかってきてから物事が一気に進む点です。文字のやり取りは読み返せますが、電話は読み返せません。相手はそれを分かって電話に移しています。
この言葉が出たら疑う
国民生活センターは、次のような広告文句をうのみにしないよう呼びかけています。
- 「“いいね”を押すだけ」
- 「スタンプを送るだけ」
- 「スクリーンショットを撮るだけ」
- 「コピペするだけ」
- 「相談に乗るだけ」
- 「動画を見るだけ」
あわせて、個人情報を安易に教えないこと(住所・氏名・銀行口座・免許証などを求められても、相手が誰か分からないうちは渡さない)、遠隔操作アプリを安易にインストールしないこと(望まない操作をされたり、パスワードなどの重要な情報を見られたりする恐れがある)も挙げられています。
いちばん確実な線引き
国民生活センターのアドバイスは、線の引き方がはっきりしています。「お金を稼ぐはずが振り込みを求められたら、言われたとおりに振り込まず、消費生活センター等に相談してください」。
最初に少額の報酬が得られても、そのあとに「高額報酬のタスクをするため」「タスクを失敗した連帯責任」などと称して振り込みを要求されるケースが目立つ、とされています。いったん振り込んでしまうと被害回復は困難です。
相談先は、消費者ホットライン188(いやや)と、警察相談専用電話#9110です。どちらも局番なしでかけられます。
電話に誘導されたあとの流れは副業紹介電話の詐欺パターン、SNSから電話に移されたときの判断はSNSで知り合った相手から電話に誘われたときの判断もあわせてご覧ください。被害の整理は被害整理メモ・相談窓口にまとめています。
参考
この記事は2026年9月5日に、以下の公開情報をもとに書きました。相談事例の引用と受付年月・年代・性別は出典のとおりです。
- 国民生活センター「簡単なタスクで稼げるとうたう副業トラブルに注意!」(2026年5月19日公表)
https://www.kokusen.go.jp/news/data/n-20260519_1.html - 国民生活センター「儲け話に関するトラブルにご注意!」(2026年5月20日更新)
https://www.kokusen.go.jp/soudan_now/data/moukebanashi.html
※相談事例・注意すべき広告文句・消費者へのアドバイス・相談窓口は、いずれも上記の国民生活センターの公表資料によります。