フィッシング対策協議会が公表している月次報告書によると、2026年7月のフィッシング報告件数は66,119件でした。前月より6,251件(約8.6%)減っています。
「減っている」という数字ですが、電話番号を調べる立場から読むと、そう単純な話ではありません。この報告書には、何が報告されていて、何が報告されていないかがはっきり書かれているからです。
報告の中身は、ほぼ「メール」と「サイト」
2026年7月の内訳は次のとおりです。
- 報告件数… 66,119件(前月比 6,251件減・約8.6%減)
- 悪用されたブランド… 101件
- フィッシングサイトのURL件数(重複なし)… 43,267件(前月比 1,026件増・約2.4%増)
報告件数は減りましたが、フィッシングサイトのURL件数はむしろ増えています。報告が減ってもサイトの数は減っていない、という状態です。
上位5ブランドで約68.6%
悪用されたブランドの内訳は、はっきり偏っています。
- Amazon… 約37.0%
- Apple… 約11.8%
- セゾンカード… 約7.7%
上位5ブランドの合計で全体の約68.6%、1,000件以上の報告があった11ブランドで約84.4%を占めます。分野別ではEC系が約50.5%、クレジット・信販系が約25.4%です。
つまり、実際に届くフィッシングの3件に1件はAmazonをかたるもので、EC系とカード系を合わせると4分の3を超えます。Amazonを装う詐欺電話の見分け方やクレジットカード会社を装う詐欺の最新手口が、そのまま実務的な備えになるということです。
送信元は「本物のドメイン」とは限らない
報告書には、フィッシングメールの送信元についての数字もあります。なりすまし率は約26.5%で、前月より増加しました。内訳は、DMARCがreject/quarantineに設定されているものが約13.7%、DMARC noneが約6.7%、DMARC未対応が約6.1%です。
DMARCは、メールの送信元ドメインが本物かどうかを受信側が判定するための仕組みです。なりすましのうち約半分は、受信側が拒否・隔離できる設定のドメインを騙っていた計算になります。逆に言えば、残りは技術的に止めきれていないということでもあります。
フィッシングサイトの置き場所にも偏りがあり、amazonaws.comの使用が約23.2%、短縮URLやsendgrid.net等が約25.8%でした。送信にはMicrosoft Azureが約52.5%使われています。正規のクラウドサービス上に置かれているため、ドメイン名の見た目だけでは判断できません。
もうひとつ、報告件数の増減だけを追うと見誤りやすい点があります。報告件数はあくまで「協議会に届いた報告の数」で、受け取った人が報告しなければ数字になりません。フィッシングサイトのURL件数が増えているのに報告件数が減っているという2026年7月の形は、そのズレが表に出た月だと言えます。
SMS(スミッシング)の報告は「少ない状態が継続」
ここが、電話番号を調べる人にとっていちばん大事な部分です。同報告書は、スミッシング(SMSを使ったフィッシング)の報告数は少ない状態が継続しているとしています。
これは「SMSの詐欺が少ない」という意味ではありません。協議会に報告される件数が少ないという意味です。メールは転送すれば報告できますが、SMSはそもそも報告する先が知られていません。実際、宅配便・郵便の不在通知SMSのような偽SMSは、多くの人が日常的に受け取っています。
統計に出てこないことと、起きていないことは別です。この報告書は「メールとサイトの統計」として読むのが正しく、SMSや電話の実態は、この数字の外側にあると考えてください。
今日からできること
メールやSMSに書かれたリンクを踏まない、そこに書かれた電話番号にかけない。確認するなら、アプリを自分で開くか、自分で調べた公式の番号にかける。この2つだけで、上記の手口はほぼ空振りになります。
不審な番号は番号検索で調べられます。お金や個人情報を渡してしまったときは、消費者ホットライン188、警察相談専用電話#9110へ。整理のしかたは被害整理メモ・相談窓口にまとめています。
参考
この記事は2026年9月5日に、以下の公開情報をもとに書きました。件数・比率はすべて出典のとおりです。
- フィッシング対策協議会「2026/07 フィッシング報告状況」
https://www.antiphishing.jp/report/monthly/202607.html
※報告件数・ブランド比率・URL件数・なりすまし率・スミッシングに関する記述は、いずれも上記のフィッシング対策協議会の月次報告書によります。「統計に出てこないことと起きていないことは別」という読み方と、対処のしかたの記述は、でんわチェックによるものです。